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「恋のロンドン狂騒曲」 [映画]

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〔2010年/アメリカ〕


アンソニー・ホプキンスとジェマ・ジョーンズは、
40年連れ添った、おしどり夫婦のはずであったが、
ある日、ホプキンスは、若返りに目覚め、
ジョーンズと離婚し、出ていってしまう。


ジョーンズはショックのあまり自殺未遂。
すんでの所を、娘・ナオミ・ワッツに発見され、事なきを得る。


ワッツとジョシュ・ブローリン夫婦も、
上手くいっているとは言い難い。
ブローリンは医大を出ていながら医者にはならず、
売れない小説を書いていて、収入は殆どない。
さらに彼は、向いのマンションに住んでいる、
インド系の美人・フリーダ・ピントに夢中になる。


ワッツはワッツで、
働き始めたギャラリーのオーナー、アントニオ・バンデラスの、
セクシーで女慣れした、その様子に、
すっかり参ってしまう。


ある日、ホプキンスが、「結婚する」と言い出し、
相手の女と会ったワッツとブローリンは仰天する。
自分を女優だと話す、父の恋人ルーシー・パンチは、
どこからどう見ても、コールガール。
金で彼女を買ったホプキンスは、
夢中になってしまったのだ。


さらにジョーンズにも、新しい恋の予感。
この、愛すべき人々の恋の顛末は・・・。





ウディ・アレン監督作品。
なかなか愉快。
爆笑というわけではないけれど、
なんだかニヤニヤしながら観てしまう。


人って、どんなに人生経験積んでも、
恋だけは、慣れるって事がないのね。
いくつになっても新しい出会いは、
まるで初恋のようにときめいて、
不器用なまま。
そんな登場人物たちがコミカルに描かれる。


どのエピソードも面白いけど、
やっぱり一番笑えるのは、
アンソニー・ホプキンスとルーシー・パンチのカップル。
この、典型的な、小金を持った老人と若い嫁という組み合わせは、
案の定、ありがちな破滅への道を進む(笑)。
バイアグラを飲んで、必死に自分を奮い立たせるホプキンス、
彼の苦労も知らず、散財するパンチ、
(彼女が買ってきた趣味の悪い毛皮のコートに、会場からは笑いの声)
そして、男の影。


可笑しいなぁ。
アレン監督は、ホプキンスと一番年が近いから、
老年の悲哀みたいなものの切実さが、
上手く描けていて、
観ているこちらも、それを感じ取るのかもしれない。
ハッピーなカップルにしなかったも、
立場が分かっているようで、好感が持てる。


フリーダ・ピントのインド系一族と、
白人の一族が揉める場面も笑える。
詳しくは書かないけれど、
本来、シャレにならないシチュエーションが、
何だか可笑しくてたまらない。


ジョシュ・ブローリンが、
仕事の事で、もう絶対、してはいけない事をしてしまう。
最初は上手くいくのだけれど、
ヤバい方向に話が流れかけて、
完全に結論が出ないうちに、映画は終わる。
この先にもずっと物語が続くとしたら、
彼は今頃、窮地に立たされている事だろう。
社会的に、誰からも信用されない人間になる事必至だ。
でもやっぱり笑ってしまうんだけど。


ラスト近くの、
ジェマ・ジョーンズとナオミ・ワッツの母娘の会話は、
もう救いようがない感じ。
人の思い込みって怖い。


評価 ★★★★☆

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