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「少女妻 恐るべき十六歳」 [映画]

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〔1960年/日本〕


16歳のユキ(星輝美)は、
ヤクザの組が仕切る、
売春組織で働いている。
戦争で家族を失った彼女にとって売春は、
生きるための手段だと思っている。


ところが、チンピラの五郎(鳴門洋二)と
親しく会話するようになってから、
ユキの気持ちに変化が現れる。
五郎と一緒にいたい、
ここから抜け出したい、と。


そんな中、逃げようとした、
仲間のひろ子と、ひろ子の恋人・本間が、
見せしめのように殺される。


ユキと五郎の気持ちは、
それでも変わらない。
2人の本気を見た、
ベテラン売春婦・銀子は、
彼らを、
河口湖に住む、かつての恋人の所に
逃がそうと画策するが・・・。





タイトルはセンセーショナルだけど、
内容は、写真からも分かるように、
ちょっと爽やかな恋愛ものっぽい。


もちろん、ショックな場面は多い。
まだあどけない16歳前後の少女たちが、
ヤクザに見張られながら、
売春したり、美人局しながら、
日銭を稼ぐなんて。


ただ、少女たちにズベ公感があまりなく、
売春は生活のために仕方ないといった雰囲気なのが、
不潔さを感じずにいられる一因なのかもしれない。


ユキが「仕事」を終えて、
部屋に帰ると、男が部屋で待っている。
私は「少女妻」というのは、
この男が夫で、
ユキが妻という意味だと思っていたのだけれど、
どうやら、こやつは単なるヒモらしい。


しかも、ヤクザたちは、
「人事異動」と称して、
これからは月1回ずつ、
ヒモを入れ替えるという、勝手な掟を作り出す。
物凄く嫌な気持ちになる。
女を一体何だと思っているのか。


そんな中、芽生えた、
五郎との恋。


2人が遊園地でデートした場面は、
闇社会の映画とは思えないくらい可愛く、爽やか。
現に2人は、
見知らぬ女子高生から、
「”現代の若者たち”というテーマで写真を撮らせてほしいと」言われる。
何も言わなければ、
売春婦とチンピラの組み合わせなどとは
とても見えないからこそ、声を掛けられたのであろう。


けれど、ユキは激しく怒り出す。
それは、声を掛けられた事に怒ったのではなく、
自分と同じ年頃の少女が、
制服を着て、
青春を謳歌している事への怒りと苛立ち。
そう、ユキは、
根はとても真面目なのだ。
学校に行きたいと話す場面もある。


その後の2人の逃避行は緊張するけど、
いつの間にか、
天知茂と宇津井健が主役のようになっちゃってるのが
ご愛嬌(笑)。


まぁ、
闇社会、青春、ハードボイルドと、
色々味わえるから、いっか(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「女獣」 [映画]

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〔1960年/日本〕


現金輸送車が襲われ、
犯人グループの一人・秀子が、
内輪揉めの末に殺される。


婦人警官の瀬川路子(松浦波路)は、
囮捜査のため、
新宿のヤクザが仕切る、
ズベ公グループの一員になる。


グループの中で、
女たちから一目置かれている朝子(小畑絹子)は、
どこか品があり、
路子は彼女にシンパシーを感じる。


朝子と親しくなるうちに、
彼女が、昔殺された父親の仇を取るために、
ヤクザの情婦になった事が分かる。


ところが、朝子が机に隠していた拳銃が、
秀子を殺したものと
同一なのが分かり・・・。





強烈なタイトルだけれど、
内容は、
囮捜査のため、
新宿の闇組織に潜入する
婦人警官の物語。


しっかし、
この映画のように、
女性が潜入捜査するなんて事、
現実にあるんだろうか。


とにかく、危ないったらない。


ヤクザに、自分の情婦になれと言われ、
ホテルに連れ込まれ、
貞操を奪われそうになったり、


ホテルから逃げたら逃げたで、
それに腹を立てたヤクザから、
覚せい剤を打たれそうになったり。


映画だから、
すんでの所でいつも助かるけど、
現実だったら、
そういつも、上手く逃れられるとは思えない。
囮捜査というものが、
現実にあるとするなら、
そういった時は、
どうやって難を切り抜けるのであろうか。


ところで、
覚せい剤を打たれそうになった路子を助けた時の、
朝子のセリフがいい。
「あんた、ヤクの力を借りなきゃ、
 女をモノにする事もできないのかい!」と。


全く全くその通り。
この種の男って、
暴力や薬で女を自由にしようとするけど、
一体何が楽しいというのか。
体をモノにしても、
心まではモノにしていない。
もっと自分の魅力で、
女に本気で惚れられてみろって。


路子とは立場も状況も違うけれど、
朝子も、ある種の囮みたいなもので、
元々、真面目な人間なのに、
今は、完全に薬中になってしまっている。
父の仇のために、そんな事に・・・
と思うと、可哀想でならない。


色々あるけど、
ラストは強引に解決(笑)。
それなりに面白かった。


評価 ★★★☆☆

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「九十九本目の生娘」 [映画]

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〔1959年/日本〕


岩手県の北上川流域に、
キャンプに来ていた男2人女2人のグループ。
ところが、女2人が忽然と消えてしまう。
男たちは警察にそれを訴えるが、
本気で向き合ってくれない。


その土地では、
「麓の村人」と「山の住人」の、2つの集落が、
互いに殆ど関わり合う事なく、生活していた。


実は、もうすぐ「山の住人」による、
「火づくり祭り」が始まるのだが、
祭りで刀を鍛える際、処女の生き血が必要で、
キャンプに来ていた女たちは、
そのせいで、連れ去られたのだ。


女たちの遺体が発見され、
警察が捜査に乗り出す。
すると、神社から、
98本の刀が見つかり、
それらはどれも、血で曇っていた。
さらに、山頂では、
人間の白骨が無数に発見される・・・。





アマゾンの奥地などには、
現代文明に一度も触れる事なく、
原始生活を営んでいる部族が
まだ存在すると、
何かで読んだことがあるけれど、


そのような人々が、もし日本にもいるとしたら、と、
この映画を観ながら想像していたら、
めちゃくちゃワクワクするような気持ちになった。
(サンカの伝説なども、あるにはあるが)


そう、この映画は、
山の奥に、一般社会とは隔離されたように暮らす集落での、
出来事が描かれる。


タイトルから想像して、
「トンデモ映画なんだろう」と
勝手に想像していたけれど、
ツッコミどころはあるものの、
ストーリーの辻褄がそれなりに合っている、
面白い映画だった。


先ほど書いた、
アマゾンの原住民ほどには、
「山の住人」は「麓の村人」と接触がないわけではないが、
「山の住人」が暮らす場所は、
警察さえも把握しておらず、
死体が発見されてから、
捜査して初めて、
「どうやら、滝の向こう側に集落があるらしい」と
知ったくらい、
それまで、何の情報もなかったようだ。


ただ、そのような集落が存在するのは、
夢があると思うけど、
治外法権なのは、いただけない。
「山の住人」は、
それはもう、簡単に人を殺す。


警察が山に入ってくると、
「山の住人」一丸となって、
弓を射ったり、上から岩を転がしたり。
怖いもの無しの人々の怖さを見た思いがした。


ところで、
キャンプに来ていた女たちの生き血に、
出来上がったばかりの刀をつけた時、
「だめだー、あの女たちは穢れていたー」
と言ったのには笑った。


刀だけで、そんな事が分かるって、
どういう仕組み?(笑)。


評価 ★★★★☆

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「愛の三分間指圧」 [映画]

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〔1968年/日本〕


やっと観る事ができた。


もう、観たくて観たくて
たまらなかったの(笑)。


浪越徳治郎センセイといえば、
「指圧」という健康法で有名らしいけど、
私の中では、指圧よりジェットコースター(笑)。
たけちゃんの番組で、
ジェットコースターに乗せられた時は、
「だ、大丈夫か!?」と大笑いしたものだ。
今、あのような企画があったら、
「老人虐待だ」と怒られるだろうか。
いい時代だったなぁ。


で、その浪越センセイが、
主演する映画が存在することを知ったら、
観たくなりません?
(って、誰も興味ないか(笑))


で、やっとソフトを見つけて、
はやる心を抑えながら(笑)、観てみたわけだけれど、
ポスターは、
なんだかエロっぽいけど、
内容は真面目。
浪越センセイが、
3人の女の子を練習台に、
指圧の方法を観る者に伝授するという、
ハウツーもの。


頭痛の治し方から始まって、
段々、体の下の方に向かって、
各箇所の病気を治してゆく。
最後は足の指まで刺激する。


エロっぽいといえば、
途中、
男女の和合のツボみたいなものが紹介されるくらい。
それも、別にセンセイは、
いやらしい意味で施術しているわけではないし。


浪越センセイが教える
指圧というものに、
どれくらいの効果があるかは分からないけど、
体調が悪い時に、
試してみるのもいいかも、と思う。


特別な道具もいらず、
使うのは「手」だけ。
センセイも、「自分でできます」と言われているし、
体調不良な方に、して差し上げるのもいい。
お金がかかるわけでもないし、
副作用もない。
ダメ元でやってみて、
効果がなかったとしても、
損するわけでもないし。


この浪越センセイ、
マリリン・モンローが、
新婚旅行で日本に来た際、
胃痙攣を起こして、苦しんでいるモンローの部屋に呼ばれ、
指圧で治されたのだそうだ。
その時、彼女が身に纏っていたのは、
伝説にもなっている通り、
本当に、シャネルの5番だけだったと、
映画の中で話している。


私は、
「〇〇健康法」と聞くと、
その提唱者が、何歳まで健康で生きられたかという結果が出るまで、
効果は分からないと思っているけれど、


この浪越センセイ、
94歳まで生きられたそうなので、
それなりの結果は出せているんじゃないだろうか。
まぁ、指圧だけのおかげじゃないんだろうけど。


とにかく、このような映画が、
当時、劇場にかかったというのが、凄い。
もちろん、
何かの作品と併映だったんだろうとは思うけど(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「グッド・タイム」 [映画]

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〔2017年/アメリカ〕


ニューヨークで暮らす、
コニー(ロバート・パティンソン)は、
知的障害者の弟・ニック(ベニー・サフディ)と2人で、
銀行に押し入り、金を奪う。


すぐに警察に追われ、
コニーはなんとか逃げおおせるが、
ニックは捕まり、収監されてしまう。


ニックが留置所で、
囚人たちから暴行を受け、
入院したと知ったコニーは、
病院へ行き、
外に連れ出す事に成功。


病院の送迎バスに紛れ込み、
遠くに行こうとするも、
深夜、泊まる所もない2人は・・・。





試写会で観た。


大都会の最下層で暮らす、
白人兄弟の、
一夜の出来事を描いた映画。


始まってすぐに、
銀行強盗の場面があるので、
コテコテの犯罪物かと思っていたけど、
そうではなく、
ロバート・パティンソン演じる
主人公・コニーの、
焦りの様なものが全編通して伝わってくる。


そう、
この映画を観ていると、
とにかく焦る。


金が無いから盗まなくては。
警察に追われてるから逃げなくては。
弟が捕まったから、保釈金を調達しなければ。
弟を連れ出せたから、どこかへ行かなければ・・・。


観ている間中、
心で、「早く早く」と急き立てていた気がする。


そもそも、なぜコニーは、
障害のある弟を伴って、
銀行強盗をしようと思ったのだろう。
あれなら、一人で行った方が、
ずっと成功率も高かったのに。


弟を愛するあまり、
金が欲しくて強盗したのに、
その金を弟の保釈金に使おうとするなんて、
本末転倒というか、
なんか、意味が分からない事になっている。


ちょっと面白く思ったのは、
銀行から金を盗んで逃げる途中、
鞄から真っ赤な煙が噴き出し、
コニーたちの、
顔も、服も、そして札束も、
真っ赤に染まってしまった場面。


銀行は、
強盗が来て鞄に札束を投げ込む際、
仕掛けをするわけね、と、
ちょっと感心というか、
そんな気持ちで観ていた。
そりゃあそうよね。
金を盗られるのを、
指をくわえて、黙って見ているだけなんてわけがない。


途中、「え~!」という出来事があり、
客席からは笑いが起こる。
私も可笑しかった。
そ、そうだったの!?って。


その後、舞台は夜の遊園地に移る。
ここでも、焦る。
やっぱり最後までずっと焦っている。


ロバート・パティンソンは、
「トワイライト」でブレイクして、
そのままアイドル路線まっしぐらかと思っていたら、
その後は、こういった、
捻った作品に出たがる傾向がある気がする。


「俺はアイドルでは終わらないぜ」という、
決意の表れか。


評価 ★★★☆☆

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