SSブログ

「グッモーエビアン!」 [映画]

goodmorningeveryone.jpg
〔2012年/日本〕


アキ(麻生久美子)・シングルマザー。
17歳で産んだ娘・ハツキ(三吉彩花)は、現在中学3年生。
元パンクバンドでギタリストをしていたアキの、
全ての判断基準は、ロックか、そうでないか。
そんな風変りな母親だが、
ハツキとは仲良しだ。


アキの恋人・ヤグ(大泉洋)は、
2年前、突然「世界ツアーに出る」と言ったまま、
フラリと出ていった。
ヤグはアキがハツキを妊娠中から付き合っていて、
ハツキも幼い頃は、彼を実の父親だと思っていたくらい、
親密な関係だ。


そんなある日、ヤグが突然帰ってくる。
変わらない高いテンション、
アキと2人ではしゃぐ様子に、
ハツキは違和感を覚える。
「以前のように乗れない。この人たちはおかしい」、と。


しかし、ハツキの親友・トモちゃん(能年玲奈)は、
なぜかハツキたち家族が羨ましそうだ。
「あんなお父さんだったらいいのに」と何度も言う。
ハツキにしたら、
トモちゃんは家族に何が不満なのかと思う。
普通のお父さん、普通のお母さん、普通の家庭が何よりなのに。


繰り返されるトモちゃんの言葉に、
ついに怒ってしまったハツキ。
勝手な事ばかり言わないで!と。
トモちゃんはトモちゃんで、
悲しい秘密を抱えている事も知らずに・・・。





いい話だった。
思い出しても涙出そう。


一風変わった家族。
お母さんが自分を妊娠している時、
プロポーズしてきたヤグは、当時15歳。
その日から、2人は一緒に暮らし始めて、
ハツキの名前を付けたのもヤグだ。


ヤグはかなりふざけた奴だけど、
アキとハツキに対する愛情は、
底なしに深い。
けれど、“他人と違う”事を何より恐れる、
ハツキの年頃に、ヤグのキャラクターは辛いんだよね。


いいなぁ、いままで笑えた事が笑えないハツキは、
今、まさに大人になろうとしている。
その気持ちが、観ているこちらにも、
すんごく伝わってくる。


他人には絶対分からないけど、
人にはそれぞれ事情がある。
それを考えずに、
人を傷つけてしまったハツキの涙に、
こちらまで泣かずにはいられない。
それって、大人になっても失敗してしまう事ナンバーワンだよ。
特に私には。
人の事情も考えずに、
表面的な事や、結果だけで人を判断してしまう。
気を付けなければ。


登場人物全員が、
めっちゃ役にハマってる。
特に、大泉洋。
彼の事は、映画でしか観た事がないのだけれど、
やっぱり普段からこんな感じなのだろうか。
本当に面白い。


ハツキとトモちゃんの会話も、
とっても可愛くて好き。
ハキハキしたハツキと、
のんびり屋のトモちゃん。
2人はとっても仲良しで、
大人になった私から見ると、
あんなに仲良くなれる友だちは、
そういるもんじゃないよ、と言いたくなる。
だから2人は、その友情をずっと大事にしてほしいって、
映画なのに、本気で思った。


ラスト近くで、
ヤグがアキにプロポーズする場面も涙。
ちょっと変わってるけど、
素晴らしい家族。


評価 ★★★★☆

nice!(20)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「フランケンウィニー」 [映画]

Frankenweenie.jpg
〔2012年/アメリカ〕


10歳の少年・ヴィクターは、
科学が大好きな男の子。
彼の友達は飼い犬のスパーキーだけで、
両親は、そんな息子を心配していた。


ある日、父親から無理矢理連れ出され、
野球の試合に出場したヴィクター。
ところが、彼の打ったホームランボールを追いかけたスパーキーが
車に撥ねられ死んでしまう。


悲しみにどん底に突き落とされたヴィクター。
しかし、翌日の理科の授業で、
「たとえ死んでしまっても、体は電気に反応する」と教わった彼は、
スパーキーの墓を掘り起し、
その遺体に、雷の電流を当てる。


生き返ったスパーキー。
ヴィクターは大喜びだったが、
内緒にしていたはずの、その事を、
クラスメイトに知られてしまう。


噂は広がり、
友人たちは、次々、死んだ動物を甦らせてしまう・・・。





以前観た、「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」のビデオに、
おまけみたいな形で収録されていた「フランケンウィニー」。
20分くらいの短い映画で、
ティム・バートン監督のデビュー前に作られた作品という認識だけで、
正直、細かい部分の記憶は残っていない。


今回、同名映画が劇場公開されると知った時は、
あの時の短い映画が、
そのままスクリーンに乗るのだと思ったのだけれど、
それは私の勘違いで、
ちゃんと90分の作品として、
リメイクされたものだった。


短編の方との違いを比べてみたいけれど、
よく覚えていないので、それも出来ず。
近いうちに、またDVDを借りで、確認してみたいと思う。


作品の雰囲気は、とってもダーク。
ヴィクターが変わり者の男の子という設定だけれど、
観る側にしたら、
登場人物全員が変わっているし、
なんだか不気味な雰囲気(笑)。


基本、死をテーマにしているので、
ダークなのは当たり前だし、
その暗さが内容にぴったりハマっていて、
楽しめる。


偶然にも、今年の6月頃、
「フランケンシュタイン」関連の映画を続けて観て、
レビューにも書いていたので、
この映画と関連付けられて、
とても嬉しかった。
スパーキーを蘇生させる方法など、
1931年の「フランケンシュタイン」と同じ方法で。


この映画の宣伝で来日していた監督が、
テレビ出演した番組を観たのだけれど、
変わり者と言われる主人公でも、
それが個性。
個性はとても大切。
自分もディズニースタジオにいる時は、
変わり者と言われていた、と話されていた。
その言葉に、なんだかホッとしたな。


評価 ★★★☆☆

nice!(21)  コメント(10)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

「ブラボー火星人2000」 [映画]

bravokaseijin2000.jpg
〔1999年/アメリカ〕


テレビプロデューサーのティム(ジェフ・ダニエルズ)は、
失敗ばかりで、ついに解雇を言い渡される。


失意の中、海岸線を車で帰る途中、
空から大きな乗り物が落ちてくるのを目撃、
それは、砂浜に落ちる。
しかし、砂に巨大な跡が残っただけで、
UFO自体の姿は消えてしまう。


ティムはその場にあったUFO型のオモチャを持ち帰るが、
実はそれこそが、
彼の目撃したUFOであり、
乗っていた火星人・マーティン(クリストファー・ロイド)は、
UFOを修理するまでの間、
ティムの家に住むことになってしまう。


しかし、UFO墜落を目撃したのはティムだけではなかった。
科学者たちは火星人探しに躍起になり、
ティムに近付く。
さらに、行く先々で騒ぎを起こすマーティン。
彼は無事に火星に帰る事ができるのか・・・。





タイトルになぜ「2000」と付いているのだろうと思い、
観終わって調べたら、
60年代のアメリカのドラマの映画化だそうだ。
日本でも大人気だったとある。


さらに、こちらはディズニー映画だ。
なのに、なぜか日本では未公開。
そのような好条件でも、
公開されない事もあるのね。
何か事情があるんだろうけど、
その基準がよく分からない。


UFOが墜落して、
宇宙人がそれを修理する間、人間の家を間借りして、
その家の住人と仲良くなって、
でも、その宇宙人を探す機関があって、
捕まってしまう・・・。


これって流れは「E.T」とほぼ同じ。
最初はこちらが真似したのかと思ったけれど、
ドラマの方が先だったのね。
本当に知らない事って沢山ある。


火星人役のクリストファー・ロイドが、
なんともコミカルで可笑しい。
きっと演じている本人も楽しいのだろうなと想像する。


彼はティムの外見に変身して、
訪ねてきたティムの友人・ダリル・ハンナにキスしたり、
やりたい放題。
ハンナはすっかりその気になってしまうという流れ。


ディズニーだから、きわどいシーンはないけれど、
どんなに子供向けでも、
恋愛要素を組み入れる外国映画は、
日本の子供向け映画とはやっぱり違うと、いつも思う。
向こうの子どもたちはそうやって自然に、
恋愛テクニックを学んでゆくのね。


冒頭の、火星のシーンに鳥肌が立つようなロマンを感じた。
日本人と火星人の能力の違いが、
めっちゃ上手く表されてる、凄い場面だった。


評価 ★★★☆☆

nice!(16)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「恋はハッケヨイ!」 [映画]

koiwahakkeyoi.jpg
〔2000年/イギリス〕


イギリスの田舎町に住む、
太めの女の子、シャーロット・ブリテンは、
夫・リー・ロスと仲良く暮らしていたが、
ある日、ロスのリストラが発覚する。


家計の為に、
缶詰工場で働き出したブリテンに、
なぜか体格のいい女性たちの目が、
キラリと光った。


ブリテンは、女性たちから、
あるサークルに入らないかと誘われ、
行ってみる。
それは、日本の国技・相撲のクラブであった。


その日から、練習に励むブリテン。
しかしサークルの事は家族にも話してはいけないと、
固く言い渡されている。
ロスには「残業」と言ったが、
彼は、ブリテンの浮気を疑って、彼女のあとをつける。


ロスは友人たちと、
エイリアンの存在について、
日ごろから話し合っており、
彼女たちが四股を踏む様子を、
エイリアンに乗り移られたものだと思い込んでしまう・・・。





タイトルから分かるように、
B級映画には違いないのだけれど、
でも、可愛くて、憎めなくて、
それに意外と真面目なお話。


ちょっと太ってはいるけれど、
シャーロット・ブリテンが魅力的。
彼女はとても健気で、
何事にも一所懸命。
好感の持てる女の子。


夫婦仲が良いのも、観ていて気持ちいい。
リー・ロスも、ブリテンを愛しているのが伝わってくるし、
(彼女のヌード写真絵葉書を作成したりはするけど)
彼女の行動が気になって仕方がないようだ。


ロスが、相撲の練習を、
エイリアンとの交信だと思い込んでしまうのも可笑しいけれど、
でも、そう言われてみると、
確かに、不思議な動きだよね。
そもそも、四股を踏むって何だろうと、
日本人の私にも、その意味を答えられない。
外国人にしたら、余計にそう感じるのだろう。


だからといって、
相撲を馬鹿にしたり、揶揄したりする場面は一つもない。
日本の不思議なスポーツに、
敬意を払ってくれている感じさえする。
なので、「ちょっと違うかな?(笑)」という場面も、
腹が立ったりはしない。


ブリテンが、工場の女性に誘われて、
クラブの、「ぽっちゃりナイト」という催しに行く場面が、
楽しそうだった。
その夜は、太めの女の子しか入れないらしい。
私は「ぽっちゃりナイト」に行くほどの体型ではないけれど、
「ちびっこナイト」というのがあったら行ってみたいと思ったよ。
そのような場所に、お仲間が集まったら楽しそうだなって。


アメリカでなく、イギリスで、
このような映画が作られたのが興味深い。
何百年経っても、
西洋にとっての東洋は、
不思議な所なのでしょうね。


評価 ★★★☆☆

nice!(17)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「恋のロンドン狂騒曲」 [映画]

koinoLondonkyousoukyoku.jpg
〔2010年/アメリカ〕


アンソニー・ホプキンスとジェマ・ジョーンズは、
40年連れ添った、おしどり夫婦のはずであったが、
ある日、ホプキンスは、若返りに目覚め、
ジョーンズと離婚し、出ていってしまう。


ジョーンズはショックのあまり自殺未遂。
すんでの所を、娘・ナオミ・ワッツに発見され、事なきを得る。


ワッツとジョシュ・ブローリン夫婦も、
上手くいっているとは言い難い。
ブローリンは医大を出ていながら医者にはならず、
売れない小説を書いていて、収入は殆どない。
さらに彼は、向いのマンションに住んでいる、
インド系の美人・フリーダ・ピントに夢中になる。


ワッツはワッツで、
働き始めたギャラリーのオーナー、アントニオ・バンデラスの、
セクシーで女慣れした、その様子に、
すっかり参ってしまう。


ある日、ホプキンスが、「結婚する」と言い出し、
相手の女と会ったワッツとブローリンは仰天する。
自分を女優だと話す、父の恋人ルーシー・パンチは、
どこからどう見ても、コールガール。
金で彼女を買ったホプキンスは、
夢中になってしまったのだ。


さらにジョーンズにも、新しい恋の予感。
この、愛すべき人々の恋の顛末は・・・。





ウディ・アレン監督作品。
なかなか愉快。
爆笑というわけではないけれど、
なんだかニヤニヤしながら観てしまう。


人って、どんなに人生経験積んでも、
恋だけは、慣れるって事がないのね。
いくつになっても新しい出会いは、
まるで初恋のようにときめいて、
不器用なまま。
そんな登場人物たちがコミカルに描かれる。


どのエピソードも面白いけど、
やっぱり一番笑えるのは、
アンソニー・ホプキンスとルーシー・パンチのカップル。
この、典型的な、小金を持った老人と若い嫁という組み合わせは、
案の定、ありがちな破滅への道を進む(笑)。
バイアグラを飲んで、必死に自分を奮い立たせるホプキンス、
彼の苦労も知らず、散財するパンチ、
(彼女が買ってきた趣味の悪い毛皮のコートに、会場からは笑いの声)
そして、男の影。


可笑しいなぁ。
アレン監督は、ホプキンスと一番年が近いから、
老年の悲哀みたいなものの切実さが、
上手く描けていて、
観ているこちらも、それを感じ取るのかもしれない。
ハッピーなカップルにしなかったも、
立場が分かっているようで、好感が持てる。


フリーダ・ピントのインド系一族と、
白人の一族が揉める場面も笑える。
詳しくは書かないけれど、
本来、シャレにならないシチュエーションが、
何だか可笑しくてたまらない。


ジョシュ・ブローリンが、
仕事の事で、もう絶対、してはいけない事をしてしまう。
最初は上手くいくのだけれど、
ヤバい方向に話が流れかけて、
完全に結論が出ないうちに、映画は終わる。
この先にもずっと物語が続くとしたら、
彼は今頃、窮地に立たされている事だろう。
社会的に、誰からも信用されない人間になる事必至だ。
でもやっぱり笑ってしまうんだけど。


ラスト近くの、
ジェマ・ジョーンズとナオミ・ワッツの母娘の会話は、
もう救いようがない感じ。
人の思い込みって怖い。


評価 ★★★★☆

nice!(17)  コメント(2)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画