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「ラン・オールナイト」 [映画]

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〔2015/アメリカ〕


ニューヨークで暮らすジミー(リーアム・ニーソン)は、
長年、親友でマフィアのボスのショーン(エド・ハリス)の下で、
殺しを請け負ってきた。
その腕は一級品だが、
近頃は、罪の意識に苛まれている。


そんなジミーを、息子のマイク(ジョエル・キナマン)は毛嫌いし、
音信不通の日々を送っていた。
マイクには妻と2人の幼い娘がいたが、
ジミーを恥じる彼は、家族にも紹介していない。


ところが、そんなある日、
マイクは、ショーンの息子・ダニーが、
殺人を犯す場面を目撃してしまう。
ダニーはマイクを消そうと、
彼の家に押しかけるが、
間一髪の所で、ジミーがダニーを射殺する。


息子を殺されたショーンは怒り、
殺し屋を使い、ジミーとマイクを狙う。
さらに警察も、
殺人犯として2人を指名手配し・・・。





良かったです。とっても。
時間を忘れてしまう2時間。


ジミーとマイク、
そして、
ショーンとダニー。
この2組の父子の対比が面白すぎる。


ジミーもショーンも、
共に、暴力組織の中で生きてきた親友同士だけれど、
互いの息子の生き方はまるで正反対。
マイクが父を嫌い、真っ当な人生を送りたいと努力しているのに対し、
ダニーは父の名の元に、やりたい放題のチンピラ。
まさに、虎の威を借る狐。


普通の家庭なら、
育て方の問題云々と言われる所だろうけど、
これはもう完全に、
個人の資質なのだろうと思う。
そして、映画を観る者が、
真面目に暮らそうと努力しているマイクを
全面的に応援したくなるのは当然の心理で。


ショーンも、決してダニーを甘やかしているわけではなく、
結構、突き放した風な態度を取ってはいるし、
息子がどうしよもないクズ人間だという事を、
分かってはいるんだろうけど、
殺されたとなれば、そこは話が別。
血筋を大事にするマフィアの怒りが爆発する様子が怖い。


ジミーが、
もうなんとしても、マイクとその家族を守ろうという様子がいいし、
そして何より、
マイクを絶対犯罪者にさせない!という決意が素晴らしい。
正当防衛にせよ、
マイクが銃を構える度にそれを制止する姿に泣ける。


アクションシーンも面白かった。
ずっとドキドキしっぱなし。
特に、マンモス団地での攻防が好き。


リーアム・ニーソンもエド・ハリスもいいなぁ。
特にエド・ハリス。
彼の出ている映画って、
無条件で、面白そうって思える。


劇場で、隣の席の見知らぬ男性が
泣いていたように感じられたのは気のせいかな。
私も泣いちゃったよ。
こんなアクション映画で泣くとは思わなかったよ(笑)。


評価 ★★★★☆

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「女の子ものがたり」 [映画]

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〔2009年/日本〕


36歳の漫画家・高原菜都美(深津絵里)は、
仕事に力が入らず、
グータラする毎日。
担当編集者・財前(福士誠治)は業を煮やし、
「先生、恋人も友達もいないでしょ」と
キツイ言葉を投げかける。


菜都美は自分の生まれ育った故郷での日々を思い出す。


仲良しだった友達、
きいちゃんとみさちゃんと、
いつもつるんでいた日々。


3人とも、
家庭になんらかの問題を抱えていて、
自分たちの将来も、
「幸せになんかなれっこない」と
そんな予感がしていた毎日。


高校生になると、
きいちゃんもみさちゃんも、
不良っぽい男の子と恋仲になって、
そのまま結婚して。


きいちゃんとみさちゃんが旦那さんに殴られて、
アザを作りながらも、
「幸せだ」と言うその様子に、
菜都美は違和感を覚え、
そんな菜都美の心を見透かしたきいちゃんと、
取っ組み合いの大喧嘩になってしまう・・・。





原作は西原理恵子さん。


西原さんの本は、数冊しか読んでいないけれど、
「パーマネント野ばら」の雰囲気から、
この映画の舞台になった、
四国の町の空気感や、
西原さんの周囲の人々の様子は
なんとなく分かる。


自分が幸せかどうかなんて、
その人の価値観で決まる部分が大きいし、
育った土地柄や環境に寄る所も大きい。
菜都美の友達の
きいちゃんもみさちゃんも、
彼女たちが幸せだと言うのなら、
他人がとやかく言う事はできない。


そして、それに違和感を覚えてしまった菜都美は、
もうその土地を出ていくしかないんだろうなぁと思う。
それは感覚の問題だから、
どうする事もできない。
心の中に湧き出るものを
止められないし。


私は原作を読んでいないので
何とも言えないけれど、
菜都美は決して、
きいちゃんやみさちゃんを見下しているわけではないし、
馬鹿にしているわけでもないと思う。
2人からすれば、
そう思われていると、思ってしまっても仕方ないのかもしれないけど。


原作を読んでいる方の感想を読ませていただくと、
漫画の方がとてもいいらしい。


何より、子供時代の彼女たちが、
美しすぎる映画と違って、
もっとずっと貧乏なのだとか(笑)。
(馬鹿にしているわけではありません。
 それも込みで笑えるんだと思う)


本作は、「上京ものがたり」の続編的作品らしい。
「上京~」は映画も原作も読んでいて、
両方とも、とても好き。
この「女の子~」の、早速図書館に予約を入れた。


評価 ★★★☆☆

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「ホタル」 [映画]

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〔2001年/日本〕


特攻隊の生き残りである山岡(高倉健)は、
現在は妻・知子(田中裕子)と2人で、
鹿児島の知覧でカンパチの養殖をしている。


昭和天皇が崩御し、
時代が平成に変わった頃、
戦友で、やはり特攻隊の生き残りの藤枝が、
青森で死んだ事を知り、
あらためて、戦争について考える山岡。


実は知子は、
山岡の戦友で、朝鮮籍の金山と結婚の約束をしていた女で、
金山が特攻兵として死んだあと、
山岡と結婚したのだ。
その知子も、今は腎臓を患い、
余命1年半と宣告されている。


そんな山岡は、
かつて「知覧の母」と呼ばれた、食堂の女主人・富子から、
金山の遺品を韓国の遺族に届けてほしいとの
申し出を受ける。


複雑な心境の山岡だったが、
知子の残り少ない命を思い、
2人で韓国に出向く。
しかしそこで待っていたのは、
金山の遺族からの激しい罵倒だった・・・。





もうまったく、予備知識ゼロで観た映画。
タイトルからも、内容は想像つかなかったし。


泣いた。
ものすごく。
ただそれは、映画で泣いたのではなく、
途中で挿入された、
おそらくアメリカ軍が撮影したのだと思われる、
特攻隊の映像。


自分の飛行機に爆弾を積み、
敵の船に体当たりしようと飛び立った特攻隊は、
実は殆どが迎撃され、
目的を完遂する前に、
海に沈んでいったと言う。


「くだらないくだらないくだらないくだらないくだらないくだらない
 戦争は本当にくだらない」
頭の中でその言葉だけがグルグル回る。
特攻隊員たちの殆どは、
まだ10代20代の若者。
彼らの家族、特に母親は、
どんな気持ちでいたのだろうかと考えると、
泣かずには観られない。


やはりクライマックスは、
高倉健と田中裕子が、
韓国へ行き、
戦友の遺族と対面する場面であろう。


このような映画で海外ロケがあるとは思ってもおらず、
少し驚いたし、
知ってはいたけれど、
韓国側の、日本への気持ちを
まぁ、再確認はしたけれど・・・


・・・これ以上は書くまい。
私は原爆を落とされても相手を許し、
過去を水に流せる日本人に生まれた事を
誇りに思うよ。


評価 ★★★☆☆

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「恋のハイウェイ」 [映画]

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〔1967年/日本〕


大阪で暮らす吉永小百合は、水商売をする母・奈良岡朋子と
少し距離を置きたく思い、
東京へ出る決意をする。


上野動物園に勤める幼馴染の新克利のアパートへ転がり込み、
雑誌社に勤める関口宏を訪ね、
彼の口利きで就職し、
夢だった女流カメラマンへの道を歩み始める。


編集長から、
高名な作家先生・金子信雄に
紀行文を書いてもらえと指示された吉永は、
早速、金子の住む関西へ出向く。


偶然にも金子は、吉永の父の知人であり、
金子の計らいで、
10年ぶりの再会を果たす。


東京での生活に疲れ、
大阪に帰った吉永に母は、
「恋を成就させろ」と発破をかけ・・・。





「観客を馬鹿にしてる?」と思うくらい、
くだらない内容であった(笑)。


まず、タイトルからして全く意味がない。
「ハイウェイ」て(笑)。
吉永さんは、一度もハイウェイを走ってもいないし、
誰かとドライブにすら行っていない。
テキトーに付けた感ありあり。


女流カメラマンになるのが夢と言う割に、
お仕事をする場面は殆ど無く、
新克利や関口宏や、
女友達の知人の花ノ本寿の中から、
誰を選ぶのか、
そればかりが強調されている。


やっと取材に行った作家先生が、
偶然、生き別れた父と知り合いだったというのも、
馬鹿馬鹿しさを通り越して、笑える。
人間が、この世に10人くらいしかいないみたいだ(笑)。


挙句の果てに、
休暇を取って、大阪に帰ってしまう吉永さん。


「もしかしたら、このまま仕事を辞めるかも」て、
おいおい、
あれだけ母に啖呵を切って出ていったのに、
どんだけ甘いんだよ、って(笑)。
母は母で、
「可哀相に、東京で苦労したんだねぇ」て、
あのー、彼女は殆ど遊んでいたんですけどと言いたくなるわ(笑)。


なんだか3月に観た、同じ吉永さんの、
「青春の風」も似たような話で、
似たような感想を書いた気がする。
あちらは1968年の映画だから、
こちらの時期とそう変わらない。
やはり、映画が、
質より量の時代だったのかもしれないな。


評価 ★★☆☆☆

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「顔のないスパイ」 [映画]

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〔2011年/アメリカ〕


ワシントンで、ある上院議員が殺される。
喉を切られた、特徴のある殺害方法から、
犯人は、伝説のロシアのスパイ・カシウスだとの声が上がる。


しかし、「カシウスは死んだ。自分が殺した」と、
CIAから意見を求められた
元エージェントのポール(リチャード・ギア)は、
犯人カシウス説を否定する。


CIA長官ハイランド(マーティン・シーン)はポールに
若手捜査官ベン(トファー・グレイス)を組んで
捜査をしてほしいと依頼。
ポールは、「自分は引退した身」と断るが、
結局、申し出を受ける事になる。


ベンはハーバード大学の修士論文で
カシウスをテーマにしたというくらい、
カシウスに入れ込んでおり、
捜査に燃えている男。
そんなベンにポールは、
犯人は模倣犯だと、何度も説明する。


その後も、
カシウスの手口ソックリの殺人事件が何度か起き、
カシウス生存説はますます強まる。
ポールとベンは犯人を逮捕できるのか・・・。





映画が始まってすぐ、
観る者は、ある事実を知る。


この手法に賛否あるようだけれど、
私は楽しめた。
「なるほど、そうきたか」と思い、
その事実を登場人物たちが知った時、
どんな顔をするのか、
サプライズされる側ではなく、
それを仕掛ける人間の側に立って、
相手の表情を窺う、そんな楽しみがある。


もちろん、多少の無理や矛盾はある。
伝説のスパイ・カシウスが、
長年捕まらなかったのには、
ちょっと無理がある気がするし、
カシウスの犯罪に乱れが生じてきた理由も、甘い。
伝説の男が、結局そこかよ、って(笑)。


そんなお話なので、
あまり詳しく書けないのが残念。


アメリカとメキシコの国境を越えようとする
集団の場面から、
映画が始まるのだけれど、
私はこの、国境付近を舞台にした映画がとっても好きで、
だから、最初からワクワクした。
まぁ、映画自体は、メキシコ人とは何も関係なかったけれども。


CIAとかFBIとかKGBとかNTTとか(笑)、
アルファベットを並べた名前の機関が出てきても、
正直、私にはその明確が違いが分からなくて。
「何がなんだか分からないけど、とにかく凄い」ってな気持ちで
観ているだけ。
アメリカ人は、そこらへんの事を
きちんと理解したうえで観ているのでしょうね。
私も勉強しないと駄目だな。


評価 ★★★☆☆

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