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「漂流死体」 [映画]

hyoryushitai.jpg
〔1959年/日本〕


在日米兵・ロバーツが行方不明となり、
脱走兵として、
神奈川県警に捜索願が出された。


しかし、一兵士がいなくなっただけで、
中尉がわざわざ出向き、
捜査を依頼するのはおかしい。


毎朝新聞の記者・永瀬一郎(三國連太郎)は、
この件について調べ始めるが、
同じバーで聞き込みをしていた刑事が、
翌朝、遺体で発見される。


さらに、その後、
ロバーツの漂流死体が見つかり、
事件は、麻薬組織の犯行であることが、
濃厚となる。


永瀬は、後輩記者・山中(高倉健)の
協力を得て、
事件解明に奔走する・・・。





まだお若い頃の、
三國連太郎さんと高倉健さんが
共演した、この映画。


お二人が同じ画面におさまると、
おぉ!という気持ちになる。
大御所になってからならともかく、
まだ青年といってもいい二人が、
このころから共演していたんだなぁと思うと、
感慨深い。
このような作品があって、
今の映画がある。
脈々と続く、映画の歴史。
いいなぁ。


映画とは関係ないけど、
お若い頃の三國連太郎さんと
息子の佐藤浩市さんって、
本当によく似ていて驚く。
もう絶対、二人は親子だと、
たとえDNA検査などしなくても、
(そんなもの、するわけないだろうが(笑))
誰が見ても認めるくらいの、ソックリ度。


二世タレントは、
色々言われる事が多いけど、
佐藤さんは別格。
親子揃って、
いい映画を作ってくださるのは、
本当にありがたい事です。


で、映画。


アメリカ兵が絡んだ、
大がかりな麻薬組織について調べる、
新聞記者という物語だけど、
日本はもう、アメリカの言いなり。


アメリカが「捜査しろ」と言えばするし、
「手を引け」と言えば、うやむやに。


昔だから、というわけではないだろう。
今だって、同じような事は沢山あると思うし、
痛し痒しの面もあるだろうから、
それが駄目とは言い切れないけど、
殺人まで、なかった事にされてしまっては、
若い記者が苛立つのも分かる。


悪の黒幕の、
小沢栄太郎さんが、またいい。
いつも、いやらしい悪人を演じて、
毎回こんなにハマるって、
凄い事だ。


評価 ★★★☆☆

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「散歩する霊柩車」 [映画]

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〔1964年/日本〕


タクシー運転手・麻見(西村晃)の
妻・すぎ江(春川ますみ)は、
バーに勤める、大変にグラマーな女で、
複数の男と関係を持っている。


麻見は激しい嫉妬心を燃やすが、
ここは怒るより、
金を儲けた方が得だ、と、
すぎ江と共謀し、ある犯罪を思い付く。


それは、すぎ江が自殺したと見せかけ、
2通の遺書の宛名をそれぞれ、
彼女の浮気相手の会社社長・北村と
医者の山越にし、
ゆすって、金を出させようという算段だ。


計画が実行される。
すぎ江は棺桶の中に横たわり、
麻見は、霊柩車で、
北村と山越の所を回り、
その死に顔を見せ、
金を要求する。


ところが、霊柩車の運転手(渥美清)が、
そんな麻見の行動を不審に思い・・・。





何とも不気味なタイトルのサスペンス。


1人の男では満足できず、
何人もの男と同時進行で付き合わずにはいられない、
淫蕩な女を妻に持つ西村晃さん演じる主人公・麻見。


その妻を演じる春川ますみさんの、
グラマーな事ったらない。
まぁ、今の時代にあの体型は、
グラマーというより、
太っている、といった方がいいのかもしれないけど、
でも、むしろリアリティがあって、いい。


ちょっとだらしない女を演出しているせいか、
昭和な白いスリップ姿や、
バスタオルを体に巻いただけの姿で
部屋をウロウロする春川さん。
悪女の貫禄たっぷりだ。


大柄で、ドーンとしている春川さんと一緒にいると、
小柄な西村さんがますます小さく見える。
解説を見ると、
それは狙っての事らしい。


西村さんの嫉妬心に、ちょっと笑ってしまう。
彼は、タクシードライバーだというのに、
商売道具のタクシーで、
春川さんの後を付けては、
男たちとの逢い引きを確認して、
嫉妬心を燃やしている。


そんな事より、仕事しろよって(笑)。


で、その嫉妬心から、
犯罪を思い付くわけだけど、
これがもう、
どんでん返しに次ぐ、どんでん返し。
最後まで目が離せない。


渥美清さんが、
霊柩車の運転手というのも、凄い。
彼は西村さんの計画に、
直接関わってはいないけれど、
あの細い目が、
「すべてお見通し」と言っているようで、怖い。


評価 ★★★☆☆

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「スイス・アーミー・マン」 [映画]

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〔2016年/スウェーデン〕


海で遭難し、
無人島で過ごしていたハンク(ポール・ダノ)は、
孤独に耐えかね、
今、まさに自殺しようとしていた。
その時、目に入ったのが、
海岸に流れ着いた男(ダニエル・ラドクリフ)。


駆け寄ってみると、
男は既に死んでいた。
遺体は腐敗が始まり、
体内にガスが溜まっている事に気付いたハンクは、
そのガスを燃料に、
ジェットスキーのように背中の乗り、
沖に向うも、途中で気を失う。


ふと気づくと、
どこかの海岸で、
遺体と共に横たわっていたハンク。
結局、島から島へ移動しただけらしい。


しかし、ここは、
今までいた島よりマシだ。
ゴミが沢山落ちている。
人間が住んでいるのかもしれない。


ハンクは、
遺体を背負い、
ジャングルに入った。
すると、遺体が言葉を発した。
名前をメニーというらしい・・・。





出先で、時間が余り、
何か一本観ようと思ったところに、
ちょうどいい時間の映画が、
これしかなかった。


タイトルからは、
さっぱり内容が分からない。
スマホから解説を読んでみると、
ダニエル・ラドクリフ君が遺体の役をしていると
書かれてある。


遺体かぁ、
多分平気だとは思うけど、
万が一、気持ち悪くなったら嫌だな、と思ったけど、
ま、いっか、とチケットを買って中へ。


すると、ロビーに置かれていた、
ラドクリフ君の遺体人形。
怖いよ(笑)。
SNSで拡散しろったって、
かえって逆効果になるんじゃないのか(笑)。

swissarmyman2.JPG

映画も、やっぱり普通じゃなかった。


「スイス・アーミー・マン」とは、
「スイス・アーミー・ナイフ」をもじったものらしく、
日本語でいえば、
十徳ナイフならぬ、十徳人間?
様々な場面で役に立つ人間、という意味らしい。


遺体そのものがジェットスキーになるのもそうだし、
喉が渇いたハンクのために、
口から水が出てくる。


ただ、どうなんでしょ。
ファンタジーだと割り切って観ていればいいんだろうけど、
遺体の口から出た水を飲むシーンを、
私は直視できなかった。
いくらなんでも(笑)。


メニーのおかげで、
ハンクの孤独な気持ちが和らいだのは、
良かったと思うけど、
とにかく、何度も言うけど、
メニーは遺体だからね(笑)。
そんなものに頼ってていいのか、って(笑)。


ハリー・ポッター役で、
一世を風靡した
ダニエル・ラドクリフ君も、
こんな役をするようになったかと思うと、
感無量といえばそうだけど、
これは俳優として、
上がりなのか、下がりなのかが、
よく分からない(笑)。


とにかく奇妙なお話。


評価 ★★★☆☆

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「22年目の告白 私が殺人犯です」 [映画]

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〔2017年/日本〕


22年前、
都内で5件の殺人事件が発生。
その、凄惨を極める殺害方法から、
同一犯の仕業と思われたが、
結局、犯人逮捕には至らないまま、
事件は時効を迎える。


すると、時効が過ぎたタイミングで、
曾根崎雅人(藤原竜也)なる男が、
自分が真犯人だと名乗りを上げる。


彼は、記者会見を開いた上、
告白本まで出版。
そのルックスと、衝撃とで、
世間は大混乱、
本は、売れに売れる。


曾根崎は、マスコミを利用し、
テレビカメラの前で遺族に土下座したり、
当時の担当刑事・牧村(伊藤英明)を挑発し、
自分を殴るように仕向けるなど、
やりたい放題。


テレビ局は、
曾根崎の生出演を熱望しながらも、
倫理上、なかなか踏み切れずにいたところに、
ニュース番組の司会者にしてジャーナリストの
仙堂俊雄(仲村トオル)が、
自分の番組に彼を呼ぶことを決める・・・。





ハワイの帰りの飛行機内で観た。


機内で、あまり暗い映画は嫌だけれど、
これは、殺人を扱いながらも、
エンターテインメント性が高そうで、
そこまで深刻でもなさそうだったので選んだ。


それに、この間まで、
劇場にかかっていたので、
DVDになる前に、と思って(笑)。


殺人犯が、
時効が過ぎたのをいい事に、
自分から名乗り出て、
世間を騒がせるって話だけど、


途中から、
流れが変わってくる。
これは、個人的好みの問題だけど、
私としては、
そのまま、突っ走ってほしかった気がする。
ネタばれになるから、
詳しい事は絶対に書けないけれど。


まぁ、それを求めても、
元々、韓国映画がオリジナルだそうだから、
仕方ないんだろうけど。
韓国映画は、この手のストーリーが得意そうだから、
近いうちに観てみたい。


で、色々考えさせられる。


現実でも、
過去に衝撃的事件を起こした殺人犯が、
本を出版し、
一時、大きな話題になった事があったけど、


例えば、いくら本人が企画を持ち込んだとしても、
本を出す出版社ってどうなのよ、と、
私は釈然としなかったし、
Amazonで、一瞬でも、
売り上げ1位となるに至っては、
溜息しか出なかった事を思い出す。
もちろんこれは、私の個人的考えであって、
様々なご意見があるでしょうけれど。


アメリカでは、
加害者が、自分の起こした事件をネタに、
金を儲けるような行為は、
法律で禁じられていると聞いた事があるけれど、
当然ではないかと思う。


それから、
これも、何度かあった事だけど、
殺人犯や、殺人を犯したカルト集団のスポークスマンの
ルックスが多少いいからと、
追っかけが現れるような現象。


私も相当な馬鹿者だけど、
それはないよなぁ。
まぁ、そんなのは、
ほんの数人がしている事を、
マスコミが大袈裟に報道しているんだろうとは
思うけど。
っていうか、思いたい。


評価 ★★★☆☆

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「ジーサンズ はじめての強盗」 [映画]

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〔2017年/アメリカ〕


ジョー(マイケル・ケイン)、
ウィリー(モーガン・フリーマン)、
アル(アラン・アーキン)の
仲良し老人3人組は、
40年間、真面目に働き、
老後はのんびり年金で暮らすつもりでいた。


ところが、
働いていた会社が、買収され、
当てにしていた年金が受け取れなくなってしまう。


さらに、家のローンの金利が上がり、
このままでは破産は必至。
そんな中、
銀行で強盗に遭遇したジョーは、
「これだ!」とひらめく。


3人は銀行の金を奪うべく、
綿密な計画を立て・・・。





ハワイに向かう飛行機内で観た。


これからハワイに行こうって時に、
あまり長い映画や、
重い内容の映画は、
絶対避けたい(笑)。


そして、できれば、
最近公開されたけれど、
見逃してしまった作品で、
少し「お得感」を感じたい(笑)。


というわけで、
選んだのがこれ。
内容も、
1時間36分という長さも、
ちょうどいい。


中々面白かった。
3人の爺さんたちが、
死ぬまで受け取れると思っていた年金を
受け取れなくなり、
「ちっくしょー!」という事で、
銀行強盗を計画する。


この計画ってのが、
なかなか綿密で、
完全犯罪も夢じゃないって感じで、
素人にしては上出来(笑)。


途中、ちょっとした危機があり、
それが後になって、
「もうダメか!?」と思う場面に繋がるんだけど、
オチは書かない。
ただ、凄くシャレている。


それにしても、
どこの国も、年金問題は深刻ね。


この映画の年金とは、
日本で言う所の、
企業年金を指すんだろうけど、
日本なんて、
つい最近も、
また支給漏れが発覚したばかり。
年金機構って、公的機関なんでしょ?
一体何をやっているのか。


それから、
このタイトルって、どうなのよ。
「ジーサンズ」て。


この映画が、
実はリメイクだという事を、
ほんのさっき、知った。
オリジナルは、日本未公開で、
「お達者コメディ シルバー・ギャング」というらしい。
このタイトルの方が、
「ジーサンズ」よりは、ずっといい。


で、その「お達者コメディ」、
ソフトはあるようなのだけれど、
レンタル店でも、ヤフオクでも、Amazonでも、
検索したけど見つからない。
うーん、観たい。
何とかして探したい。


評価 ★★★★☆

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