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「清作の妻」&若尾文子さんトークショー [映画]

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〔1965年/日本〕


昨日、フィルムセンターで行われた
若尾文子さんのトークショーに行ってきました。


「2時間前に行けば、きっと一番乗りだ、最前列だ、ひゃっほー」と思い、
会場に向かったのですが、着いてビックリ!
もうすでに100人以上の方が並んでいるではないですか。


私の見積りが甘過ぎました(笑)。
若尾文子ブームが来ているとは感じていましたが、
まさかこれほどとは。
最後尾についた私の後にも続々と人が並んで、
最終的に、センター始まって以来の人数が来られたそうで、
入り切れなくて、帰られた方もいたそうです。
ちなみに座席数は310。


これでは前の方の席は無理だなと思っていたのですが、
なぜか3列目に一つだけ空席が!
こんな良いポジションを確保できるとは、
昨日は運の良い日でした。


まずは、若尾さんの代表作ともいえる、
「清作の妻」の上映。
普段、映画は、スクリーン全体が見渡せるよう、
後の方の席を確保するのですが、
舞台挨拶やトークショーの時は、
俳優さんを近くで見たいので、
できるだけ前の席に座ります。


なので映画がとても見にくい(笑)。
ほとんど、見上げる感じです。
でも、今回の「清作の妻」は以前にも観た事があるので、
メインはトークショーだと思い、
頑張って見上げました。


映画が終わり、いよいよ若尾さんが登場です。
私は少し泣いてしまいました。


私が古い日本の映画を愛するきっかけとなった若尾さん、
以来ずっと憧れで、
私の映画の一番の目標に、
「若尾作品全制覇」を掲げているくらい、
大好きな女優さんが目の前にいるという幸せ。


若尾さんは昨日はお着物を着ていらして、
その立ち居振る舞いは、
美しくて、素敵で、
今年81歳とは思えないような、
凛とした佇まい。
そして、時折見せる表情の中にはまだ、
映画女優全盛期の頃の可愛さが残っていて、
「私は今、“あの”若尾文子を目の前にしているんだ」と、
本当に感慨無量。


トークの内容は、
増村保造監督のお話しが中心で、
上映された増村監督作の「清作の妻」は、
若尾さんのお姉さまが、
「あなたの代表作ね」と仰られたとか。


分かります。
日露戦争に夫を送り出す妻の、
究極の愛を描いたこの映画は、
若尾作品の中で、
私のベスト5に入る大傑作ですし、
若尾さんのオフィシャル本でも、
若尾さん自薦のベスト11に入っています。


相手役に、いつもの、
市川雷蔵、川口浩、田宮二郎、船越英二、菅原謙二などでなく、
田村高廣をもってきたのも、
成功の一因だと思います。
上に挙げた方々は大好きですが、
田村高廣は、また何か違うものがあって。


そして若尾さんがめちゃくちゃ美しい。
他の映画も、もちろん美しいですが、
この映画は、群を抜いて美しいです。
「脂が乗っている」という言葉が一番近いかもしれません。
日本中のみんなが、
この映画を観たらいいのになぁと、本気で思います。


若尾さんをこの肉眼で見られた昨日は、
幸せな一日でした。
きっと今日も、その余韻でぼんやりしてしまいそうな気がします。
(いつもぼんやりだけど(笑))


評価 ★★★★★