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「新 兵隊やくざ 火線」 [映画]

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〔1972年/日本〕


周囲を敵に囲まれてしまった、
大宮(勝新太郎)と有田(田村高廣)だったが、
なんとか逃げ延び、
ある小隊に配属になる。


小隊長・北井(大瀬康一)は、
戦争嫌いの、温厚な人格者であったが、
部下の神永軍曹(宍戸錠)は、
好戦的で、他人を痛めつけるのが趣味のような、
最悪の人物であった。


その日、神永は、
中国人村長の、まだ幼い息子を無理矢理連れてくる。
草むらに隠れていたその子を、スパイだと言うのだ。
村長は戦争前、日本に留学経験があり、
日本人に親切にされた恩を忘れず、
日本軍に便宜を図ってくれていたのだが、
神永はそんな事はお構いなしだ。


神永は大宮に、村長の息子を殺せと命じるが、
子どもは殺せないと断った事から、騒動に。
大宮は神永から目を付けられる事になる。


村長には美しい娘・芳蘭(横山道代)がおり、
神永は、彼女の手籠めにしようとするが、
すんでの所で大宮に助けれられ、
2人は惹かれあう。


しかし神永が、芳蘭がスパイではないかと言い出した事から、
彼女を誘惑し、
その正体を探るという任務に、
大宮が就く事になる・・・。





大好きだった大宮と有田のコンビにまた会えた。
嬉しいなぁ。


シリーズ9作目となる、この映画、
8作目からは4年の間が空いていて、
パッケージを見ると、
それまでの大映から、東宝へ、
そして、クレジットには「勝プロダクション」の名前がある。
映画業界の事はよく分からないけれど、
その4年の間に、
なにか大きな動きがあったのだろうと想像する。
(ウィキペディアによると、五社協定というのが、
1971年に自然消滅したとある)。


なので、この作品はDVDもなっていないし、
「兵隊やくざ」ボックスにも入っていない。
名画座でかからない限り、
観るのは無理かと思っていたのだが、
ビデオが存在する事を知って、ちょっと驚いた。
なんだか自分の頭の中の棚に、
「兵隊やくざ」シリーズが、全巻揃った気がして嬉しい。


とはいえ、
映画会社や、制作プロダクションが変わると、
作品の空気がここまで変わってしまうのだと実感する。


シリーズ初のカラー作品というのは嬉しいけれど、
今までのシリーズにあった、
笑いの中にある哀しみみたいなものが、
感じられないというか。
お肌でいえば、キメが荒い感じ(笑)。


勝新太郎の風貌も、
随分とふてぶてしくなったというか、
今までの大宮に感じられた、
赤ちゃんのような純粋な感じが薄れている。
仕方ないか。
4年も経てば、
そりゃあ、人間、色々あるよね。
顔にも、それが現れるのは当たり前だ。


まぁ、いい。
1年ぶりに2人のお姿が観られただけで満足。
それに、本当に憎たらしい、
悪役の宍戸錠の演技が上手かった。
戦時中に限らず、
いつの時代も、こういう輩っているよね。
できれば、知り合いにもなりたくないような男。


4年ぶりに作られたシリーズだけれど、
その後が続かなかったのは、
最初からそう決まっていたのか、
客が不入りだったからなのか。
いずれにせよ、時代は、
映画からテレビに移行していたのでしょうね。


評価 ★★★☆☆

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