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「紅の翼」 [映画]

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〔1958年/日本〕


大企業・岩見産業に押し入ってきた
一人の男。
彼はいきなり社長を射殺し、
そのまま逃走する・・・


その頃、遊覧飛行機のパイロット・石原裕次郎は、
乗客を降ろし、
会社に戻ってきていた。
そこへ、八丈島から連絡が入った。
島の子供が破傷風にかかり、
大至急、血清を届けてほしいと言うのだ。


その役目を引き受けた石原は、
スクープをものにしようと張り切る
女新聞記者・中原早苗と、
八丈島行きの飛行機をチャーターしていた客・二谷英明を乗せ、
飛び立つ。


ところが機内で、
二谷英明こそが、
岩見産業の社長を射殺した殺し屋だと分かる。


二谷は石原と中原に銃口を向け、
別の島に行けと指示。
しかし、飛行機の不具合から
新島に不時着した3人は・・・。





破傷風の子供に血清を届ける任務と、
殺し屋との息詰まる対決のお話が
並行して楽しめる、
石原裕次郎主演の映画。


石原裕次郎の天真爛漫な感じが、
とても上手く引き出されている映画だと思う。
大空を飛ぶパイロットという職業のように、
彼の心は大らかで、
殺し屋に銃を向けられていても、
どこか余裕が感じられる。


新島に不時着して、
泣き出した中原早苗に苛立つ二谷。
その時の石原が、二谷英明の心情をズバリ言い当てる場面がいい。


「あんたは嫉妬してるんだ。
 あの子の持つ愛とか幸福というものに、
 あんたイライラするんだ」と。
グーの音も出ない二谷。


さらにそんな二谷を、
「可哀相に」という石原。
人質になっているというのに、
なんという余裕。
もちろんそれは、台本通りの演技という事もあるけれど、
物の言い方一つ一つに、
彼が本来持つ、
懐の深さが滲み出ている気がする。


石原の飛行機が行方不明になって、
大騒ぎになる地上の人々の様子も、
分かるなぁといった感じ。


飛行機の事故と聞けば、
一般的に、死を連想するのが普通であろうし、
なので、石原と中原の家族の不安は
頂点に達する。
飛行機会社や石原のガールフレンドが発した言葉に食ってかかるなど、
殆どパニックと言っていい。


八丈島の人々も、
理由は違うけれど、ジリジリしているのは同じ。
飛行機はとっくに出ているというのに、
やって来る気配もない。
子供の命の期限は、あと数時間。


なかなか見応えのある、面白い作品だった。


評価 ★★★☆☆

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