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「スノー・ロワイヤル」 [映画]

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〔2019年/アメリカ〕


雪に閉ざされたコロラド州の小さな町・キーホーで、
除雪作業員をするネルズ(リーアム・ニーソン)は、
模範市民賞を受賞するくらい、真面目な男。


ところが、ある日、
ネルズの息子が、
コカインのオーバードーズで死亡するという
事件が起こる。


息子が薬物などに手を出すはずがない。
そう思ったネルズは、
あるきっかけから、
麻薬王・バイキング(トム・ベイトマン)率いる麻薬組織に、
息子が、偽装工作の上、殺された事を知る。


ネルズは、復讐を決意し・・・。





試写会で観た。


元々は、ノルウェーで大ヒットした、
「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」という映画を
作った監督が、
自らの手で、
ハリウッドでリメイクした作品なのだそうだ。


息子を殺された父親が、
麻薬組織の構成員を、
次々殺していくのだけれど、


なんというか、
そのやり方というのが、
復讐というより、
片付ける、と言った方がいい感じで、
笑ってしまう。


しかも、
次々登場する人物が、
え?この人も死んじゃうの?ってくらい、
一人ずつ死んでゆく(笑)。
いや、人が死んでいるのに、
(笑)←なんて付けちゃいけないのは分かってるけど、
でも、観ていただければ、
(笑)を付けたくなる気持ちも分かると思います。


雪のコロラド州の風景も美しく、
あんな大雪、見た事ないってくらい、凄い。
そして、除雪作業員を生業にしている主人公らしく、
除雪車、大活躍(笑)。
どんな風に大活躍かなのは、
お察しください(笑)。


個人的に、
めっちゃ印象に残ったセリフがあった。


人を殺して、川に流すときは、
金網に包むといいという。
なぜなら、魚が遺体を食べてくれて、
体内から発生するガスが抜けて、
浮き上がらない、と。


なるほど。
いい事聞いた・・・
・・・って、こういう事ばっかり書いてると、
いい加減、
危ない奴認定されそうだけど(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた」 [映画]

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〔2018年/アメリカ〕


ブルックリンの片隅で、
小さなレコード店を営む・フランク(ニック・オファーマン)は、
男手一つで、娘のサム(カーシー・クレモンズ)を育ててきた。


そのサムも、もう17歳。
優秀なサムは、UCLAの医学部へ進学が決まっており、
もうすぐ、家を出る。


そんなある夜、フランクは、サムを誘い、
セッションし、その曲をネットにアップロードした。
すると、それが人気を集め、注目されるようになる。
若い頃、音楽の道を挫折した経験のあるフランクは・・・。





試写会で観た。


シングルファーザーのフランクと、
娘のサムのあり方が面白い。


なんとなく、一般的には、
バンド活動に夢中になる子供に対して、親が、
「そんな事していないで、勉強しろ!」というパターンが
多い気がするんだけど、


フランクったら、
勉強しているサムに、
「ねーねー、サムー、ジャムろうよー、
 勉強なんてあとでもいいじゃん、いいじゃん」みたいな感じで、
サムは迷惑そう(笑)。


しかも、
自分たちの曲がレコード会社から目を付けられると、
「大学に行くのは、一年延ばせないかなー」だと(笑)。
なんだかんだ言って、
道を大きく踏み外せない、臆病な私からすると、
考えられないような、自由っぷり(笑)。


それから、
サムに、女の子の恋人ができた時も、
フランクは、
「ん?どうした?ガールフレンドでもできたか?
 それとも、ボーイフレンドか?」と、
まったくの日常会話のように、そんな事を聞く。


サムの性的指向をちゃんと理解してくれていて、
すごく信頼してくれている。
どんな人が父親かで、
人生は大きく変わる。


フランクとサムが、
レコード店で開催した、
小さなライブがとってもいい。
偶然でも、あんな場に居合わす事ができたら、
幸せだろうなぁ。


ラストも私好み。
なんだかホッとした。


評価 ★★★☆☆

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「パドマーワト 女神の誕生」 [映画]

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〔2018年/インド〕


13世紀。
シンガル王国の王女・パドマーワトは、
神をも平伏す美しさで、
西インドのメーワール王国の王・ラタン・シンと
恋に落ち、妃となる。


一方、北インドの武将・アラーウッディーンは、
獰猛な野心家で、
叔父を暗殺するような、手段を選ばない男。


そんなアラーウッディーンが、
パドマーワトの美しさを耳にし、
我がものにしたいと考え、
メーワール王国に攻め入るも、失敗。


諦めきれないアラーウッディーンは、
ラタンを拉致し、
パドマーワトを自分の城におびき寄せるが・・・。





試写会で観た。


いやはや、豪華絢爛。
164分という長い映画なのに、
全く飽きずに、
物語と、美しい映像に魅せられた。


・・・と、ここまで書いて、
調べてみたら、
インド映画史上、
最高の製作費が掛かっているのだそうだ。
納得。


ストーリーもいい。
タイトルにもなっている、
美しい王妃・パドマーワトを自分のものにしようと、
戦争を仕掛ける男と、
彼女を絶対的な愛で守る夫でもある、国王。


そして、男たちが力で争うなら、
女は頭だ、とでも言うように、
パドマーワトは、
知恵を使う。


特に、ある小憎らしい僧を、
自分の手を汚さずに葬った場面は、
溜飲が下がったわ。


それにしても、
美しい女って、存在だけで、
罪なのね(笑)。


なにせ、アラーウッディーンというアホ男は、
一度も会った事もない、
ただ、美しいと噂に聞いただけの
パドマーワトのために、
あれだけの大騒動。


自分が家臣だったら、怒るよ(笑)。
私の命は、
あんたの色ボケの為にあるんじゃないよ、って(笑)。
あんなんで死んでいった兵士たちは、
情けないだろう。


インド映画らしく、
ダンスのシーンもあるけど、
今まで見た事のあるのと違って、
とってもクール。
ダンスは分からない私でも、
キレがいいなと感じる。


ポスターにもあるけど、
パドマーワトの鼻輪には注目よ。
めっちゃ煌びやか。
毎回、変えてるみたいだけど、
あれは、インドの方にしたら、ピアス感覚なのでしょうね(笑)。


評価 ★★★★☆

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「パリの家族たち」 [映画]

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〔2018年/フランス〕


母の日が近づく、パリ。


女性大統領・アンヌは、
子供を産んだばかり。
今後の職務と、子育ての間で揺れている。


シングルマザーのダフネは、
仕事が忙しく、
思春期の娘の話を聞いてやる余裕がない。


大学教授のナタリーは、
教え子との恋愛を楽しんでいるが、
母親にはなりたくない。


花屋のココは、
冷たい恋人の子を妊娠してしまい・・・。





試写会で観た。


先日は、パリの、
オシャレな恋愛映画の感想を書いたけれど、
 ↓
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2019-05-23


こちらは、パリの「家族」。
いや、「家族」というより、
「母親」の物語と言った方がいいかもしれない。


子育てに悩んだり、苦しんだり、
母親にはなりたくないと思ったり、
養子をもらおうとしたり、
妊娠してうろたえたり・・・と、
実に様々な女たちが出てくる。


ヨーロッパは、福祉も行き届いていて、
子育てしやすい、と聞いた事があるけれど、
それでも、心の悩みまでは解決しない。
国は違っても、葛藤はみんな同じなのだなと、実感。

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上映前に、タレントのフィフィさんによる、
トークショーがあった。


どんなに凄い仕事をしている女性も、
たとえ20年のキャリアがあっても、
子供を産んだら、
母親としては、完全な初心者。


それはもうゼロから始めるしかないわけで、
キャリアなどは吹っ飛ぶという話に、
なるほどなぁ、と思う。


映画の中の大統領は、
大事な会議の途中で、
席を離れ、
子供のおむつを変える。


おそらく、現実に大統領が子供を持ったら、
24時間サポートできる、
数人のシッターさんを雇う気がするので、
まさか、そんな事はないと思うけど、


それでも、男性の大統領だったら、
執務中に、赤ちゃんのおむつの交換をするなど、
有り得ないだろうことは分かる。


子供を持たない、
ナタリーの行動が強烈(笑)。
どうも彼女は、
子供が嫌い、というより、
「私は母親でござい」という顔をしている女性に、
殊更、嫌悪の感情が湧くようだ。


日本は、子育てしにくい国だと言われているけど、
おフランスにも、
こんな女性がいるのだと思うと、可笑しかった(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「99歳 母と暮らせば」 [映画]

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〔2019年/日本〕


試写会で観た。


99歳の母親の介護をするため、
神奈川県藤沢市の、
母の家に移り住んだ、
谷光章監督による、セルフドキュメンタリー。


99歳の高齢者を介護する事が、
綺麗事でないのは分かっているけれど、
あぁ、なんて、面白い親子なんだろうと、
笑ってしまうし、
会場からは、笑い声が絶えない。


というのも、
介護される、お母様の千江子さんが、
なんともユーモラスで、
話す言葉の一つ一つが、とても気が利いている。


それを受けて、返答する、
監督の言葉も、また可笑しく、
2人はまるで、親子漫才みたいだ。


私が一番強く感じたのは、
監督の優しさと、心の広さ。
千江子さんが、
どんなにワガママを言っても、
笑って受け流し、決して声を荒げたり、怒ったりはしない。


カメラが回っているから、と言ってしまえばそれまでだけど、
それだけではない、
なんというか、
子供の頃、母からもらったものを返している、
という印象を受ける。


想像だけど、
千江子さんは、深い深い愛情で、
子供たちを育てたのだという気がする。


認知症とはいえ、
千江子さんのハーモニカの腕前には、
感心してしまった。
人間、好きな事、得意な事だけは
決して忘れないものなのだと、
脳の不思議さを思ったりもする。

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上映後、監督によるトークショーがあった。


認知症の方の介護は、
相手の言う事を否定しない事が大切だと言われる。


例えば、過去の事で多少の記憶違いがあったとしても、
ここは家であり、
重大会議の場ではないのだから、
そうだね、そうだったねと、
肯定してあげれば、
お互い上手くいくのだと。


介護のする上での大切な、「あいうえお」
あ ありがとう
い イライラしない
う うろたえない
え 笑顔で
お 怒らない


私は、介護というものをした事がないので、
何か言う資格はないけれど、


これは、介護だけでなく、
人生の全ての場所で当てはまりそうな、
五カ条だ。


観終わった後も、少しの間、
千江子さんの様子が頭から離れなかった。


評価 ★★★☆☆

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