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「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」 [映画]

kisekinokyoshitsu.jpg
〔2014年/フランス〕


パリ郊外のレオン・ブルム高校。
この学校の中でも、
特に落ちこぼれが集められたクラスに、
歴史の教師・アンヌ・ゲゲン(アリアンヌ・アスカリッド)が赴任してくる。


教員歴20年のアンヌは、
熱心に生徒たちを指導するが、
彼らは、
アンヌの気持ちそっちのけで問題行動ばかり。


ある日、アンヌは、
生徒たちに提案した。
「歴史コンクールに出てみないか」、と。
しかし、テーマがアウシュヴィッツだと知った生徒たちは
そんな難しい事は無理だと反発する。


アンヌは、
教室に、レオン・ズィゲルという
初老の男性を連れてきた。
彼は、10代半ばで強制収容所に入れられたが、
何とか生き残った一人だった。
彼の体験談を聞いた生徒たちの目からは
自然に涙が溢れ・・・。





試写会で観た。


映画の前に、映画監督・井筒和幸さんのトークショーがあった。

kisekinokyoshitsu2.jpg
※映画ナビさんより


なぜ、このような教育映画っぽい作品に、
井筒監督?と思ったけれど、
監督は、ワルシャワにある、
アウシュヴィッツの強制収容所を訪れた事があるのだそうです。


ここに送られてきたユダヤ人たちは、
それこそ、本当に「手際よく」「選別」され、
ガス室に送られていった事が見て取れ、
ショックで息ができないと言うか・・・、
他に来ていた見学者の皆さんも、
言葉も発せず、
写真を撮る事もできないようだった・・・と
貴重な体験を話して下さいました。


で、映画は、と言えば、
舞台はパリの高校だというのに、
生徒の殆どが有色人種ばかりという、その様子に、
まずハッとする。


東洋人らしき生徒も2人いる。
多少は察していたけれど、今や、フランスの底辺層といえば、
有色人種を指すのかと、
リアルな現実を見た気分。


その高校生たちは、
勉強しようなどという気は更々無く、
教室でする事といえば、
男子は喧嘩、
女子はマニキュア(笑)。


そんな彼らが、
教師の提案とはいえ、
アウシュヴィッツの研究をしながら、
一つになってゆく様子は、
なかなか興味深い。


人は、できれば、
あくまでもできればだけど、
たった一つでも
何か夢中になれるものがあると、
一瞬でも、
辛いことや、悲しい事も忘れられて、
その人のためにも良い事なんじゃないかと、よく思う。


この生徒たちが、まさしくそう。
ちょっと残念だったのは、
生徒一人一人が抱えている問題が
殆ど描かれていなかったので、
感情移入がしにくかった事。
まぁ、そういう映画ではないから、
仕方ないんだけど。


評価 ★★★☆☆

nice!(68)  コメント(18)  トラックバック(1) 

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コメント 18

don

こんにちは~
ぼくがドイツ人だったら、いまだにアウシュビッツで叩かれるのは、
すごい嫌です。
善良なドイツ人は、たまらんでしょうね。
by don (2016-07-27 12:33) 

ニッキー

せっかく妹に声をかけてくださったのに、仕事の都合がつかず(T_T)
面白そうな映画だったのに残念です(T_T)
声をかけてくださり、本当にありがとうございました<(_ _)> by ちびどら姉
by ニッキー (2016-07-27 13:45) 

hatumi30331

この映画は観たい!!
WOWOWでやりそうな映画やから待つよ。
よさそうやね。^^
by hatumi30331 (2016-07-27 14:31) 

tommy88

高校生が休み時間になると外に出て煙草を吸っていました。
巴里での驚く光景でしたが、それは私が日本の高校教師だからでしょう。
吸い殻が街に捨てられまくる光景は、驚きでした。
去年の1月に10日間ほどパリの街を歩き回って高校生と浮浪者に驚き。
しかし、個人の意見をシッカリ持って自立しているようです。
格差は激しく、人種区別も激しく、愛国心も強い。変わった国だと思いました。
自虐的な歴史観を持つ国とは違って、移民の国の強さは感じられました。
沖縄、広島、長崎を、受け継ぐ気運は、ポケモンgoほどはないのかな。
そういう夏がまたやってきております。

by tommy88 (2016-07-27 16:29) 

yonta*

ちょっとお話ししましたが、
以前観た「パリ20区、僕たちのクラス」という作品と
見比べてみたくて、気になっていた作品でした。

「パリ20区~」は中学校が舞台で、
ドキュメンタリーじゃないのに、現実な感じがして、
身につまされてつらかったなあという印象で。
井筒さんじゃないけれど、こんなクラスの担任は
絶対にイヤだって思ってしまうような^^;

でもこちらは、やる気のなかった子たちが
だんだんまとまっていって…
それが戦争の話で、というのも良かったと思いました。
体験した人から話を聞いて、
きちっとショックを受けて、さらに調べてまとめて
また人に伝えていく。
つらいけれど、とても意義のあることですものね。

ひとつになっていく様子を見ているのって、
スポーツもの(アメフトとか、チームでやるもの)
を観てる時の感じと似てますね(^^)
by yonta* (2016-07-27 20:15) 

ひろし

よくありがちなストーリーではありますが、観てみたいですね。
悪ガキが一つになっていく様子が描かれてるんでしょうね。
おっしゃるように、生徒達の境遇が回想できるシーンがあればより引き立ったんじゃないかと思いますが・・・
by ひろし (2016-07-28 09:25) 

裏・市長

いま、小中学校で「戦争」とか
「ガス室」とか言われても、すでに歴史やね。
まったく実感が湧かないと思うの。
他人事やね。フィクションみたいに思えるかも。

共感せよ!そこから学べと言われても、
ちょっと無理かもね。
スマホの電池切れのほうがよっぽど切実。
戦争なんか知らなくても生きていけるけど、
スマホを取り上げられたら生きてゆけないよ!。

ラインで常に繋がっているのが「友達」だからね。


この場所に井筒和幸監督は
なんか違和感あるわぁ・・・。
最近、映画撮ってる?。
すっかりバラエティーのコメンテーターという
イメージ。キャラクターで売ってる感じ。

まぁ、中川翔子さんとか矢口真里さんみたいに、
なんでもかんでも節操なしに
「昔からファンでした!」とか、
「昔から愛用してます!」と首、突っ込んでくるよりは
よっぽどマシですけれども。


by 裏・市長 (2016-07-28 10:56) 

きよたん

ナチスがつくった強制収容所はヨーロッパ中にありました
アンネフランクの足跡を訪ねる旅で生き残りの方にオーストリア
のマウントハウゼン強制収容所跡を案内していただく機会がありましたが実際のナチスによる様々な悪行の痕跡にヒトラーへの憎しみより
人間の悲しさ 愚かさを感じました。20代の頃でしたが貴重な体験と
なりました。
by きよたん (2016-07-29 06:06) 

青山実花

donさん
コメントありがとうございます。

なるほど。
今まで考えたことはありませんでしたが、
一理あるかもしれませんね。
日本に立場を置き換えると、余計に。

一度そう考えてしまうと、
これからナチスの映画を観たら、
今までも全く違う感想を持ってしまいそう^^;

by 青山実花 (2016-07-29 11:42) 

青山実花

ちびどら姉さん
コメントありがとうございます。

いえいえ、
試写状が2枚ありましたので、
ちびどらさんが行かれないかと、
声をお掛けしただけなのです。

今回は残念でしたが、
また何かありましたら、
ご連絡いたしますね。
これからも宜しくお願い致します。

by 青山実花 (2016-07-29 11:44) 

青山実花

hatumi30331さん
コメントありがとうございます。

ぜひぜひ観てみて下さい。
荒れていた生徒たちが変わっていく流れが
いいと思います。
by 青山実花 (2016-07-29 11:45) 

青山実花

tommy88さん
コメントありがとうございます。

学校で煙草を吸っても、
全ては自己責任ということでしょうか。
私も、外国帰りのかたが、
向こうの若者が、
政治や経済に驚くほどの知識と意見を持っている事に
カルチャーショックを受けたと話しているのを
聞いた事があります。
私もフランスに行ってみたい。

今の日本の学生がどんななのか、
最近は接する機会もあまりないのですが、
どうなんでしょう、
歴史よりポケモンなのでしょうか^^;

by 青山実花 (2016-07-29 11:52) 

青山実花

yonta*さん
コメントありがとうございます。

「パリ20区、僕たちのクラス」は未見です。
考えさせられる映画のようですね。
今は学校の先生も大変ですね。
私が子供のころとは、
劇的に状況が変わってる。
日本も外国も、それは同じなんでしょうね。

この映画は、
生徒たちがそれなりにまとまってゆく
過程が良かったですね。
ナチスの体験者の方の話を聞いて、
涙を流すなど、
若い感受性っていいなと思いました。

そうそう、スポーツみたい。
ラストも、勝ちか負けか、の二つに一つというのも、
スポーツと同じですね。
まぁ、結果は分かっていますが^^;
by 青山実花 (2016-07-29 11:59) 

青山実花

ひろしさん
コメントありがとうございます。

荒れていた学校が、
先生の采配一つで、
劇的に変わっていくという物語は、
古今東西ありがちではありますが、
どれも結構感動しますよね。

はい、生徒の私生活などが描かれていたら、
もう少し感情移入できたのではないかと思います。

by 青山実花 (2016-07-29 12:42) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

確かに、今の子供たち(まぁ、私たちもですが)に、
戦争を考えろと言っても、
中々実感が湧かないでしょうね。
戦争を知っている世代はどんどん少なくなるし、
戦争を描いた映画は、
しゃっちょこばってるばかりで、
全然面白くないし。
(戦争を讃えろというのではなく、
 もっと若い世代が共感できるような作り方はないのかと
 思ってしまいます)

ほんと、井筒監督って、
どんな映画にもケチ付けてるイメージなので、
このような場に来られて、
映画を褒めても、
「本気で言ってる?」と言いたくなります^^;

矢口さんは、いかにも「いっちょかみ」なイメージなのですが、
しょこたんも噂通りなんでしょうか。
少なくとも、裏・市長さんはそう思っていると
いう事なのでしょうか。
うーん、気になる・・・。

by 青山実花 (2016-07-29 12:54) 

青山実花

きよたんさん
コメントありがとうございます。

戦争って、
誰がどうした、というより、
人間が集団になったり、
洗脳されたりすると、
どんな恐ろしい事でも出来てしまうというのが
重大なのでしょうね。
20代でそのような体験ができたことは、
きよたんさんにとって、宝となりましたね。

by 青山実花 (2016-07-29 12:57) 

su-nya

アウシュビッツや広島は
歴史だけれど私には直視できないと思います。

有色人種が最下層、って
古代ローマ 近代の奴隷制
そして現代でもやっぱり続いているのね

ヨーロッパを旅したとき、蔑む目で見る人も
まだいるのだと感じました。
by su-nya (2016-08-01 08:59) 

青山実花

su-nyaさ
コメントありがとうございます。

辛くて直視できない事、
ありますね。
無理する事はないと思います。

やっぱり現代でも
差別はありますね。
ネットのせいもあってか、
昔より耳にする機会も多いような・・・。
by 青山実花 (2018-12-30 19:56) 

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