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「トランセンデンス」 [映画]

TRANSCENDENCE.jpg
〔2014年/アメリカ〕


人工知能の研究開発に力を入れる
科学者・ジョニー・デップは、
ある日、反テクノロジーグループの凶弾に倒れ、
余命宣告されてしまう。


死の直前、妻のレベッカ・ホールは、
彼の頭脳をコンピュータへのアップロードに成功、
コンピュータはデップの自我を持つようになる。


コンピュータの中のデップは、
金融、政治から、個人情報まで、
あらゆるデータを操作し、
人類にとって脅威の存在となってゆく・・・。





現代、
人間を支配するには、
コンピュータを支配するのが
一番手っ取り早いと、これを観てあらためて痛感する。


しかもこの映画、
人間が外からコンピュータの操作をするのでなく、
中に入っちゃって、
コンピュータそのものになってしまうという設定だから、
始末が悪い。


コンピュータが人間のような感情を持つって、
確かに興味があるし、
この間書いた、「月に囚われた男」のように、
コンピュータとの会話が、孤独な人の慰めになるのなら、
それは素晴らしい事だとも思う。


ただ、元々人間だった人が、
コンピュータそのものになって、
個人的感情でやりたい放題となれば、
話は変わってくる。


私がレベッカ・ホールの立場だったら、
愛する人の頭脳をコンピュータに
アップロードするだろうかと、
考えながら観ていた。


確かに、最愛の人が死んでゆくのは辛い。
彼の命が永遠に残る装置があるなら使いたい、とも思うだろう。


でも、その後の人生はがんじがらめよ(笑)。


何をしても、どこへ行っても、
コンピュータの中から見張られている生活。
今や、ネットワークで繋がっていない場所などどこにもなく、
1人になれる事がない。


時が経ち、
新しい恋をしたらどうなる?
コンピュータにとことん邪魔されて、
実る事はない気がするんだけど。


恋をしなくたって、
モニターの中の夫は、
いつまでも死んだ時のままの外見だけど、
自分はどんどん年を取って、お婆さんに。
それも悲しい。


ホールが死んだら、
コンピュータの中のデップの感情はどうなるの?
彼だけが永遠に彷徨うの?
そんなの想像しただけで、
可哀相で気が狂いそうになる。


やっぱり永遠に感情を残すのは私の趣味(?)じゃないや。
人が一緒に死ねない以上、
愛する人を失う悲しみは、
誰にでも平等にやって来るし、
耐えなくてはいけない試練だと思うし、
頭脳をアップロードできる機械があっても、
私は使わないな。


まぁ、この映画は、
そんな個人的ちっぽけな感情がテーマじゃないんだけどね(笑)。
コンピュータだけでなく、
怪我が瞬時に治る再生医療みたいな場面は
大変に興味深かったし。


その再生医療。
きちんとした科学者の手で、
きちんとした結果のもと、
人間の役に立つまでになったら、
どれほど素晴らしいんだろうなぁ。


評価 ★★★☆☆

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