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「弾痕街」 [映画]

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〔1955年/日本〕


横浜の港に、
5年の刑期を終えた菅原謙二が戻ってきた。


沖仲仕たちを使う会社の一つ・前島組に属していた彼は、
敵対する滝井組の社長を刺したのだ。


前島組に戻った菅原だが、
組の内部はすっかり変わり、
菅原の留守中に古頭となった高松英郎が組を仕切り、
菅原の出現に、あからさまな敵対心を見せる。


菅原の弟・品川隆二は、
港の税関で働いており、
恋人・川上康子とも上手くいっているようで、
菅原にとって、それは喜ばしい事であった。


ある日、菅原は、
車が故障して困っている若い女を助け、
互いに好感を持つが、
その女こそ、
菅原が刺した滝井組の社長の娘・八潮悠子であることが
あとで分かる。


一方、高松は、
「密輸の仲間に入れ、さもなくば品川を巻き込む」と
菅原を脅すが・・・。





若尾文子さん目的で観に行ったのだけれど、
若尾さんの出番はほんの少し、
八潮悠子のお友達という役どころ。


しかも、若尾さんの存在は、
物語の大筋には何も絡んでこず、
ただただ八潮に、
「あなた、好きな人ができたのね」みたいな事を言うだけの人(笑)。


デビュー直後というほどではないし、
当時のポスターには、
大きく顔が載っているので、
すでにお客を呼べるスターになっていた事が分かる。
スケジュールの関係だろうか。
(と、勝手に慮る)
公開当時、若尾さんが主演だと思って観にいった方は、
ガッカリしたでしょうね(笑)。


フィルムにはなぜか、
英語の字幕が付いていて、
不思議に思いながら観る。
なんらかの理由でフィルムが海外に流れて、
逆輸入したのかしら、なんて思ったりして。


でも、今調べて理由が分かった。
主役の菅原謙二を海外で売り込む為に、
字幕を付けたのだという。


ただ、申し訳ないけれど、
あの内容で海外は無理なんじゃ・・・とも思う。
日本国内でさえ、ほぼ誰も覚えていない映画だものね。


映画の中で、
港で働く人々の事を、「沖仲仕」と呼んでいて、
私も粗筋にそう書いたけれど、
ウィキペディアによると、
今ではそれは差別用語で、
現在は「湾岸労働者」というそうだ。


ただ、この映画のような場合、
やっぱり「湾岸労働者」より「沖仲仕」という言葉がしっくりくる。
なんでもかんでも差別で片付けず、
臨機応変に言葉を選べばいいと思うのだけれど。
せっかくの日本語なんだし。


評価 ★★★☆☆

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「ママはレスリング・クイーン」 [映画]

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〔2013年/フランス〕


フランスのある町の、
大型スーパーマーケットに、
レジ係として採用されたローズ(マリルー・ベリ)。


実は彼女は刑務所から出所したばかりで、
10歳になる最愛の息子・ミカエルは、
里親に育てられたせいで、
彼女には全く懐いていない。


面会に行った際、
ミカエルは殆ど口をきかなかったが、
プロレス選手の顔がプリントされたTシャツの
話題になった時だけ、
ほんの少し心を開く様子を見せる。


なんとかミカエルの歓心を買いたいローズは、
元プロレスラー・リシャール(アンドレ・デュソリエ)が開いているジムに行き、
プロレスデビューしたいと訴える。
リシャールは、
「仲間を連れて来い」と、体よく追い返すが、
彼女はレジ仲間の中年女性たちを説得し、
リシャールの所へ再び現れる・・・。





およそプロレスとは縁のなさそうな中年女性たちが、
レスラーとなり、
周囲の理解と人気を得てゆくという物語。


この間観たオランダ映画、「人生はマラソンだ!」と
ちょっと似ていなくもない。
あちらは男性だったけど。


それにしても、
オシャレなおフランスにプロレスがある事に驚いた。
いや、それどころか、
監督の説によると、
プロレスはおフランスが発祥の地なのだとか(ほんと?)。


粗筋は上記に書いた通りで、
それ以上でも、それ以下でもない。
ただ、昨日までスーパーで働いていたおばちゃんが、
いきなりプロレスってのが可笑しい。
(マラソンなら理解できるが(笑))
練習の様子を見ただけで、
体中を痛めそう。


まぁ、プロレスは、
ショー的な要素が強いから、
見るほどには、危険ではないのかもしれないけど。
だからといって、
万が一、私が誘われたら断るけどね(笑)。


ローズに懐かない彼女の息子が、
プロレスの話題になった途端、
目を輝かせた様子が、
とても理解できたし、ちょっと切なかった。


私の知り合いの思春期の少年も、
普段は仏頂面なのに、
好きな漫画やゲームの話題を振ってやると、
話に乗ってくると、
その子のお母さんから聞いた事があったから。


ローズの場合は特殊な例だけど、
年頃の子供を抱える親は、
そうやってみんな、
気を遣ってるんだなぁ、って。


評価 ★★★☆☆

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「ゴジラの逆襲」 [映画]

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〔1955年/日本〕


小型飛行機のパイロット・月岡(小泉博)と小林(千秋実)は、
岩戸島で、ゴジラと恐竜が闘っているのを目撃し、驚く。


大阪に帰った2人は、すぐにこの事を報告、
図鑑から、
ゴジラと闘っていたのはアンギラスという恐竜だと知る。


ゴジラが大阪に近付いてきた。
ゴジラは光に引き付けられる事から、
照明弾を投下し、
沖に導く作戦が上手くいきかけたが、
護送車から逃げ出した囚人たちが、
盗んだ車を石油コンビナートにぶつけた事から、
激しい炎が上がり、
ゴジラは大阪に上陸してしまう。


大阪の街はめちゃめちゃに壊され、
月島たちの会社は北海道へ移転する。
するとそこへゴジラとアンギラスが現れ・・・。





シリーズ2作目。


この先、公開順にゴジラシリーズを観ていくとして、
きっと先に行けば行くほど、
「観ている」と言われる方は、
コアなファンの方になっていくのだろうという気がするので、


茶化すような事を書いてはいけないのかなとも思うのだけれど、
でも、書かずにいられない(笑)。


1作目が、とても真面目な反戦映画だったのに対して、
やはり2作目は1作目のヒットを受けて、
急いで作られた感が否めない(気がする)。


ゴジラ1人(1匹?)では盛り上がりに欠けるのか、
アンギラスという恐竜が登場。
このアンギラス、背中がタワシみたいで、
ちょっと笑える造形。


私が一番突っ込みたいのは、
1作目の東京といい、
本作の大阪といい、
なぜゴジラは、
わざわざ狭い湾の中に入ってくるのかって事(笑)。
都会の光に誘われたのかしら。


そして、主人公たちが北海道へ行くと、
なぜかゴジラも北海道に現れるという、
なんともご愛嬌な展開。


そんな安直なストーリーだけど、
大阪で石油コンビナートを爆発させるのを、
脱走した囚人にやらせた事は、
なかなか良いアイデアではないかと思った。


囚人は死んでもいいとは決して思わないけれど、
一般人が死ぬよりはマシだと思ってしまうのが人情だと思うし、
当時劇場で観たであろう子供たちも、
これなら納得した気がする。


シリーズが進んでゆくとどうなるのかな。
ここに感想を書くネタがなくなるくらい、
どうでもいい内容になってきたらどうしよう(笑)。
それでもどこか、
面白い部分を見つけていきたいとは思うけれども。


評価 ★★★☆☆

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「黒い誘惑」 [映画]

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〔1965年/日本〕


旅客機707便が飛行中に行方不明となり、
のちに、爆破され墜落した事が分かる。


警察の捜査本部には、
航空会社から田宮二郎が協力者として、
参加する事になった。


警察は、乗客者全員の身元を洗い、
怨恨・保険金狙いなど、
あらゆる角度から狙われる動機を調べ、
3人に絞り込む。


まずは暴力団の親分、
そして人気女性歌手、
さらに高利貸しの男。


さらに、飛行機が飛び立つ直前、
高利貸しの鞄を、
何者かが開けた事が判明する。


複雑に絡み合った人間関係。
犯人は誰なのか・・・。





飛んでいる飛行機が、
突然爆破されるシーンから映画が始まり、
この間からニュースになっている
マレーシア機撃墜の事件を彷彿とさせて、
偶然とはいえ、少しショックな場面。


報道によると、
マレーシア機の乗客たちは、
一瞬にして意識不明、もしくは死亡したと推測されるそうだ。


何か事故があった時、
「亡くなった方は即死でした」と伝える事が、
遺族にとっての慰めになるそうで、
遺族でない赤の他人の私でも、そう聞くと少し心が楽になる。
あの事件の政治的な事は分からないけれども、
とにかく、ご遺族が一番納得のいく流れになってほしい。


で、この映画。


田宮二郎が、警察ではなく、
航空会社の人間として、
事件の捜査に当たる。


事故の前、
田宮はスチュワーデスの中原早苗から、
ベッドの中で結婚を迫られる。


その時の返事ってのが、
「僕はまだ自由でいたいんだ」だと。
はぁ。。。決まってるねぇ、田宮二郎。
彼ほど、こんなセリフが似合う男はいないわ(笑)。
(その後、彼は結婚を決意するけど)


他の場面でも、とにかくハンサムで、
「いい男」って言葉は彼のためにあるみたいだ。
こういう男は、
女の好みもうるさいんだろうなぁ、
私なんか、女のうちにも入らないんだろうなぁと思いながら観る(笑)。


飛行機爆破の犯人は、
二転三転、
結構複雑で、意外な者同士が知り合いだったりして、
ちゃんと観てないと、
何がなんだか分からなくなりそう。
田宮二郎の顔にボーっとしている場合じゃない(笑)。


やがて真実が明らかになるけど、
この場合の犯人って、
それほど罪になるんだろうか。
詳しくは書かないけど、
罪が分散されているような気がして。


評価 ★★★☆☆

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「やっちゃ場の女」 [映画]

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〔1962年/日本〕


築地の青果市場の仲買店の娘・若尾文子は、
病気で倒れた母の代わりに、
実質・店長の立場で店を切り盛りしている。


OLの妹・叶順子と、高校生の弟・手塚央は
まだまだ手がかかり、
店員の藤巻潤だけが、
彼女の右腕となって働いてくれている。


そんなある日、突然母が亡くなった。
若尾は、その事を父に報せようか迷うが、
結局出掛けていった。


父・信欣三は、
愛人・水戸光子と部屋を借りて、
別の場所に住んでいるのだ。
若尾の初めての訪問に驚く水戸だったが、
心優しい彼女は、
母のために泣いて詫びる。


葬儀も済んだある日、
物干しで、2人きりで花火を見ていた、
若尾と藤巻にショックを受けた叶は、
酒を飲み、上司とホテルで一夜を共にしてしまい・・・。





「やっちゃ場」とはそもそもなんぞや?と思い、
辞書を引いたところ、
青果市場と出ていた。


若尾さんが青果市場の娘を演じるらしいというのは
分かったけど、
実際観てみると、
それらしい場面は、最初のほんの数分(笑)。


あとは家の中での人間関係が主な物語で、
恋愛あり、親子の情愛ありの、
ホームドラマ。


これなら、やっちゃ場でなくても、
肉屋でも、魚屋でも、酒屋でも、
何でも大した変りはないじゃんと思いながら観る(笑)。


その、ほんの少ししかない、
若尾さんの働く姿を見て、
彼女と青果市場って合わないなぁと思う(笑)。
髪型が妙に綺麗にセットされていて、
市場で働く女って感じがしない。
セリフだけはチャキチャキだけど。


そんなだから、
彼女がお見合いをするために和服を着た姿に、
なんだかホッとするんだな。
これぞ若尾さんだ、と。


そのお見合いの相手というのが、
この間亡くなった宇津井健さんで、
なんともチョイ役なところが可笑しい。
昔はこんな役をしていたのね。


叶順子が、酒を飲んだ挙句、
上司と一夜を共にした時、
「飲まされた」と泣くんだけど、
それはおかしいよね。


だってどう見ても、
彼女は自分の意志で酒を飲んでいるじゃないか。
小娘じゃあるまいし、
会社での彼女は、
それなりに強かそうだ。
自分で飲む酒の量を知らない女でもあるまい。


評価 ★★★☆☆

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