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「山田長政 王者の剣」 [映画]

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〔1959年/日本・タイ〕


1925年。
武士・山田長政(長谷川一夫)は、
御朱印船でシャムロ(現在のタイ)にやって来る。
当時、シャムロでは多数の日本人が、
新天地を求めて移住し、
日本人街を作っていた。


山田は、そこで、
旧友・大西五郎兵衛(根上淳)や、
宿敵・有村左京(田崎潤)、
町長や、その娘・あや(若尾文子)と会い、
歓迎される。


そんな中、
シャムロが、隣国・ビルマから戦争を仕掛けられる。
大群を出兵させたシャムロだが、
それを見た山田は、「シャムロは負ける」と予言する。


山田の予言通り、シャムロの負けが濃くなると、
国王・ソンタム(千田是也)は、
日本人に協力を要請する。
日本人は快諾し、その長を山田が務める事になる。


山田の機転で戦に勝ったシャムロ。
ソンタム王は、その褒美にと、
豪邸と、自分の娘(中田康子)を山田に差し出す。


その後も、数々の戦を勝ち進めていく山田。
しかし、外国人の分際で、
力を付けてゆく山田を、
快く思っていないシャムロ人も多数おり、
不穏な空気が漂い始める・・・。





日本とタイが、初めて共同制作した映画だそうで、
撮影もバンコクで行われたという、
ちょっと珍しい映画。


とは言え、エキストラ以外の、
セリフのある役の人は、
全員が日本人。
訛ってさえいない(笑)。
タイっぽい服を着て、
タイっぽい仕草(両手を合わせるなど)をするけれど、
日本の時代劇と、
やっている事は、大して変わらない。


一番面白いのは、市川雷蔵。
国王の家来の役なのだけれど、
なぜか、パンチパーマみたいな髪型で、
極太の眉毛をしている。
でも、どんなに装っても、
彼って、基本地味顔で、
どう見ても、南国の人ではないでしょう。
だから、なんだか取って付けたような役柄で、
すんごく浮いてる(笑)。


主役が長谷川一夫と決まっているなら、
せめて、顔の濃い田崎潤と、
役を入れ替えたら良かったのに(笑)。


若尾文子さんが目的でビデオを借りたのだけれど、
ビックリな事に、
彼女は、映画の中盤で日本に帰ってしまう。


というのも、
途中で、日本から鎖国令が出て、
最後の御朱印船に乗らないと、
生涯、日本に帰れないという決断を迫られるのだ。


若尾さんは、山田に惚れているし、
当然、自分を選ぶのもだと確信して、
シャムロに残る気満々なのだけれど、
山田は、王に差し出された娘と結婚してしまう。
若尾さんは大変なショックを受けて、
乗り込んだ船の中では、もう放心状態。
他の若尾映画では、あまり見られないような役だった。


でも、若尾さんはさて置き、
途中で日本が鎖国になるという流れが、
歴史として、興味深かった。
鎖国のお触れが出た時、外国にいた日本人は、
どれだけ逡巡した事だろう。
その国に骨を埋めるか、
もう一度、日本の土を踏むか。
それは、自分の人生の大きな転機となるはずで、
簡単に答えの出る問題ではないだろうし。


戦の場面が面白い。
山田と敵国の兵隊が乗っているのが、
馬ではなくて、象よ、象(笑)。
象の上で剣を振り回して戦っていて、
戦だというのに、緊迫した空気がまるでない。
ちょっと笑った。


評価 ★★★☆☆

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