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「I’M FLASH!」 [映画]

imflash.jpg
〔2012年/日本〕

新興宗教「ライフイズビューティフル」の
3代目教祖・藤原竜也は、
飲酒運転の挙句、
バイクの青年を死なせ、
同乗していた女・水原希子を植物状態にさせてしまう。


世間の目から逃れる為、
教団は藤原を沖縄の施設に軟禁、
3人のボディガード、
松田龍平、 仲野茂、永山絢斗が雇われる。


毎日、海に潜っては魚を捕まえる藤原。
それを見守るボディガードたち。


藤原の家族で、
教団幹部の母と兄と姉は、
その歪んだ家族関係を、
ボディガードの前で隠そうともしない。


死を見つめ直した藤原は、
教団の解散を決意、
それを家族に伝えるが、
当然、聞き入れられるはずもない。


それどころか母は、
ボディガードたちに、
ある命令を下し・・・。





カルト宗教の若き教祖
(事故を報道する新聞記事には「プリンス」と書かれていた)の
苦悩を描いた作品。


宗教の事はよく分からんから、
何とも言えないけど、
ある大きな団体のシンボルに祭り上げられた人間は、
もう自分だけで生きるのは無理なんだと
あらためて思う。


教祖だけでなく、
たとえば、芸能人、
それも、ある水準を超えた人気を獲得した者は、
自分が働く事で、
大勢のスタッフを養っていると聞く。


つまり、働くのが嫌になったという理由だけで、
「辞める」とは簡単には言えないという事なのだろう。
宗教なんか、大きければ大きいほど、
信者も多いだろうしなぁ。


藤原の家族の歪み具合が、
なんとも気持ち悪い。
兄と妹は、藤原の存在そのものが稼ぎ出す金を
当てにしているのは明らかで、
特に姉が、
物凄い剣幕で藤原を罵倒する様子は、
見るに耐えないものがある。


まぁ、彼らにしたら、
教団が無くなる=生きる術を失う
という事なのだろう。
おそらく、よそで働いた事など一度もないだろうし。


母はもっと深刻かも。
舅や夫から引き継いだ教団を
息子の代で失うなど、
彼女のメンツが許さない。
跡継ぎ問題で発した言葉は、
ゾッとするほど薄気味悪かった。


宗教や生死の問題を描いた映画なんだろうけど、
私には、
利害だけで結びついた家族の
藤原竜也の孤独がたまらなく可哀想に思えた。


評価 ★★★☆☆

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「美貌に罪あり」 [映画]

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〔1959年/日本〕


東京郊外の広大な土地で、
花農家を営む杉村春子。
しかし経営は厳しく、
周囲からは常に、土地を売る話が持ち掛けられている。
彼女には、父親違いの2人の娘、
山本富士子と若尾文子がいる。


山本は家業を嫌って家を出、
舞踏家・勝新太郎の弟子になった。
杉村は、借金をしている隣家の息子・川崎敬三と山本の
結婚を望んでいるが、
山本と勝は、いつしか恋仲になり、
結婚してしまう。


若尾は汗まみれになって花を作ってはいるが、
母に内緒でスチュワーデス試験を受け、合格する。
若尾は、一緒に花を作る雇い人の川口浩と
付き合っている。


川口には聾唖の妹・野添ひとみがおり、
野添は、密かに川崎を愛していた・・・。





「美貌に罪あり」、か。
一度くらい言ってみたいセリフだわ(笑)。


とはいえ、
このタイトルと内容は、ちょっとミスマッチ。
私は、タイトルのイメージから、
都会派のラブコメディか、
ドロドロのよろめきドラマを想像していたから。
先祖の土地を売る売らないとか、
若尾さんが泥だらけになって、
花農家を運営しているとは思わなんだ(笑)。
(後にスチュワーデスになるけれども)


映画が始まって、音楽が流れて、
山本富士子、若尾文子、野添ひとみ、
勝新太郎、川口浩、川崎敬三の
6人の名前が出た途端、
「うぉー!」という気持ちになる。
これぞ大映。
何て素晴らしい出演陣。
古い日本の映画を観るようになって随分経つけど、
やっぱり大映最高。


山本富士子さんと勝新太郎が夫婦って、
なんて濃いの(笑)。
しかもしかも、
2人が一緒に日本舞踊や新作舞踊を披露する場面が何度かある。
その色気、その華麗さ。
これぞスター。


踊りといえば、
杉村春子さんと山本さんが、
2人だけで盆踊りを踊る場面も圧巻。
盆踊りって、夏祭りの広場でゆるーく踊るものだと思っていたけど、
きちんと踊ると、
実は大変に迫力のあるものなのだと初めて知った。


山本さんと比べて、
おきゃんで軽い役柄の若尾さん。
スチュワーデスになった途端、
変な男にナンパされて、
ホテルルームにまで付いていって、
貞操の危機に(笑)。
けれど、次の瞬間、思わぬ展開があって、
劇場内は大爆笑。


そして、忘れちゃならない、川口浩様。
浩様は純粋で爽やかな青年で、
恋仲の若尾さんがスチュワーデスになって浮かれる事を、
悲しく思ったり、怒ったり。
若尾さんと何度もキスシーンがある。


けれど私は、
浩様と野添さんの2人が同じ画面におさまる度に、
2人の様子を注視(笑)。
浩様の、野添さんを見つめる瞳に、
愛が溢れているような気がして、
ニコニコして見つめてしまう。
やっぱりお似合いなのはこの2人。


野添さんが聾唖の役で、
一度も声が聞けなかったのが残念。


今、調べていて、
チェーホフが原作と知って驚いた。
チェーホフて(笑)。
ついこの間、
これまた古い邦画「噂の娘」の原作がチェーホフだと
書いたばかりじゃないか。
浩様のお父さん、川口松太郎さんが原作とも書かれているから、
チェーホフの物語を日本に置き換えたのだろうか。
国は違っても、
土地を守るとか、跡取りとか、
そういった問題は同じなのかも。
(私には無い概念だけど)


評価 ★★★☆☆

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「ラストミッション」 [映画]

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〔2014年/アメリカ〕


CIAエージェントのケビン・コスナーは、
医者から余命数ヶ月と宣言されたのを機会に、
元妻と最愛の娘が住むパリへ帰ってくる。


今まで仕事一筋で、
家族を蔑ろにしてきたコスナーは、
最後の時間くらい家族と過ごしたいと考えたのだが、
そう上手く事は運ばない。
特に娘のヘイリー・スタインフェルドは、
父親らしい事を何一つしてこなかったコスナーに、
色々思う所あるようだ。


そんな中、
コスナーの病気に効くという薬を持った、
女エージェントのアンバー・ハードが彼に接近。
薬を打つ代わりに、
仕事を持ち掛けてくる。


もっと生きたい。
娘と接していたい。
そう考えるコスナーは、
テロリスト暗殺という任務を引き受け、
奔走するが・・・。





ケビン・コスナーは、
ピークが過ぎたあと、
なんだかパッとしない期間が長いように思うけれど、
この映画は中々渋くて、
カッコいいおじさんだった。


コスナーとパリって、
なんだか変な組み合わせだけど、
リュック・ベッソンが脚本を手掛けているそうだ。
それなら納得だけど、
でもなぜ、この役をコスナーが演じる事になったんだろう。


娘を愛する親父の物語って、
最近でも本当に沢山あるけど、
父親にとって娘って、
それほど可愛いものなのかしら。
私は男じゃないから、
その辺りの心理はよく分からない(笑)。


久し振りに会った娘・ヘイリー・スタインフェルドには
ボーイフレンドがいるんだけど、
その彼ってのが中々素敵で、
コスナーは文句の付けようがなくて、
とっても複雑そう(笑)。


それから、スタインフェルドは、
殆どの人が出来るであろう、
ある事ができなくて、
それを「父親が不在だったせいだ」という。


で、コスナーと一緒に練習するんだけど、
その場面が可愛くて。
彼女って、雰囲気があっていいな。
「トゥルー・グリット」の時はまだまだ子供だと思ったけど、
本当に素敵に成長してる。
まだ17歳。
これからも頑張ってほしいな。


ストーリーもアクションも、
そう凄いものじゃなかったけど、
「ボディガード」を彷彿とさせるシーンがあって、
笑ってしまった。
ファンにはたまらないでしょうね。


評価 ★★★☆☆

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「ノア 約束の舟」 [映画]

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〔2014年/アメリカ〕


アダムの末裔であるノア(ラッセル・クロウ)は、
ある夜、怖ろしい夢に目が覚める。
地上が深い水の底に沈み、
生き物全てが溺れ死んでいるのだ。


それは神の啓示だと悟ったノアは、
大洪水に備えて、
巨大な舟を造り始める。


舟には、
ノアの家族である、
妻のナーマ(ジェニファー・コネりー)、
長男・セム(ダグラ・ブース)、
次男・ハム(ローガン・ラーマン)、
三男・ヤフェト(レオ・キャロル)、
そして養女のイラ(エマ・ワトソン)が乗り込む予定。


人間以外では、
地上のあらゆる動物のつがいがやって来る。
洪水が引いたあと、子供が産めるようにと。


そんな中、ノアの父を殺した、
トバル・カイン(レイ・ウィンストン)が、
ノアの計画を知り、船を乗っ取ろうとやって来て・・・。





ノアの方舟のお話は、
子供の頃から知っていたけれど、
その舟の形までは考えた事がなかった。


なるほど、「方舟」って言うだけあって、
「箱舟」だ(笑)。
なんというか、
まだ切っていない食パンみたいな形。
今、普通に海に浮かんでいる船とは全然違う。


その中に、あらゆる生き物がつがいで乗り込むわけだけど、
笑ったのは次男の発言。
父には母が、
兄にはイラが、
つがいとして乗るのに、
なんで自分には相手がいないのか、って。


そ、そこ?(笑)
面白いなぁ。
彼は女の子が欲しくて仕方ないみたいだ。
で、初めて会った女の子を
舟に乗せようとするんだけど、
それが叶わず、
父を恨むようになる。


ノアの方舟って、
汚れちまった人間たちを
洪水で流して、
リセットする話だと思っていたけれど、
ノアの家族からして、この調子だとは。
人間は、憎しみや欲からは、
解放される事はないという事?


宗教の素養がないから、
完全に理解したとは言えないかも。
ノアが、ある「殺し」を宣言する理由も、
なんだかよく分からんかった。
私には理解力がないんだろうなぁ。
そもそも、このノアって神様から選ばれるほど良い人間?
というのも思ったし。


それから、
これは映画に対する疑問じゃないけど、
動物たちをつがいで乗せるのはいいとして、
それらが子供を産んで、
その子供がさらに子供を産むとしたら、
それは近親婚になるという事?
これは子供の頃から考えていた疑問。


評価 ★★★☆☆

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「特攻大作戦」 [映画]

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〔1967年/アメリカ〕


1944年。
アメリカ軍のライスマン少佐(リー・マーヴィン)は、
ある作戦の指揮を執る事になった。


それは、ドイツ軍司令部壊滅のための作戦で、
そのために、
軍刑務所に収監中の12人の男たちが集められる。


12人は死刑囚や無期懲役など重罪の、
いずれ劣らぬ曲者揃い。
そんな彼らを教育し、
作戦を実行しようというのだ。
もちろん報酬は特赦。


猛特訓が始まり、
実行の日が近付く。


この作戦は成功するのか・・・。





そう数を観たわけじゃないけど、
50年代60年代の頃って、
こういった、痛快戦争映画が結構あったんだろうなぁと
思いながら観る。


今は、「戦争は痛快じゃない」という意識が浸透しているし、
アメリカも強いばかりじゃないというのが、
分かってきたし、
こういったものは作りにくいんだろうという気がする。


12人の荒くれ囚人男たちを、
大作戦実行のために駆り出すという話だけれど、
この12人の面子が凄い。
チャールズ・ブロンソン、ジョン・カサベテス、
テリー・サバラス、ドナルド・サザーランドなどなど、
とにかく豪華。


彼らは一筋縄ではいかないけど、
そこがいい。
もし12人を優秀な兵士で固めた設定だったら、
なんだかシリアス物になっちゃいそうで、
笑えない気がする。


よく、他の映画で、
佳境に入るまでが長くて、
観ている側は、罰ゲームみたいに辛抱して、
本題に入るのを待つ、なんて作品があるけど、
これは12人の訓練自体が面白くて、
全然飽きない。
訓練風景がもっと長くてもいいくらい(笑)。


最終的に彼らが攻撃するのは、
ヨーロッパの古城を小さくしたような建物で、
そこに潜入してからは、
結構な緊張感。


それにしても、
手榴弾の数にはビックリ。
あんなにあったら、
建物全部が吹っ飛んじゃいそうだわ。


面白い映画だったけど、
やっぱり、違和感は残る。
戦争って、目の前にいる、
ただ、敵国の人間というだけで、
どんどん相手を殺していく事なんだよね。
(当たり前だけど)


憎んでさえいない相手を、
あんなに簡単に殺すって、
やっぱり尋常な状況ではないと思う。
・・・って、そんな事言ったら、
戦争物じゃなくても、殺し合いの映画は
沢山あるんだけど、
なんというか、やっぱり戦争となると嫌なのよね。


この映画、
1967年のアメリカ映画の、
売上1位の作品なのだそうだ。
痛快さと、豪華な俳優陣が良かったのかな。


評価 ★★★☆☆
1
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