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「追いつめる」 [映画]

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〔1972年/日本〕


暴力団浜崎組のチンピラ・武上次郎(渡哲也)は、
兄貴分の青谷と一緒に、
傷害事件を起こし、
神奈川県警の志田司郎(田宮二郎)に逮捕される。


志田は、武上を厳しく取り調べ、
共犯者の名前を言わせようとするが、
武上は最後まで口を割らず、
一人で刑務所に入る。


7年後。
武上は出所するが、
出世できると思っていた組に、
彼の居場所はなく、
さらに、情婦の多喜子(倍賞美津子)まで、
青谷のものになっていた。


青谷が、新たな殺人事件を起こし、
逮捕に向かった志田は、
現場の混乱の中、
撃った拳銃が、
後輩の乗松(藤竜也)に当たってしまい、
乗松は脳死状態になってしまう・・・。





1年ほど前、
田宮二郎さんと加山雄三さんという、
昭和のイケメン対決の映画の
感想を書いたけれど、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2020-06-11


この映画も負けてはいない。
なにせ、
田宮二郎さんと、渡哲也さんという。
これまた、
イケメン同士の対決。
刑事とヤクザという関係だけど。


渡さんを取り調べているとき、
田宮さんが、
「お前、いい男だな」というセリフがあったのがおかしい。
私は心の中で、
「いえいえ、田宮さん、
 あなたも同じくらい、いい男よ」と
つぶやいてしまった(笑)。


さらに凄いのは、
田宮さんの後輩刑事が藤竜也さん。
いい男の三つ巴(笑)。
目の保養にはもってこい。


さらに、この映画、
俳優さんと女優さんの組み合わせも面白い。


田宮さんの妻役を、
生田悦子さんが演じているのだけれど、
田宮&生田って、
たしか、ドラマ「白い巨塔」でも、
夫婦だったような。


それから、
藤竜也さんと吉行和子さんの夫婦役。
こちらは、
前にも書いたけれど、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2021-01-27
映画「愛の亡霊」で、
激しいラブシーンを演じたお二人。


渡哲也さんの元情婦が、
倍賞美津子さんというのも、
豪華で凄い。


田宮さんは、渡さんを取り調べているとき、
「お前が一人罪をかぶって、ムショに入ったところで、
 出世なんかできやしない。
 チンピラはチンピラのままだぜ」
みたいな事を言い、
その言葉は現実になる。


しかも、情婦が、
口を割らずに助けてやった男・青谷に囲われるようになっていて、
それを知らなかったのは、自分だけ。
その事実を、
大勢の仲間がニヤニヤしている中で知らされた、
その悔しさ、
観ている私まで、悔しくて唇噛みそうになったわ。


でも、物語をここからだ。
渡さんは、
持前の頭の良さと、機転で、
アホの青谷を上手く丸め込み、
次第に立場が逆転する。
ラストは、渡さんが組を仕切ることを予感させる終わり。


評価 ★★★☆☆

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「すべてが変わった日」 [映画]

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〔2020年/アメリカ〕


1960年代。
元保安官のジョージ(ケビン・コスナー)と、
妻のマーガレット(ダイアン・レイン)は、
息子と、息子の妻・ローナと、孫のジミーに囲まれ、
幸せな日々を過ごしていたが、
ある日、息子が落馬して、死んでしまう。


3年後。
ローナが、ドニーという男と再婚。
するとある日、マーガレットは、
スーパーの駐車場で、
ドニーが、ローナとジミーに
暴力を振るっているところを見てしまう。


さらに、ドニーは、
ジョージたちに知らせる事なく、
突然、遠いノースダコタ州の実家に、
ローナとジミーを連れて引っ越しを。


あんな男に、
ローナとジミーを任せるわけにはいかない。
ジョージとマーガレットは、
ドニーの実家に赴くが、
そこには、
一般常識の通用しない家族たちが住んでおり・・・。





試写会で観た。


基本はサスペンスなんだけど、
ドニーの家族が出てきてからは、
まるでホラー。
ラスボス風情の、
ドニーの母親は、
見るからに異常だし、
ドニーの兄たちも、
母親に言う事には全て従う、
息子というより、
手下みたい。


そんな家族に立ち向かう、
ケビン・コスナー演じるジョージと、
ダイアン・レイン演じるマーガレット。


これは、中々難しい問題でもある。
確かにローナは、死んだ息子の嫁だけど、
再婚した以上、
ジョージたちには、
いわば、他人。
再婚相手がDV野郎だとしても、
どこまで介入していいのか。


いや、この問題を、
嫁家族の問題と考えるから、
面倒くさいだけで、
もしもジョージが、
福祉施設の職員だったら、
当然、手を差し伸べたはずだから、
介入していいのよね、うん。


それに、2人には、
目の中に入れても痛くないような、
可愛い孫がいる。
あんなDV野郎や、
その家族に育てられたら、
孫がどうなってしまうか分からない。
放っておけるわけがない。


途中で、
「う、嘘でしょ?やめてー!」という場面がある。
直視できない。
ケビン・コスナー、
それなりに年取ったな、って印象だけど、
体を張って、頑張ってる。
アメリカらしい娯楽映画で、
ハラハラドキドキが止まらない。
中々面白かった。


評価 ★★★★☆

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「卍」 [映画]

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〔1983年/日本〕


専業主婦の園子(高瀬春奈)は、
万引きしているところを、
OLの光子(樋口可南子)に見られ、
それがきっかけとなり、
同性愛関係になる。


園子の夫・剛(原田芳雄)は刑事で、
最近、様子のおかしい園子を尾行し、
妻と光子の関係を知る。


最初は怒っていた剛だが、
ある日、光子を家に泊めたことをきっかけに、
そのまま3人で暮らす生活が始まる。


そんなある日、
剛と光子は、
関係してしまい・・・。





こ、これは、
あの谷崎潤一郎先生の「卍」なのか?(笑)


確かに、女性同士の愛を描いている点は
同じだけど、
なんだか全然別物のような。


いくら物語の舞台を
現代にしたからと言っても、
「卍」とせず、
オリジナルの物語として
発表した方が、
まだマシだったかも。


まず、出だしからして変じゃない?
園子が万引きをして、
光子がそれを目撃して、
口止めの為に、
園子が光子のマンションに押し掛ける、なんて。


その時、
「床にこぼれた牛乳を舐めろ」とか、
挙句、
取っ組み合いの大喧嘩になる、
というのも不思議な展開。
何のプレーなんだ?(笑)


若尾文子さまと、岸田今日子さまで
映画化された作品は面白かった。
元々、馬鹿馬鹿しい話ではあるが、
その馬鹿馬鹿しさが、
うまく表現されていたと記憶している。
やっぱり増村保造監督は凄かったんだなぁ、と
あらためて思う。


それから、
樋口可南子さんは、
とっても魅力的だと思うけど、
あの大阪弁は、
何とかならなかったんだろうか。


関西人でない私が聞いても、
ムズムズするような、
下手さ(ごめんなさい)。


言語指導の先生などはいなくて、
見よう見まねだったのかしら。
だったら、本物の関西出身の女優さんを使えば・・・
と思ったけど、
もしかして、
「卍」を撮りたかったんじゃなくて、
樋口可南子の映画を作りたかったんだとしたら、
もう大阪弁なんて、
どーでもいいというわけか(笑)。


評価 ★★★☆☆

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アビシニアコロブスの赤ちゃん。 [できごと]

昨年の暮れから、
閉園になっていた上野動物園が、
6月4日から再開園となり、
とても嬉しい気持ちで、
何度かシャンシャンに会いに行っています。


ただ、写真撮影・動画撮影は、
全面的に禁止です。
確かに、撮影がないと、
列の進みが早いように感じられます。
撮影をしていると、
可愛い表情を捉えたくて、
無意識にも、足がゆっくりになってしまうので、
密を避けるためには、
致し方ない措置なのだと理解しています。


-------


パンダ舎の近くに、
アビシニアコロブスという種類の
おサルさんが暮らしています。
5月27日に生まれた、
赤ちゃんがいるのですが、
その子の、愛らしさ、小ささに、
一度足を止めると、
少しの間、動けなくなって、
じっと見てしまいます。


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1匹の大人に、
ギュッとしがみついたり、
寄り添ったりしているので、
あれがお母さんかな?と思い、
見ていると、


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少し遊んだあと、
今度は別の大人に抱っこしてもらっている。
お母さんじゃないんかい!
と突っ込み入れたくなります(笑)。


群れの大人が全員で、
子育てしているのですね。


パンダが、お母さんだけで子育てしているのとは、
全然違っていて、
動物の子育ては千差万別だなぁと、
興味深い思いでいます。


人間も、動物も、
赤ちゃんは本当に可愛い。
早くシンシンの双子の赤ちゃんが
デビューする日が来るといいな。

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「蛇娘と白髪魔」 [映画]

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〔1968年/日本〕


孤児院で育った少女・小百合(松井八知栄)の
両親が見つかり、
小百合は、親元で暮らせる事になった。


両親は大金持ちで、
小百合は、素敵な個室や、クローゼットいっぱいの服を与えられ、
夢のような気分だったが、
父が突然、
アフリカに出張に行く事になってしまう。


父がいなくなった家で、
何やら、不可思議な事ばかりが起こる。
母が仏壇に供えた食事が無くなったり、
天井から蛇が落ちてきたり、と。


ついに小百合は、
口が耳まで裂けた、
少女を見てしまう。
怖がる小百合に母は、
その少女を引き合わせた。
「この子は、あなたの姉のタマミなのよ」と・・・。





原作は楳図かずおさんだそうだ。
この映画の公開は、
1968年。
楳図かずおさんって、
そんな昔から有名だったのね。
原作漫画が映画化されるほどに。


楳図さんの漫画は、
全部読んだわけではないけれど、
楳図さんらしい物語というのは分かる。
少女、蛇、家族、
そして、女の、美に対する執着・・・。


美少女な妹が、
屋敷に引き取られると、
屋根裏部屋に住んでいる醜い(と解説にある)姉が嫉妬する。
しかも、この姉、
両親の本当の子ではないという。


屋根裏部屋から出てきた姉は、
今度は妹を屋根裏部屋に押し込め、
それでも、性格の良い妹は、
「いいのよ、私はこの部屋で」と。
まるで、小公女か、シンデレラ(笑)。


タイトルにある、
「蛇娘」が姉の事だとはすぐ分かったけど、
「白髪魔」というのが、
中々登場しない。
やっと出てきた、その「白髪魔」、
一体誰が化けてるんだ?って話だけど、
消去法でいくと、まぁ、すぐ分かる(笑)。


他愛ないホラーだけど、
それなりに雰囲気があって楽しめる。
やっぱり私は古い映画が大好き。




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劇場のロビーに「大魔神」がいました。
めっちゃリアルでした。

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