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「北村透谷 わが冬の歌」 [映画]

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〔1977年/日本〕


明治時代。
詩人の北村透谷(みなみらんぼう)の妻・美那が、
欠勤中の夫に代り、
勤務先の女学校に給料を受け取りに行くと、
透谷は、一週間ほど前に学校を辞めていると知らされる。


その頃、透谷は、
自分の首を小刀で刺し、
自殺を図るが、
寸での所で、美那に発見される。


透谷の自殺未遂を知った友人たちが、
北村家に集まってきた。


透谷は、自分の過去の出来事を語り始めた。
彼は民権運動に参加していた時、
討伐隊に追われ、逃げ込んだ娼館で、
蝶という名の女郎に助けられたのだと言う。


蝶と一夜を共にした透谷は、
彼女がしている柘榴の入れ墨を
自分にも入れたいと願い、
それを実行する・・・。





北村透谷という人は、
世間でどの程度の認知度なのだろうか。
私は、名前を聞いた事があるかないな、という程度だけれど、
それは私が物知らずなせいなのか、
世間もそんなものなのか、
そこがよく分からない。


では、なぜこの映画を観たのかって、
それは沖雅也さんが出ているからという
理由以外にない。


透谷という人はよく知らないけど、
この人の役を、
俳優でない、みなみらんぼうさんが演じたというのは、
何か意味があったのだろうか。
セリフが棒読みすぎて、
微笑ましいくらい(笑)。


このみなみさんが、
討伐隊に追われて、
娼館に逃げ込んだ時、
なんと、女装して追手の目を誤魔化すのだけれど、
本当に無理があった(笑)。
百歩譲っても、千歩譲っても、
女には見えなくて。


透谷が自殺未遂をして、
友人たちが集まった家に、
女性が一人、見舞いにやって来る。
その女性が、
「樋口一葉と申します」と名乗ったのが、
わたし的に、ちょっと受けた。
樋口一葉が普通にやって来る家って(笑)。


それから、個人的な最大のヒットは、
北村家に獅子舞がやって来た場面。


私は以前、このブログで、
獅子舞について疑問に思った事を、
レビューに書いているのだ。
 ↓
http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2015-10-05


このレビューに書いてある、
モヤモヤした気持ちが、
パァーと晴れるような場面があって、
本当にスッキリ。


本当に昔は、
獅子舞の押し売りがあったのだと。
それだけでも、この映画を観た甲斐があったというものだ。


評価 ★★★☆☆

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「反逆のメロディー」 [映画]

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〔1970年/日本〕


ヤクザの淡野組が解散し、
構成員だった哲(原田芳雄)は、別の街に赴いた。
その街は、立花組が牛耳っているはずで、
組長・立花は哲の腹違いの弟だ。


ところが、立花はムショに入っており、
その隙に、乗り込んできた
矢東会が幅を利かせていた。


哲は、立花組を再建するべく、
偶然知り合ったゲバ作(佐藤蛾次郎)と共に
矢東組に挑戦する。


そんな中、淡野が街にやって来る。
淡野は、関東の暴力団を次々解散させていたが、
そこには彼の策略があり・・・。





原田芳雄が、
全編ジーンズ姿で、
ジープを運転している事から、
何か軽いノリのヒッピーみたいな話かと思ったけれど、
まぁ、基本は結構なヤクザ物。


ただ、
昔ながらの任侠でなく、
極道とビジネスとか結びつけた話という点で、
当時としては新しかったのかもしれない。


ネットの噂によると、
原田さんは、
出演交渉された時、
ヤクザヤクザした格好は拒否し、
ジーンズなら、という条件を出したのだそうだ。


初主演作で、
そのような条件を出すなど、
すごい度胸だと思うけど、
映画の中の彼は、確かに凄い。
ヤクザが構えた拳銃の銃口を、
素手で押さえる場面にはビックリした。


その状態で、引き金を引かれたら、
大怪我する、と思ったけど、
原田さんの気迫に、
相手はそれができない。


その原田さんと、
いつしか意気投合するのが地井武男さん。
地井さんは、初登場シーンで、
花を抱えて葬儀に行く。
地井さんと花って、
一見、合わない取り合わせだけど、
それが中々絵になり、決まっていた。


まぁ、私の一番の目的は、
ずっとブームが続いている沖雅也さんを見る事だったけど、
彼の登場シーンは短く、残念。
若く、可愛かったけど。


評価 ★★★☆☆

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「男一匹ガキ大将」 [映画]

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〔1971年/日本〕


西海高校の戸川万吉(酒井修)は、
近所でも有名な暴れん坊で喧嘩好き。
高校では、万吉を敵対視する、
もう一人の番長・権太がおり、
いつも揉めている。


ある日、万吉は、
東京からやって来た、
網元の親戚の娘・友子(木下トモコ)と出会う。
友子は足が悪く、
この漁村に静養に来たのだ。


友子の愛らしさに、
恋をしてしまった万吉は、
淋しそうな彼女を笑わせたり、
歩く練習をさせたりと、
なんとか彼女の歓心を買おうとする。


そんなある日、ダイナマイトを持った脱獄囚2人組が、
友子を人質に、立て籠もってしまい・・・。





分からんわぁ、
こういう、「男の世界」は(笑)。


喧嘩に明け暮れる、というけれど、
私の中で、「喧嘩」というのは、
相手に対して、何らかの不満とか、憎しみとか、
そういった物を抱えている時にするものであって、
目の前にいる、
何の感情も抱いていない人を、
殴ったり蹴ったりなどする意味が
全然理解できない。


ウィキペディアによると、
原作は、
「喧嘩を通じて、子分を増やし、
 ついには日本中の不良を従える総番に登り詰める男」
みたいな話だと書かれている。
そっか、万吉がする喧嘩というのは、
力の誇示という意味なのね。


後半になると、万吉は、
友子に会うために、
東京に行くのだけれど、
途中、なぜか、乞食のグループに入り、
一緒に物乞いをしたりする。


おそらく原作通りなのだろうし、
原作はきっと、
そこに行くまでの過程が描かれているのだろうから、
納得できるのであろうが、
突然映画だけを観た私は、
何でそんな展開になるのか、
よく分からない。


その乞食の親分(?)を
勝新太郎が演じているのも驚く。
そう、この映画、
勝新太郎が、製作に名を連ねているのだ。


でも、一番凄いのは、笠智衆さん。
笠さんは、お寺のお坊さんの役なのだけれど、
もう、有り得ないくらい強くて、
ガキ大将の万吉をガシガシ投げ飛ばす。
笠さんって、たまにこういう面白い役をする。
そこが愛される理由なのだろうけど。


評価 ★★★☆☆

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「ブルックリン最終出口」 [映画]

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〔1989年/西ドイツ〕


1952年、ブルックリン。
主要産業である鉄工所が現在ストライキ中で、
街は、労働者たちで溢れかえっている。


組合の責任者・ハリー・ブラック(スティーブン・ラング)は、
経費を自由に使える立場にあったが、
使い過ぎがバレ、要職を失う。


娼婦のトララ(ジェニファー・ジェイソン・リー)は、
美人局のような事をして金を稼いでいたが、
偶然知り合ったスティーヴ中尉とベッドを共にするうちに、
彼を愛し始めた自分に気付く。
しかし、中尉が朝鮮戦争に出兵してしまい、
どうしようもない気持ちを持て余す。


労働者のジョー(バート・ヤング)は、
娘が妊娠している事に気付く。
お腹はもう、相当大きくなっている。
赤ん坊の父は、
同じ工場で働くトミー。
なんとかトミーと娘を結婚させなければ・・・。





昨日書いた、「番格ロック」について、
調べていたら、
この映画に行き当たった。


なんでも、「番格」は、
この「ブルックリン最終出口」の雰囲気を目指していたという。


そんな風に言われたら、
居ても立っても居られないではないか。
すぐにレンタル店を検索すると、
在庫している。
借りに走る。


しかし、この映画の公開は1989年で、
1973年の「番格」より、ずっと後だ。
目指したというのは、
おそらく1964年に発表された原作小説の事なのだろう。
「番格」は、コテコテの日本のスケバン物であり、
こちらは、アメリカの労働者階級の人々や娼婦の、
八方塞な現実を描いたもので、
ちょっと違う感じがするし、
あくまでも小説の雰囲気を真似たってだけで。


で、映画。


よく、今の日本で、
「最近の若者は加減を知らず、相手が死ぬまで殴り続ける」といった
常套句を聞くけれども、
ここに出てくる人々の攻撃的な事ったらない。
そんなに殴ったら死んでしまう、と思うくらい、
一度殴り始めたら、容赦する事がない。
向こうの人の闘争本能って、
日本人とは違うと本気で思う。


映画の中の、2つの恋心が切ない。


1つは、ハリー。
彼には妻子があるのだけれど、
ゲイのレジーナに激しく惚れてしまう。
しかし金の無い男に用はない、とばかりに、
レジーナにこっぴどく振られ、
気持ちの行き場を無くす。


人の気持ちは理屈ではない。
ハリーの思いを責められる人なんているんだろうか。


そしてトララ。
彼女は、薄っすらと惚れ始めた少尉から、
別れ際に手紙をもらい、
彼も同じ気持ちでいる事を知る。


けれど、
彼女は、男を数だけはこなしていても、
本当の恋を知らず、
それまで生きてきたのだろうと想像でき、
どうすればいいのか分からないのだろうと思う。


その後の、彼女の身の処し方の壮絶さに驚く。
救いは、
それを彼女が自分の意思でしたという事だけ。
言葉を失う場面だった。


評価 ★★★☆☆

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「番格ロック」 [映画]

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〔1973年/日本〕


赤羽百人会の番格・由紀子(山内えみこ)が、
女子少年院から出所してきた。


由紀子には会いたい女がいた。
それは、少年院で、
対立しながらも、
決着のつかなかった、
アラブの鷹(柴田鋭子)。


由紀子は、
恋人・勝と再会する。
勝は、ヤクザ組織・城北睦会の構成員になっており、
勝の兄貴分・沖田もまた、
アラブの鷹を探していた。


沖田は、
アラブの鷹の手下の女に、
鷹の居場所を聞き出そうとした挙句、
惨殺する。
すると、警察は、
それを由紀子の仕業だと勘違いし・・・。





どうやらこれは、
とても貴重な映画らしい。


というのも、
DVD化される予定の直前に、
映画にも出演しているキャロルの矢沢永吉氏が、
待ったをかけたそうで、
話が頓挫したのだという。


事実はどうかは分からないけれど、
ネットの噂を総合すると、
キャロルが歌う主題歌に、
ジョニー大倉氏のソロパートが多く、
矢沢氏が嫉妬したとか。


そんなセコい理由で、
DVD発売を阻止したりするかしら、とも思うけど、
私は矢沢氏の人となりまでは知らないので、
何とも言えない。


映画の内容は、
結構激しいスケバン物。


今、スケバンっていないよね(笑)。
1973年かぁ。
「愛と誠」の連載が始まったのが、
この年で、
あの漫画にも、ヤクザ顔負けの、
「花園スケバングループ」なるものが出てきたし、
当時は、スケバン花盛りだったのかも(笑)。


この映画のスケバンたちが、めっちゃ大勢で、
駅前のコインロッカーで、
裸になって着替える場面にはビックリ。
通りすがりのおじさんたちが遠巻きにして見ている。


そりゃあ見るだろう。
女の私だって、その場にいたら見るよ(笑)。
別に裸が見たいわけじゃないけど、
そんな珍しい場に居合わせた事が嬉しくて。
まぁ、現実には有り得ない、
映画のサービスシーンなんだろうけど。


スケバンの中に、
とっても気になる人がいる。


おそらく、久邇あき子さんという方だと思うのだけれど、
見た目も怖けりゃ、声も怖い。
他のスケバン物でもお見かけした事があるのだけれど、
どの作品だか思い出せず、
必死に考える。


そうだ!
たぶん、ドラマ版「愛と誠」での
スケバングループの一人だ、と気が付く。
DVDを取り出して確認。
やっぱりそうだ。


凄いなぁ、久邇あき子さん。
こんなにスケバン役が板についている人っているだろうか。
いや、そんな事を言っては失礼ですね。
もしかしたら、普段は、
とても真面目な方なのかもしれない。
気になるなぁ、久邇あき子さん。


評価 ★★★☆☆

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