SSブログ

「レッド・ライト」 [映画]

redlight.jpg
〔2012年/アメリカ〕


あらゆる超常現象は
科学で説明できるとする学者・シガーニー・ウィーバーは、
助手のキリアン・マーフィーを伴って、
今日もポルターガイストで悩む家で、
見事に原因を突き止める。


そんなある日、
カリスマ超能力者・ロバート・デ・ニーロが、
30年ぶりの復活を果たす。


デ・ニーロは昔、テレビの生中継中のある出来事がきっかけで、
引退していたのだ。
マスコミは彼の復帰を歓迎するかのように、
大きなニュースとして取り上げる。


デ・ニーロの超能力を信じていないウィーバーであったが、
若い頃、テレビ番組で彼と対峙し、
負けたトラウマから、
彼に近付くのは危険だとマーフィーに忠告する。


しかしマーフィーは、
デ・ニーロの正体を暴くため、
単身、彼のショーへ乗り込んでゆく・・・。





超常現象の全ては科学で説明できるのか。
そもそも、超常現象や超能力といったものは
本当に存在するのか、という疑問を描いた映画。


ロバート・デ・ニーロの扱われ方が、
私にはMr.マリック氏のように見えて、
超能力者というよりは、
ショーをするタレントとしか思えなくて(笑)。


私は限りなくシガーニー・ウィーバーの考えに
近い人間だけれど、
それでも、超能力を持つ人がいたら、
それはそれで面白いな、とは思う。


ただ、その能力が本物なら、
ショーといった形でなく、
もっと厳かに、
一歩先を行く人間らしく、
その力を扱ってほしいんだな。
まぁ、そんな事、個人の勝手なんだけど(笑)。


デ・ニーロが、呪術師のように、
ショーで病気の治療するシーンがある。
ステージで横たわった病気の人を腹を触ると、
血が流れ出し、
肉片(内臓?)を掴み出した彼は、
「これで悪い部分を切除した」みたいな表現をするんだけど、
あれってどうなんだろう。


病気をああいったショーのネタには
しない方がいいと思うんだけど。
病気で悩んでいる人にしたら、
どうにもシャレにならない。


逆に、
デ・ニーロの超能力は本物だと
本気で信じている人がいるとして、
そういった人は、
自分の身内が病気になったら、
医者でなく、
彼の所に駆け込めるんだろうか。


オチは、そうきたかって感じ。
賛否あるようだけれど、
私は好きだな。
もう一度観て確認したくなる。


「耳の聞こえない人が名曲を作曲」というセリフがあり、
笑ってしまった。
偶然とはいえ、
日本の事件を2年も前に予言しているとは。
この映画の一番の超能力はこの部分かも(笑)。


評価 ★★★☆☆

nice!(29)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「her 世界でひとつの彼女」 [映画]

her.jpg
〔2013年/アメリカ〕


近未来のロサンゼルス。


手紙の代筆行を生業とするホアキン・フェニックスは、
淋しい中年男。
妻に去られたが、
離婚届になかなかサインする事ができず、
なんだか冴えない生活。


そんな彼は、ある日、
最新のOSが気になり、
早速、自分のPCに取り込む。


PCが起動し、
いくつかの質問のあと、
聞こえてきた女性の声。


自らをサマンサと名付けた彼女は、
人間以上に人間的で、
フェニックスはサマンサとの会話を楽しむようになる・・・。





人間と人工知能との恋の物語。


私のような者が感想を書くと、
何を書いても、無粋な内容になってしまいそうで
申し訳ないけれど(笑)。


肉体のない相手との恋愛は可能か、というのが、
この映画の一つのテーマかとは思うのだけれど、
私自身まだ今は答えが出ない。


ただ、どうやら、
それを気にするのは、
人間より、コンピュータの側のようで、
生身の人間を相手に宛がおうとするのが、
なんとも面白い現象だなぁと思う。
(先日観た、「トランセンデンス」でも、
そういった場面があったような)。


けれど、人の心は、
機械のように単純ではないのも事実で、
そう簡単に、知らない相手とベッドを共にできるわけもなく。


声だけのサマンサ役に、
スカーレット・ヨハンソンをもってきたのは、
素晴らしい選択な気がする。
彼女の特徴でもある声のかすれ具合が、
「自分は今、コンピュータと話しているんだ」という気持ちを
すっかり忘れさせるのに、
とても役立っていて、
入り込んでしまう。


それから、
アクセスするとすぐ話し相手になってくれるサマンサのような存在って、
恋愛感情を抜きにしても、
とてもありがたい相手なのかも、と思ったりする。


どんなに親しい友達でも、
「こんな時間に電話したら・・・」とか、
「こんな愚痴聞かせたら・・・」と考えてしまって、
いつでも、どこでも、とはいかないのが当たり前。


でも、サマンサは、
時間も状況も関係なく、
いつでも話を聞いてくれる。
気を遣わなくていいのがいい。


コンピュータの発達と、
現代人が抱える孤独とが上手くマッチした、
切ない映画だった。


評価 ★★★☆☆

nice!(27)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「若親分」 [映画]

wakaoyabun.jpg
〔1965年/日本〕


明治末期。
ヤクザの南条組の親分・辰五郎が、何者かに刺殺される。


葬儀は盛大に行われ、
日本の名だたる親分衆が弔問に訪れるが、
その中には、犯人と目される滝沢組の組長・巳之助(石黒達也)もおり、
組員たちは色めき立つ。


そんな中、軍服姿の若い男が人々の目を惹いた。
彼は辰五郎の息子・武(市川雷蔵)。
辰五郎は、ヤクザ家業は自分一人で十分だと、
武を海軍に入れ、
葬儀にも呼ぶなと言い残していたのだ。


しかし、父の後を継ぐと決めた武は、
襲名披露を行い、
名実共に、南条組二代目組長となる。


武は父の仇を討つため巳之助と争い、
巳之助の腕を切り落とす。
しかし、父を殺した真犯人は、
太田黒組の親分・伊蔵(佐藤慶)だと分かり・・・。





市川雷蔵がヤクザの若親分を演じた本作。
カッチョいい~(笑)。
任侠物というと、
高倉健や菅原文太を思い出すけれど、
雷蔵さんのそれは、2人とは全然タイプが違う。
もう少し頭脳的。


しかし、だからといって弱いわけではない。
どこで身に付けたのか(海軍か?)、
彼の刀(ドス?)の腕前は天才的で、
相手が何人いようと、
まるで負け知らず。
まぁ、負けてしまったら話は続かないけど(笑)。


石黒達也演じる、巳之助親分の男気に
惚れ惚れする。
彼は武の早とちりから、
腕を切り落とされたにも関わらず、
武を責める事なく、
むしろ褒めてくれる。


雷蔵がまだ若く、
親分というには貫禄が足りない分を、
補ってくれているようだ。


そして、「大悪党」に続いて観た、
佐藤慶の憎らしさ。
人相のせいなのか、
演技そのものが上手いのか、
本当に嫌な奴で。


この映画、
その後シリーズ化され、
全8作もあるそうだ。
どうせなら、全作観てみたいなぁ。


評価 ★★★☆☆

nice!(25)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「オール・ユー・ニード・イズ・キル」 [映画]

allyouneediskill.jpg
〔2014年/アメリカ〕


宇宙からやって来た侵略者「ギタイ」。
地球は絶滅の危機に瀕しており、
防衛軍とギタイとの攻防は
日増しに激しさを増してゆく。


そんな中、軍の広報担当・トム・クルーズは、
上官の怒りを買い、
最前線へ送られる事になってしまう。


初めての戦場にモタつく彼は、
あっけなく戦死。
ところが目覚めると、
出撃前と同じ場所に戻っているではないか。


そう、彼は、命を落とすと、
何度でも出撃前に戻るという
ループにはまってしまったのだ。


何百回も同じ日を繰り返すうちに、
彼はギタイを倒す方法を少しずつ習得してゆき・・・。





元々、日本のライトノベルだったものを、
トム・クルーズ主演で映画化した作品だそうだ。


そのせいか、クルーズの扱う機械や、
館内放送などで、
何ヶ国語かのうちの1つが日本語で、
ちょっと嬉しい気持ちになる。


同じ日を何度も繰り返す物語と聞いて、
私はすぐに「恋はデジャ・ブ」を思い出したんだけれど、
こちらは「恋は~」のようなコメディではなく、
激しい戦闘物。


繰り返す時間の表現方法が素晴らしい。
ネタバレになるので
上手く説明できないけど、
「なるほど、そうか」、と思わされる場面が何度もある。


全体の流れはゲームみたい。
何度も失敗して、
また振り出しに戻ってやり直して、
コツを覚えて、
次のステージに進む。
よく、「人生はゲームのようにリセットできない」と言うけれど、
これは、その説教が役に立たないのが面白い。


ただ、これを自分に置き換えると、かなり不安が(笑)。
もし、運動神経ゼロの私が彼の立場だったら、
絶対次のステージには進めない(笑)。
観た方ならご理解いただけると思うけれど、
最初の段階の、車を利用した逃亡の時点で、
きっと100回挑戦しても失敗する。
私は永遠に同じ時間を彷徨う女(笑)。


映画のような極限状態でなく、
今の日常で
同じ日を何度も繰り返す時間のループに
はまったとしたら、どうだろう。


やっぱり飽きてくるかなぁ。
いや、逆に、どんなに突飛な事をしても、
また元に戻れるんだから、
恥も後悔もなくなって、
好きな事をしてしまうかも(笑)。


やっぱり人生はリセットできないのが正解ね。


評価 ★★★★☆

nice!(26)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「マレフィセント」 [映画]

maleficent.jpg
〔2014年/アメリカ〕


マレフィセントは、
背中に大きな翼を持った女の子の妖精。


彼女は生まれて初めて出会った人間の少年・ステファンと
仲良くなり、
心を通わせる。


しかし時が経ち、
大人になったステファン(シャルト・コプリー)は野心に燃え、
マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)に、ある酷い仕打ちをする。


国王になったステファンは結婚し、
女の赤ちゃん・オーロラ姫が誕生する。
そのお祝いの席に、
招待されていないマレフィセントが現れ、
オーロラ姫に呪いをかけた。
「この子は16歳の誕生日の前日に、
 糸車の針に指を刺し、永遠の眠りにつく」と・・・。





この「マレフィセント」を観るために、
先日予習した、「眠れる森の美女」。
「眠れる~」では、
邪悪な妖精マレフィセントが、
ただただ悪役だったわけだけれど、
本作では、
彼女がなぜ、あのようになってしまったのかが描かれる。


しかし、「眠れる~」の国王は、
本作のような嫌な人間とは思えなかったのも事実で、
これはまぁ、
似て非なる物語と考えた方が良さそうだ。


なんといっても一番ショックだったのは、
ステファンがマレフィセントにした、ある行為。
それはもう、
「うわ・・・最悪・・・」と独り言を言いたくなるような
最低の行為で、
あれじゃマレフィセントが怒るのも無理はない。
彼女に復讐の心を芽生えさせてしまったと言える。


「ステファン一人を幸せにさせてはおかない」。
観ている者が、
マレフィセントの心に寄り添って、
そう思わせるのに十分な流れ。
もちろん、何の罪もない、
生まれたばかりのオーロラ姫に、
その怒りを向けるのは、
間違っているけれども。


その後、オーロラ姫は、
「眠れる~」の話通り、
良い妖精3人に、森の中で育てられる。
ちょっと違うのは、
オーロラ姫の成長を、
マレフィセントが母のような目線で見守っている所。


ここはアンジェリーナ・ジョリーの独壇場。
私生活でも6人の子供の母である彼女にとって、
この役はピッタリで、
全く違和感がない。
観ているうちに私まで、
彼女がオーロラ姫の、
実の母のような錯覚に陥ったもの。


そのオーロラ姫を演じるエル・ファニングがまた
いいんだな。
素直で自然で、
マレフィセントが彼女を愛おしく思う気持ちも理解できる。
母性本能を強要する風潮は大嫌いだけど、
自然に湧き出る母性は如何ともし難い。
自分でコントロールできるものではないし、
それは理屈じゃない。


ステファンの運命は、
やっぱりああなるのか・・・。
全体的には好きなお話だけれど、
子供に見せるには、あのラストだけは、
ちょっと考えてしまう。
私が作り手だったら、ああはしない・・・
って、ディズニーに文句言っても仕方ないんだけど。
やっぱり日本人って甘いのかな。


評価 ★★★☆☆

nice!(29)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画