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「ハーヴェイ」 [映画]

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〔1950年/アメリカ〕


親の遺産で、不自由なく暮らしている、
ミセス・シモンズ(ジョセフィン・ハル)と、
彼女の娘・マートル・メエ(ヴィクトリア・ホーン)には、
大きな悩みがあった。


ミセス・シモンズの弟で42歳のエルウッド(ジェームズ・スチュアート)が、
“ハーヴェイ”という親友と片時も離れないのだ。
実はその“ハーヴェイ”は存在せず、
他人には、彼が何もない空間に話しかけているようにしか見えない。


エルウッドによると“ハーヴェイ”は、
身長192センチもある大きなウサギなのだそうだ。


今日はマートル・メエの結婚相手を探す、
大切なお茶会の日。
ミセス・シモンズは、エルウッドを外出させる事に成功するが、
お茶会の最中、帰宅してしまう。
沢山のお客様の前で
“ハーヴェイ”を紹介するエルウッド。
みんな気味悪がって、そそくさと帰ってしまった。


途方に暮れたミセス・シモンズは、
ついにエルウッドを入院させようと、
彼を病院に連れてゆく。


ところが手違いで、
ミセス・シモンズが患者と勘違いされ、
病室に閉じ込められ、
意気揚々と帰ってしまうエルウッド。
彼はどうなるのか・・・。





ジェームズ・スチュワート演じるエルウッドを、
純粋ないい人と見るか、
ちょっと危ない人と見るかで、
感想が変わってくるであろう。


もし電車内で彼のような人がいたら、
やっぱりちょっと怖いと思うのではないだろうか。


観ているこちらに、“ハーヴェイ”の姿は一度も見えない。
ただ、一度だけ、
エルウッドと“ハーヴェイ”とのツーショットの、
肖像画が壁に掲げられ、
それで“ハーヴェイ”がこんな感じ、というのが分かる、
上手い演出。
ミョーにリアルなウサギで、
バックスバニー的な可愛さはなく、
ちょっと不気味かも(笑)。


その反面、「普通」ってなんだろうとも思わされる。
他人に見えないものが見える人は異常で、
見えない人は正常なのか。
そこにそれが存在しないと、
どうして言い切れよう。
なーんて、こんな風に考える私も、
相当“ハーヴェイ”に影響されてしまったようだ(笑)。


とはいえ、正直、この映画の病院でのやりとりが、
私には耐え難かった。
ミセス・シモンズはエルウッドの異常を訴えて、
入院させようとするのだけれど、
その説明が大変に下手で、
さらに医者も、人の話を聞かない。


全く噛み合わない、その会話。
なぜもっとちゃんと説明しないのか、
なぜもっと人の話を聞かないのかと、
イライラしてしまう。
あ~、本当にそういう場面って苦手。


今まで観た映画の中で、
真っ先にそれを思い出すのが、
キャサリン・ヘプバーンの「赤ちゃん教育」。
世間では評価の高い映画だけれど、
あのビデオを観た時は、
イライラが高じて、悶絶死にするかと思った(笑)。


評価 ★★★☆☆

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