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「夜霧よ今夜も有難う」 [映画]

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〔1967年/日本〕


船乗りの相良徹(石原裕次郎)は、
神戸港に着いてすぐ、恋人・秋子(浅丘ルリ子)に電話をした。
「今回の上陸を機に、結婚しよう」と。


有頂天の秋子は、すぐ相良に会いに行こうとするが、
その途中で車にはねられてしまう。
そしてその後、彼女が二度と相良の前に現れる事はなく、
4年が過ぎた。


失意の相良は船を降り、
今はナイトクラブの経営をしている。
さらに彼は、「逃がし屋」の顔を持っていた。
様々な事情を抱えた者を
外国に逃がすという、裏稼業だ。


ある日、彼は、
グエン(二谷英明)というアジア系の男の訪問を受けるが、
グエンの妻を見て驚愕する。
秋子だったからだ。


グエンの祖国で革命が起こり、
何としても国に帰りたいと言う彼らの願いを
最初は断った相良だったが、
秋子を思い、協力することになる。
そんな相良に感謝したグエンが語り始めた。
秋子を車で轢いてしまったのは自分である事。
そして、ある事情で秋子は相良に会わないと決心した事を・・・。





観終わって、
この映画について検索していたら、
どのサイトにも、あの名作「カサブランカ」の翻案だと書いてあり、
「あ、そうか!」膝を打った。
というか、「調べなければ気付かなかったのか!?自分」と、
この鈍臭さに、自分が嫌になった次第。


「カサブランカ」はずっと以前にビデオで一度観たきりで、
まさか石原裕次郎がハンフリー・ボガートの役をするとは
思いもよらず、
私はむしろ、同じ石原裕次郎と浅丘ルリ子の、
「銀座の恋の物語」を思い出していたのよ。
あちらも、恋人が車に轢かれたあと、
音信不通になってしまうという内容で、
「なんだ、また同じか」って。


ただ、「銀座の~」が、
単純なメロドラマだったのに対して、
こちらは、結構楽しめる。
別に「カサブランカ」の翻案だからと、
急に感想を変えたわけではなく(笑)。


なんというか、
日本の小さな町で起こったチマチマした物語でなく、
石原裕次郎の「逃がし屋」という裏稼業に、
世界の広がりを感じる。
決して明るい話ではないけれど、
閉塞感がない。


オープニングで出演者の名前が出た時、
「太田雅子」の文字を見て、
なにかが引っ掛かった。
そうだ、「太田雅子」って、
梶芽衣子さんの本名じゃないか。
そう思って観ていたら、やっぱり出てきた。
まだ若くて、「さそり」や「女囚」や「野良猫」になる前の
初々しい梶さん。
可愛かった。


グエンが、秋子が相良と結婚しなかった理由を相良に語った時、
「誤解が解けて良かったね」と思ったのだけれど、


その後、「言ってほしくなかった」と、
軽くグエンを責めた秋子。
「彼に憎まれたままの方が良かった」と。


あぁ、なんて単純で馬鹿な私。
そうか、そうだよね。
余計な事情を知ってしまったら、
相良は秋子の心情を慮って、
切なく、苦しくなるばかりだと、
彼女はそこまで考えたのでしょうね。
いい年して、自分の事しか考えない私は、
もう少し成長しないと駄目だわね。


そうなると、すっかり細部を忘れている
「カサブランカ」が気になる。
近いうちにもう一度観てみよう。


評価 ★★★☆☆

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