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「黄昏」 [映画]

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〔1951年/アメリカ〕


19世紀末。
田舎町からシカゴに働きにやって来た、
キャリー(ジェニファー・ジョーンズ)は、
怪我をして、職場をクビになってしまう。


金にも、住む家にも困ったキャリーは、
電車の中で知り合った男・チャールズに頼るしかなく、
2人は同棲を始める。


一方、チャールズの勤務先の高級レストランの、
支配人・ジョージ(ローレンス・オリヴィエ)は、
妻に、全ての財産を握られ、
夫婦生活は冷え切っていた。


キャリーとジョージは、
いつしか愛し合うようになるが、
ジョージの妻は、
頑として離婚を拒否する。


2人は、
ニューヨークへ逃亡し、
新生活を始めるが・・・。





私が、以前、働いていた図書館で、
「地域の皆様に映画を楽しんでいただく」という
ボランティア活動をしている事は、
いままでにも、何度か書いているのですが、
ここ2年ほど、コロナの影響で、
開催がされていませんでした。


でも、やっと、
4月から活動が再開し、
上映したのが、
この「黄昏」です。


再開できた事も嬉しかったですし、
ボランティアのメンバーの皆様と、
2年振りにお会いできた事も、
本当に嬉しかったです。
活動を始めて、
16年になる、この会、
今後も、ずっと続けていきたいです。


で、映画。


「ボタンの掛け違い」という言葉があるけれど、
この物語は、
最初から最後まで、
「掛け違い」が続いてしまうという、悲劇。


登場人物、
どの立場に立って観るかで、
解釈が随分、違ってくると思われる。


キャリーが、
純粋で、愛に生きる女なのか、
強かで、
男を操りながら、
のし上がっていく女なのかは、
ネットの感想も分かれているようだ。


ジョージはどうだろう。
いい年をして、
若い女に狂ったアホなのか、
いや、
あの年になって、
本気で恋愛ができる事が羨ましいという向きもあるし。


いけ好かないジョージの妻だって、
子供たちの事を守っているし、
幸せになりたい気持ちは、
皆と同じだろうし。


私は、ジョージが、
勤務先のレストランの金庫の金を、
盗むつもりは全くなかったのに、
たまたま手にして、
返金する機会が失われてしまった場面が、
ちょっと心に残っている。


映画を観ているこちらは、
金を返せなかった顛末を知っているけれど、
レストラン側からしたら、
どう見ても、窃盗だものね。
その金を持って、
女と逃げたんじゃ、余計にそう見える。


ラストはもう、
哀しいやら、やるせないやら。


評価 ★★★★☆

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「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」 [映画]

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〔2019年/フランス〕


南フランスのアパートの最上階で、
向い合せの部屋で暮らす、
老女・ニナとマドレーヌ。


2人は恋人同士で、
近いうちに、
一緒にローマに移住しようと、
具体的な計画を立てていた。


しかし、マドレーヌは、
その事を娘と息子に
どうしても言い出せず、
苛立ったニナは、
酷い言葉を投げつけてしまう。


すると、その直後、
マドレーヌが、
回復の見込みが薄い病に倒れてしまい・・・。





これは辛い。
老いや、
同性愛、
親子関係、
人間関係、
などなど、本当に考えさせられる。


女同士で愛し合う、高齢のニナとマドレーヌ。
ニナに婚歴はないけれど、
マドレーヌは、死別した夫からのDVに耐えながら、
2人の子どもを育ててきた。


で、マドレーヌが、
病気で倒れてしまうのだけれど、
マドレーヌの娘は、
ニナの事を、
「母親と仲のいい友人」という認識でしかなく、
まさか「恋人」だなんて、夢にも想像していない。


それでも、娘は、次第に2人の関係に
気付いてゆくのだけれど、
そうすると、激しい嫌悪感を示す。
その気持ちは痛いほどわかる。
自分の母が、
父が生きている時から、
女性と深い関係にあったなんて、
1ミリもショックを受けない人なんているだろうか。
たとえ、同性愛に、
何の差別的感情のない人だとしても、
それとこれとは別問題だろう。


そして、ニナの気持ちも痛いほど分かる。
マドレーヌと、深く愛し合い、
あれほど仲良しだったのに、
彼女が病気で倒れても、
自由に顔を見に行ったり、
看病を手伝う事もできない。
世間的に見れば、
ニナとマドレーヌはあくまでも他人で、
男女でいうところの、
いわゆる、「内縁関係」ですらないのだ。


まぁ、でも、突き詰めて考えると、
これは同性愛云々だけでなく、
男女のカップルでも、起こり得る問題かも。
自分の母親が倒れたところに、
いきなり、知らない男性が現れて、
「自分は恋人でした」と言われたって、
子供は、困惑するばかりだろうし。


年を取るって、
何なのだろうと、本当に考えさせられる。
人生、いくつになってもやり直せるって、
よく聞く言葉だけど、
やり直せない事もあるんだって、
最近、私も気付きつつある。
悲しい。


評価 ★★★★☆

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23区内全駅制覇・都庁前駅 [23区内全駅制覇]

【23区内全駅制覇・各駅編】


第60回目の掲載は、
 ・都営大江戸線
「都庁前駅」です。


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おそらくですが、
「都庁前駅」を利用するかたは、
都庁の職員さんか、
都庁に用事がある方が殆どなのでしょうね。


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いつ来ても、
この庁舎には圧倒されます。


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正面の写真が多いですが、
横から見ると、こんな感じ。


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やっぱり「東京モード学園」のビルは、
目立ちます。


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都庁と向い合せにあるのが、
東京都議会議事堂。


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「新宿中央公園」に行ってみました。
裏側から写した都庁。


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このころは、まだ、
桜には早かったです。


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ここ「新宿中央公園」は、
昔は、カメラメーカーの小西六さんの研究所が
あったそうですね。


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写真だと分かりにくいのですが、
ここにいる鳩たちは、
すごく太っている子が多かったです。
他の場所より、美味しいものが多いのでしょうか(笑)。


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男性2人の大声が聞こえたので、
え!? 喧嘩!? と思ったら、
若い男の子2人が漫才の練習をされていました。
将来の大スターかもしれません。
コンビ名を聞いておけば良かった。


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せっかくの都庁ですので、
お食事は、都庁の職員食堂でしようと決めていました。
簡単な申請をして、
パスをもらい、
エレベーターで32階に上がります。


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そこはまるで、
デパートのレストラン街のようです。
しかも、とても安い。


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ここで、何度かお食事をした事がありますが、
何を食べようか、毎回迷ってしまいます。
毎日、ここでお食事をされている、
職員さんが羨ましい(笑)。


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「豚肉の甘辛炒め 蒸し野菜添え」にしました。
自分でテーブルに運んで、
職員さんに混じっていただきます。


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食堂の窓からは、
新宿のビル群と、
遠くが見渡せます。


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小雨模様だったのが残念ですが、
雨に煙った景色もたまにはいいですね。


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こちらは、反対側の窓から見た、
中野方面の風景です。





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※今まで行った駅のリンク集です。
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2010-09-22-13

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※以下に、このカテゴリーの1回目に書いた文章を
 貼り付けておきます。


2018年の4月から12月まで、
「23区内全駅制覇」というカテゴリーで、
 ↓
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2010-09-22-12
路線ごとに、駅名表示板を並べて、
掲載していたのですが、
次は「2周目」という事で、
今度は各駅の周辺を、もう少しゆっくり歩いてみたいと思います。


条件は特にないのですが、
駅周辺の雰囲気や建物を見たり、
それから、お食事かお茶ができればいいな、
と思っています。

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◆テスカトリポカ◆ [本]


テスカトリポカ (角川書店単行本)

テスカトリポカ (角川書店単行本)

  • 作者: 佐藤 究
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/02/19
  • メディア: Kindle版


『第165回 直木三十五賞 受賞』
『第34回  山本周五郎賞 受賞』


このダブル受賞は、
17年ぶり、2度目の快挙だという。
(ちなみに初のダブル受賞は、
 熊谷達也さんの「邂逅の森」でした。
 ↓
 https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2017-01-03
 こちらも傑作です)


こういう凄い本を読むと、
自分は小説家になるのは、
とても無理だな、と痛感する。
(そもそも、なれるとも思っていないが(笑))。


著者の佐藤究さんは、
日本人・・・なのよね?
メキシコや、インドネシアの、
裏社会を、
なぜこんなに深く描けるのか、


アステカの神話に詳しい、というより、
メキシコの老女の気持ちそのものになりきって、
その深い信仰心を
なぜここまで、強く描けるのか、
凄いとしか、言いようがない。
(もちろん、参考資料があるのは、
 巻末の一覧で分かるけれど、それにしても)





メキシコでは泣く子も黙る、
麻薬王の男が、
長い逃亡の末、
日本にやってくる。


彼は、日本人の屈強な男たちを、
「メキシコ式」
の教育で、殺し屋として育てる。


この
「メキシコ式」


というのが肝だ。


想像を絶する。
日本のヤクザとは、レベルが違い過ぎる。


全編、犯罪だけの本。
詳しい事は書けないけれど、
一人でも多くのかたに読んでいただいて、
この世界観を味わってほしいと思います。

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「白い牛のバラッド」 [映画]

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〔2020年/イラン〕


イランで暮らす主婦・ミナは、
夫が投獄されている刑務所に、
面会に行く。
今日は、夫の死刑執行の日なのだ・・・。


1年後、
ミナは、工場で働きながら、
聴覚障害のある一人娘を必死に育てていた。


そんなある日、
ミナは、
夫は冤罪であり、
真犯人が逮捕されたと、
裁判所から連絡を受ける。


衝撃に打ちのめされたミナの家に、
見知らぬ男が訪ねてくる。
「自分は、生前の旦那さんから金を借りていた」と・・・。





死刑反対論者の方々の理由の一つに、
「冤罪の可能性」があるのは、
よく聞く。


イランは、
世界一の死刑執行数だそうで、
だからこそ、余計に、
このような映画が作られる土壌があるのだろう。


死刑に関しては、
国や、宗教や、そして個人の考え方で、
その捉え方は違ってくるだろうけど、


なんとなく、日本では、
重大な罪を犯した者は、
死刑にするしかないのでは、
という考えが多い気がするけど、
どうなのでしょう。
私が自分で統計を取ったわけではないので、
正確な事は言えないけれど。


私自身、
重い罪を犯した人間が、
拷問などで自白させられたのでなく、
証拠があり、
しっかりとした裁判が行われたのであれば、
死刑しかないのでは、という考えなのは否定しない。


この映画は、
死刑の問題以外に、
女性の社会的地位や、
障害者の問題なども描かれ、
イランでは、
上映禁止になったという。


サスペンスとしては、
まぁ、普通な気がするけど、
イランという国を知り、
日本や、自分の考えを振り返る、
良い機会になる映画だった。


評価 ★★★☆☆

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