SSブログ

「大悪党」 [映画]

daiakutou.jpg
〔1968年/日本〕


洋裁学校に通う緑魔子は、
ボーリング場で知り合った男・佐藤慶に誘われ、
バーで飲めない酒を飲まされる。


気が付くと彼女は、佐藤のマンションで貞操を奪われ、
ヌード写真まで撮られていた。
佐藤はヤクザ者で、冷酷なサディストだったのだ。
佐藤から、「俺の言う事を聞けば、ネガを返す」と
脅された緑は、
言われるがままに、人気タレント・倉石功 とベッドを共にする。


しかし、佐藤はその光景を動画撮影し、
倉石に金を要求、
そして緑は佐藤のマンションに監禁状態となってしまう。


佐藤の強請りに困り果てた倉石と、
彼の事務所の社長は、
弁護士の田宮二郎に相談。
佐藤のマンションを訪ねた田宮は、
緑に、「いつでも相談に来い」と名刺を渡すが・・・。





なんて面白いんだろう。
さすが増村保造監督。


お話しはめちゃくちゃで、
有り得ないんだけど、
面白くて見入ってしまい、
最後まで飽きさせない。


タイトルの「大悪党」って誰の事なのか。
佐藤慶はもちろんそうなんだけど、
田宮二郎も、佐藤とは別の種類の強かさ。
佐藤が動物的と言えるなら、
田宮は頭脳的なワル。
原作のタイトルも、「悪徳弁護士」だそうだし(笑)。


後半、物語は、裁判がメインになるんだけど、
古い時代でもあり、
今では考えられないような杜撰な証拠と証言で、
話が進行する。


今の警察や裁判所は、
あんなに甘くはないだろうよ(笑)。
科捜研(でしたっけ?)のような部署に調べられたら、
田宮のでっち上げた嘘のストーリーなんて、
すぐに見破られるってもんだ。


でも不思議なもので、
科捜研のない時代のお話しな事に、
私はホッとしているんだな。
でっち上げでもいい、
なんとか裁判を乗り切ってほしい、と。


佐藤慶演じるヤクザの卑劣さ。
最悪。
でも、これは時代に関係なく、
今だって似たような事件が後を絶たない。
こういう人種が根絶やしになる事は無いという事か。


妄想ばかりしている私は、
「もし誰かに強請られたら」と考える事がある。


その時は、慌てず騒がず、
相手の要求を飲まずに、
開き直ってはどうかと考えるんだけど、
どうなんでしょ。


たとえば、緑魔子と同じ状況になって、
「裸の写真をばら撒く」と脅されたら、
「どうぞお好きに」と言ってしまったら、
駄目なんだろうか。


だって、佐藤の言いなりになったせいで、
緑は写真をばら撒かれるより、
もっと最悪の状況になってしまうわけだから、
何事を最初が肝心なのではと、
思ったわけで。
甘いかな。


まぁ、そんな心配するより、
まずは強請られるようなネタを作らない事が
大事だけれど(笑)。


評価 ★★★★☆

nice!(22)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画