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「くちづけ」 [映画]

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〔2013年/日本〕


知的障害者たちが集団で生活する「ひまわり荘」。


そこへ、漫画家の愛情いっぽんこと阿波野幸助(竹中直人)が、
7歳の知能指数しかない娘・マコ(貫地谷しほり)を連れて来、
彼自身も住み込みで働く事になる。


マコは、過去のある出来事から、
男性に対して恐怖心があり、
2人きりになるとパニックを起こす癖がある。


ところが、「ひまわり荘」に来てから、
マコの発作は一度も起こらず、
それどころか、入居者のうーやん(宅間孝行)と
「結婚する」と言い出し、
幸助はマコの変化にホッとする。


実は幸助には、
マコの将来を心配する切羽詰まった理由があったのだ・・・。





こういった、
知的障害者の方を主人公とする物語は
なんだかあざとい感じがして、
少し苦手なのだけれど、
これはもう、ガーンときた。
こんな話だったとは。
心が弱っている時に観たら、
さらに落ち込むだろうと思う。


観る前は、
「観ても、ブログに書くことは無いだろうな」と思っていたけれど、
今は書かずにはいられない気持ち。
綺麗事では済まされない、
現実がここにある。
障害者ご本人より、
家族の問題がクローズアップされている。


受刑者やホームレスの、
知的障害者の割合のデータもうなずける。
受刑者のデータについては、
以前に聞いた事があったけれど、
なるほど、ホームレスについても、
そのようなデータがあるのか、と。


受刑者に関して言えば、
知的障害者の方々が犯罪を犯しやすいというのではなく、
取り調べを受ける際、
パニックになりやすい彼らは、
何もしていなくても、恐怖のあまり、
「自分がした」と言ってしまう事もあると言う。
なるほど。
それらの話を全て鵜呑みにするわけではないけれど、
そういった事もある、という事だけ、
忘れずに、頭の片隅に置いておきたいと思う。


私はこの映画のような施設に行った事がないので、
俳優の皆さんの演技に
リアリティが有るのか無いのかは、よく分からない。
知的障害者の方々を、
ひたすら天使のように描くのはどうなのかと、
今まで思ってきたけれど、
貫地谷しほりの演技は、
わたし的には、とてもいいと感じられた。


元々は舞台劇だったらしく、
殆どの撮影は、
「ひまわり荘」の中だけで行われている。
空間的な広がりはないけれど、
その分、物語が密になったのではないかという気がしている。


評価 ★★★★☆

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