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「オペラハット」 [映画]

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〔1936年/アメリカ〕


ある大富豪が自動車事故で亡くなり、
田舎町に住む青年・ゲイリー・クーパーが、
全財産を相続する事になる。


手続きその他でニューヨークに出てきた彼に、
マスコミは大注目。
ある新聞社に勤務する女性記者・ジーン・アーサーは、
特ダネを書く事を、編集長に約束し、
クーパーの前で行き倒れになって見せ、
彼に近付く事に成功する。


アーサーは、クーパーとデートをしては、
彼の行動を記事にしてゆく。
その内容は、現実の出来事を醜く歪めて書かれ、
本当のクーパーの姿とは程遠いものだった。


しかしアーサーは、クーパーの真面目な性格を知るにつれ、
自分のしている事を、次第に恥ずかしく思うようになり、
また、彼を愛し始めている自分に気付く。
一方クーパーは、財産を狙う血縁者から、
異常者扱いされて、裁判になり、
その際、その新聞記事が、彼の異常性を表す重要な証拠として、
取り上げられる事になってしまう・・・。





実直で真面目な田舎町の青年が、
荒んだ心の都会人から見下され、
酷い扱いを受けながらも、
彼自身の力で、困難を乗り越える物語。


これは観ている私にも、
反省すべき点が多いと感じる。
新聞やネットやテレビのニュースを見た時、
その内容を鵜呑みのし、
結果だけで判断してしまう事が多いけれど、
記事は絶対ではないし、
物事は、一面だけではないのだと、
考えさせられる。


とにかく、劇中でのゲイリー・クーパーの扱いが酷い。
彼のする事には、一つ一つ理由がある。
例えば、レストランで有名な詩人たちに殴りかかったのも、
詩人のグループが、彼の人格を貶めるような事を言ったせいなのだけれど、
新聞は、ただいきなり彼が暴力を働いたように書き立てる。


それ以降にも、
彼の一挙手一投足を観察し、
しまいには、「シンデレラ男」などという、
ありがたくないあだ名を付け、
世間では、それが彼の通名のようになってしまう。


クーパーの心はズタズタになって、
生き生きしていた顔は、
無表情になる。
見ていて辛いくらいに。


でも、もちろん、どんでん返しがあるんだけどね。
それでなくちゃ、悲しすぎる。


ゲイリー・クーパーが、
階段の手すりを滑りおりたり、
豪邸の天井がエコーになるのを楽しんだりして、
子どものように可愛い。
本当は大人だって、
そういう事をしてみたいけど、
世間体という仮面をかぶって我慢してるんだよね、って思う。
ハンサムな彼がそれをすると、
普通の人よりギャップが大きくて、
それがまた、この映画の面白さになっている。


評価 ★★★★☆

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