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「西銀座駅前」 [映画]

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〔1958年/日本〕


西銀座駅前の「さざなみ薬局」の
オーナー・大山重太郎((柳沢真一)は、
薬剤師の妻・理子(山岡久乃)に頭が上がらない。
周囲の人間も、
仕事の事は全て理子に頼り、
重太郎の事は、どこか軽んじている。


重太郎には、奇妙な癖があった。
戦時中、兵士として南方に赴いていたころ、
土地の娘・サリーと恋仲になり、
その時の思い出が、
妄想となって蘇り、
現実と区別がつかなくなってしまうのだ。


そんなある日、
理子が子供たちを連れて、湘南に2泊の旅行に行った。
重太郎の友人・浅田(西村晃)は、
「今こそ、浮気のチャンス」だと、
重太郎を夜の街に連れ出すが・・・。





「西銀座駅」なんて駅、あったっけ?と、
考えてみたけれど、
頭に浮かばず、
架空の駅なのかしらと思ったら、
1957年に開業した駅で、
1964年に「銀座駅」と統合したという事だ。


映画の公開が1958年だから、
きっと、当時のオシャレの最先端の場所で
撮影されたのだろう。
といっても、
そこまで銀座の風景が出てくるわけじゃなかったけど。


フランク永井さんが、
この映画の案内役というか、
解説というか、
そんな感じで、時々出てくる。


フランク永井さんは、
この映画と同名の、
「西銀座駅前」という歌も出しているそうだ。


で、そんなタイトルだから、
最初から最後まで、
銀座が舞台なのかな、と思っていると、
なぜか話は違う方向へ。


妻の居ぬ間に、
浮気を目論んだ重太郎が、
女性とボートに乗ると、
なんと、遭難。


銀座なんか、
全然関係ないじゃんという流れになる(笑)。


その展開は、
まぁ、船での遭難ものなら、
有りがちなんだけど、
やっぱり笑ってしまう。


ところで、劇中、
「西銀座駅」の他にも、
「湘南駅」というのが出てくる。


私は、辻堂に住んでいたことがあるので、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2019-03-24
湘南には多少詳しいと思うのだけれど、
「湘南駅」というのは・・・ないと思う・・・多分。


「湘南江の島駅」という駅はあるけど、
1971年開業だから、
この映画より後だし。


それとも、
「西銀座駅」同様、
昔はあったのだろうか。
検索しても、
それらしい事は分からなかったけど。


評価 ★★★☆☆

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「まともじゃないのは君も一緒」 [映画]

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〔2021年/日本〕


高校3年生の秋本香住(清野果耶)は、
恋愛は未経験だけど、
情報だけは豊富な女の子。


香住には、子供の頃から
憧れている男性がいる。
それは、
知育玩具を通して、
世の中を変えようと謳う実業家・宮本(小泉孝太郎)。


一方、香住の通う
予備校の講師・大野(成田凌)は、
数学の勉強しかしてこなかった変わり者で、
強い結婚願望があるのに、
女性と上手くコミュニケーションを取ることができない。


宮本の講演会に行った香住は、
彼に婚約者・美奈子がいる事を知る。
何とかして2人を別れさせたいと願った香住は、
大野と美奈子をくっつけようと画策し・・・。





試写会で観た。


大笑い、というのとも違う、
クスクス笑ってしまうような面白さ。
劇場内からも、
小さな笑い声が聞こえる。


清野果耶と成田凌の、
長台詞のやり取りが、
可笑しくて。
二人の会話は、
成り立っているようで、
成り立っていないような、
どこまで行っても堂々巡りだったりして、
その掛け合いが絶妙。


成田凌演じる大野は、
「普通」でない自分を自覚していて、
「普通」になりたい、と願っている。


で、JKの香住に、
「普通」になるための
レッスンを受けるのだけれど、
やる事なす事、
駄目出しされ、
「普通」になることを難しさを痛感する。


とはいえ、香住だって、
たかだか18歳。
実は、何も分かっちゃいない。
彼女の知識は、
ネットや、同年代の友人から仕入れただけ。


「普通」って、
なんなのだろう。
「まとも」って、
なんなのだろう。
私は、どちらかというと、
普通な、平凡な人生を歩みたいと思ってしまう方だけど、
でも、人から見たら普通じゃない部分も
多々あるだろうし、
よく分からない。


小泉孝太郎の胡散臭さがすごい(笑)。
いかにも真っ当そうな事を言っていながら、
裏ではとんでもない行動を。


そういう人って、
世の中には、
沢山いるのでしょうね。
で、たまに運の悪い人が、
それがバレて、
世間が大騒ぎになる、と(笑)。


評価 ★★★★☆

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「かげろう笠」 [映画]

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〔1959年/日本〕


信州高遠藩、内藤駿河守の娘・菊姫(香川京子)は
全盲だった。
家老・岡村十郎兵衛は、
駿河守が留守を狙い、
菊姫を殺し、
お家乗っ取りを企む。


姫の危険を察知した
上原修理輔は、
姫を江戸に旅立たせるが、
岡村は、姫を追いかけ、
道中で殺めようとする。


一方、
やくざの風来坊・弥太郎(長谷川一夫)は、
気儘な一人旅をしていたが、
ひょんなことから、
殺されそうになった菊姫を助け、
江戸まで送ってやることにした。


江戸に着いた二人は、
ある寺に逗留し、
菊姫は、高名な眼医者(中村鴈治郎)の診察を受けると、
目は必ず治ると言われ・・・。





盲目の菊姫と、
彼女を助けたやくざの弥太郎が、
強い絆で結ばれていく物語。


弥太郎演じる長谷川一夫さんの演技がコミカルで、
勝新さんがやってもハマりそうな役。


菊姫は、自分を助けてくれた弥太郎を、
立派な武士だと思い込んでいて、
弥太郎も、菊姫の目が見えないのをいい事に、
それを否定しない。


最初は、軽い気持ちで菊姫を助けた弥太郎だけれど、
次第に、
菊姫の兄のような気持ちになり、
金を稼いでまでして、
彼女の目を治してやりたいと考えるようになる。


で、弥太郎は最初、
賭博で金を稼ぐのだけれど、
「こんな汚れた金じゃ、
 菊姫の目は良くならない」という理由から、
ガテン系の仕事をするようになる。


この弥太郎の気持ちは何なのだろう。
この時点で、
彼は、
菊姫が大名の娘だとは知らないわけだから、
褒美が欲しくてしているわけでもなく、
では、何か別の下心があるのかと言えば、
そのような事もない。
本当に兄のような感情、としか言いようがない。


で、そんな彼に惚れちまったのが、
新珠三千代さん演じる、髪結いのおしげ。
新珠さんは、本当にいい女だ。


菊姫と弥太郎には、
男女の感情など全くないのだけれど、
それでも、おしげが加わると、
なんとなーく、微妙な三角関係のような様相になり、
でも、新珠さんの優しさは変わらない。
そして、ついに、
弥太郎に逆プロポーズをするに至っては、
本気で応援したくなった。


評価 ★★★★☆

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「MISS ミス・フランスになりたい!」 [映画]

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〔2020年/フランス〕


9歳の少年・アレックスは、
学校で将来の夢を発表する会で、
「ミス・フランスになりたい」と言ったところ、
級友たちから盛大に馬鹿にされてしまう。


大人になったアレックスは、
偶然再会した幼馴染が、
夢を叶えている事を知り、
一念発起。
自分が男というのを隠して、
ミス・フランスに応募する。


彼は、下宿先の仲間に支えられながら、
過酷な審査を受け、
予選を勝ち抜いてゆく。


果たして彼の夢は叶うのか・・・。





試写会で観た。


体は男性だけど、
心は女性で、
ミス・フランスになりたいという夢を
持ち続けてきた、
主人公・アレックスが、
コンテストに挑戦する、という物語。


そんな風に書くと、
コメディタッチの、
男というのがバレやしないかと、
ハラハラドキドキするものを
想像してしまいそうだけど、


そのような事はなく、
トーンは意外と暗い。
でも、私には、
その程よい暗さが良かった。


アレックスが、
審査員や他の応募女性たちを騙して、
コンテストに勝ち抜いていくことに
罪悪感を感じる場面はない。
この映画の肝はそこではない。


彼は、コンテストを勝ち抜いてゆくうちに、
自分が有名人になったと勘違いし、
少し傲慢な性格になってしまう。


家族紹介ビデオを撮影するとき、
一番仲の良かった、
同じ下宿に住む、
ドラァグクイーンのローラに、
「カメラに入らないでくれ」と言う。
そのような友人は、
アレックスの経歴には恥らしい。
当然、ローラは傷つく。


アレックスはアレックスで、
コンテストの一環で行った合宿で、
他の候補者たちとどうしても馴染めず、
一人だけ、めっちゃ浮いている。
彼が男だと気付いている人は、
誰もいないけど、
すごく嫌われてしまう。


でも、ある事から、
嫌な女だと思っていた、
同室の候補者が、
アレックスを全身で庇ってくれる場面があり、
協調することも大事なのだと気付かされたり。


コンテストのステージがゴージャスで、
そちらも楽しめる。


評価 ★★★★☆

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「ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日」 [映画]

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〔2018年/フランス〕


11歳のミアは、
ライオンファームを経営する父に伴って、
ロンドンから南アフリカに越してきた。
けれど、学校に馴染めず、
強い孤独を感じている。


そんな中、
クリスマスに父が、
ホワイトライオンの赤ちゃんを
プレゼントしてくれる。


チャーリーと名付けられたホワイトライオンは、
殊の外ミアに懐き、
2人は固い絆で結ばれてゆく。


けれど、3年後、
チャーリーは、あまりに大きくなりすぎ、
両親は、ミアの身に何かあったらと、
心配し始める。
また、ミアは、
父の秘密を知ってしまい・・・。





試写会で観た。


この映画には、
かなり驚く。


ホワイトライオンのチャーリーと、
主人公のミアが、
普通に、
まるで猫と遊ぶように
戯れるのだけれど、
CGは一切使っていないそうで、
本当にお互いの気持ちが通じ合っているように見える。


いや、「見える」のでなく、
実際、通じ合っているのだろうと思う。
この映画は、チャーリーの成長に合わせて、
撮影されていたそうで、
つまりその分、ミア役の女の子も成長しているわけで、
その時間の分だけ、
2人は心を通わせていったのだろう。


それにしても、
アフリカには、
本当にあんな商売があるのだろうか。


金持ちが金に飽かせて、
ライオンのハンティングをし、
しかも、そのライオンは、
ハンティング用に飼育されたものだなんて。


さらに、その事は、
南アフリカでは合法なんだとか。
何をかいわんや。
口先で、
自然を大切に、
命を大切に、
と言ったって、
それを壊しているのは人間。
そんな有り得ない殺生を、
一体どんな気持ちでしているのか。


で、チャーリーが売られてしまうと知ったミアは、
チャーリーを、
人間の手が出せない、
保護区に連れていくのだけれど、
そこはちょっと、
物語っぽい。


だって、途中で車を乗り捨てたミアは、
チャーリーと一緒に、
サバンナを歩いてゆくというのが、
びっくりで。


そこには、普通に草食動物がいるのだけれど、
って事は、
ライオンやヒョウなどの、
肉食動物もいるはずではないのか、と、
なんだかヒヤヒヤしてしまった(笑)。


評価 ★★★☆☆

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