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「アイアン・スカイ」 [映画]

ironsky.jpg
〔2012年/フィンランド〕


2018年。
アメリカの宇宙飛行士で黒人のクリストファー・カービーは、
月に降り立って驚愕する。


なんと月の裏側では、
ナチスの残党が基地を作っており、
世界征服を企んでいたのだ。


基地には大勢の人間が暮らしており、
学校まである。
教育はといえば当然ヒトラー万歳で、
幼い子供たちは完全に洗脳されている。


捕まってしまったカービーは、
スマホを取り上げられるが、
ナチスの科学者たちは、
その小さなコンピュータの、
計算能力にビックリ。


野心家の将校・ゲッツ・オットーは、
カービーを案内役に地球に偵察に出る。
すると円盤には密かにオットーの婚約者・ユリア・ディーツェが
乗っており、
3人はニューヨークにやって来る・・・。





ナチスの残党が、
月で基地を作り、
地球攻撃の機会を狙うという、
ビックリなお話。


今まで地球を狙うといえば、
宇宙人と決まっていたのに、
これは斬新なアイデアかも。


観終わって、
フィンランドの映画だと知った。
なるほど、そのせいか、
アメリカにもナチスにも特別な肩入れはなく、
それどころか、
どちらに対しても、
めっちゃ、おちょくってるような内容。
悪い面がデフォルメされてて笑える。


月の基地で軍隊を率いるナチスの
時代遅れ感がいい。
彼らのコンピュータは、
それはもうでかい、
箪笥みたいな、電気がピコピコしているあれ(笑)


そりゃあ、スマホに驚く事だろう。
そして、その大型コンピュータにスマホを繋ぐ科学者。
どうなるの?と興味津々だったけど、
何のことはない、
3秒で電池が切れた(笑)。
そっか、それを想定できない私は、
やっぱり駄目女(笑)。


でも、宇宙の乗り物は、
地球の技術よりずっと発達している気がしたんだけど、
どうなんでしょ。


だって、いわゆる、空飛ぶ円盤型の乗り物で、
地球にやって来るのよ。
よくは分からないけど、
現代の技術で、
円盤型の宇宙船なんて作れるんだろうか。


月はいつも同じ側しか地球に向けていないって
聞いた事があるけど、
だからこそ、よけいに神秘的。
まぁ、月の裏側で何かが行われてるとしても、
地球から見えるわけじゃないんだけど。


評価 ★★★☆☆

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「キューティ・ブロンド」 [映画]

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〔2001年/アメリカ〕


エル・ウッズ(リース・ウィザースプーン)は、
大学でファッションを学ぶ、
明るく元気な女の子で、
さらにその性格の良さから、
学内で女子受けナンバーワン。


今夜彼女は、恋人ワーナー(マシュー・デイヴィス)から
お食事に誘われ、
いよいよプロポーズ?!と、
パーフェクトファッションで出陣。


ところがワーナーから、
「僕はハーバードのロースクールに行き、
 いずれは上院議員になるつもり。
 君のようなブロンド女は僕の妻に相応しくない」と言われ、
振られてしまう。


どん底気分のエルだったが、
一念発起し、ワーナーと同じ学校に入るべく猛勉強。
合格点に達し、入学する。


しかし再会したワーナーには、
すでに婚約者ヴィヴィアン(セルマ・ブレア)がいて、
このヴィヴィアンがまた意地悪で。


邪魔扱いされた彼女は、
またまた勉強し、
ついにキャラハン教授が担当する、
殺人事件の助手に、
ワーナーやヴィヴィアンと共に選出され、
実際の法廷に赴く。


するとどうだろう、
被告はエルが通っていたジムの若き女性カリスマ経営者じゃないの。
彼女が殺人なんか犯すわけないわ。
エルは無罪を勝ち取る為、
アリバイを証明しようとするが・・・。





これは良い。
明るくなれる。
「元気をもらう」なんて言葉は好きじゃないけど、
でも、本当に元気になる。
「私も頑張ろう」という気持ちになる。
(その時だけだろうけど(笑))


最初は、
リース・ウィザースプーン演じるエルが、
どうしても好きになれなかった。
派手でチャラチャラしてて、
軽い女として描かれていたから。


でも、お話が進むにつれて、
彼女を好きになるんだな。
なんだろう、理由は分からないけど、
どんどん惹きつけられる。


ロースクールに入った彼女と、
他の学生との対比が笑える。
それは一目瞭然。
他の学生が黒や茶色の基調としたお洋服なのに対して、
彼女のファッションはピンクピンク、ピンクがメイン。


それはお洋服だけじゃなくて、
とにかく持ち物全て、
どこか凝らずにはいられないみたい。
ペン1本にしても、フワフワのファー状の物が付いてたりとか(笑)。
私は基本、意味のない飾り付けはしない方だけど、
彼女に限ってはそれも有りかな、と思ったり。


エルは常に女の味方。
ネイルサロンの中年女性との友情は必見。
彼女の別れた男から犬を取り戻したり、
新しい男をゲットする方法を教えたりと、
その辺りの展開がとっても小気味いい。


そして裁判のシーン。
ご都合主義な展開はご愛嬌だけど、
エルだから許しちゃう(笑)。
頑張れ!と本気で応援しちゃう。


楽しかった。
世間の評価が高いのも納得。


評価 ★★★★☆

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「破戒」 [映画]

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〔1962年/日本〕


明治時代。
被差別部落出身の瀬川丑松(市川雷蔵)は、
出自を隠し、小学校の教員をしている。


丑松の父は、息子の将来を案じ、
部落出身という事を、
絶対、他人に知られてはいけないと戒めてきた。


そんな父が、ある日、牛の角に突かれて死んだ。
丑松は戒めを破り、
父の遺体に会いに行き、号泣する。


下宿に帰った丑松を、
同僚で親友の土屋銀之助(長門裕之)が慰めてくれた。
しかし、そんな土屋も、
丑松が部落出身だとは夢にも思っていない。


丑松は、部落解放の運動家・猪子蓮太郎(三國連太郎)に心酔し、
彼の著書を読み込んでいたが、
土屋は猪子を「危険な思想家」だと言い、
そのような書物は読まない方がいいと、
丑松に進言するのだった。


しかし、あれほど隠していた丑松の秘密が、
どこからともなく漏れ、
丑松は追い込まれてゆく・・・。





島崎藤村の原作を、
市川雷蔵主演で映画化。


不勉強でお恥ずかしい話しだけれど、
私は大人になるまで、
被差別部落について、特に考えた事がなかった。


そういった環境になかったというのが大きいけれど、
それに関する話を聞いてもピンとこず、
よく意味も分からなかった。
「肌で感じた事がない」というのが、
一番近い表現ではないかと思う。


今になって書物やネットで、
少し調べたりしているけれど、
この映画のような明治の時代、
差別は今よりもっともっと厳しかったのでは、と、
そんな気がする。


丑松は自分の出身を他人に知られる事を、
心の底から恐れている。
それは、その事が公になったが最後、
職を追われるからだ。
職を追われるという事は、
自分の食い扶持が脅かされるという事だ。


それが分かっていて、
誰が出身を口にできよう。
当時はまだ、
表立っての差別は恥ずかしいなどという概念は無く、
大人が普通に、大っぴらに差別を口にする。


丑松はなぜ、
職業に教師を選んだのだろう。
田舎町の教師といえば、
どうしても公人という印象が強いし、
目立ちやすい。
生徒がいれば、
その倍の数の親がいる。
それだけバレる確率も高くなる。


それから、
もし、自分の出自を絶対に隠したいと固く決心したなら、
もう絶対、それに関する場所や人や物には
近寄っては駄目だと思うんだけど。


極端な事をいえば、
親の葬儀にも出席しないくらいの覚悟がないと。
現に丑松は、
父の遺体に会いに行った時、
電車の中で目撃されてしまっている。
そういった小さな事から、
綻びが生じていくのに。


猪子蓮太郎に憧れる気持ちも分かるけど、
それもやっぱり隠した方がいいな。
下宿の本棚に、
猪子の本を並べるなど、
「お察しください」と言っているようなもの。
何かを隠すなら「これくらいは」というのはない。
100:0の覚悟で隠し通さねば。


とはいえ、
被差別部落の事を何も分かっていない私だから、
こんな感想もトンチンカンなのかもしれないな。
ラストが絶望的でなくて良かった。


評価 ★★★☆☆

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「処刑人II」 [映画]

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〔2009年/アメリカ〕


前作から8年後。
処刑人として、ボストンのマフィアを一掃した、
ショーン・パトリック・フラナリーとノーマン・リーダス兄弟は、
アイルランドの田舎町で静かに暮らしていた。


ところがボストンで、
知り合いの神父が殺されたと知らされた2人は、
再びボストンに向かう。


神父の遺体には、
あたかも2人が犯人かのような細工が施され、
警察は、2人が犯人かどうかは、
五分五分と発表、
世間の人々の意見も割れている。


実はこの事件、
以前に2人が処刑したマフィアの首領の息子が、
2人をおびき出す為に行った罠だった・・・。





昨日書いた「処刑人」の続編。
映画では8年後となっているけれど、
実際には10年後に作られている。


10年も経っての続編じゃ、
リアルタイムで観た方は、
細かい所は忘れちゃってるんじゃない?と思いながら観る。
まぁ、覚えていないと支障があるほど、
深い内容じゃないから、問題ないんだろうけど(笑)。


当たり前の事だけど、
ショーン・パトリック・フラナリーとノーマン・リーダスの2人が
かなり老けている。
2日連続で観たから、
余計にそれが分かる。
10年の歳月って恐ろしいな。
自分だって、毎日鏡で見ているから気付かないだけで、
10年経てば10年分、変化しているんだろうなぁ(当たり前だ(笑))。


このペースでいくと、
次は2019年?(笑)
でもその時フラナリーは53歳。
やっぱり無理か。
それとも二世が活躍するとか?
勝手に話を考えちゃってるけど(笑)。


二世といえば、
実は彼ら自体が二世で、
本作では、彼らの父の悲しい過去が明らかになる。
「処刑人」の血は遺伝みたいなものなのだ。


それから、残念な事に、
前作の影の主役ウィレム・デフォーが
出てなかった。
いや、出ていないというのは間違いで、
ノンクレジットで、軽く登場する。
ある男の後ろ姿が映った時、
「あれ、もしかしてもしかして・・・」って期待したら、
やっぱりそうで嬉しかったな。
ウィレム・デフォーの出番をこんなに期待した映画って、
今まで無かった気がするわ(笑)。


今回の捜査官は女性なんだけど、
私はこのジュリー・ベンツという女優さんを
よく知らないのが残念。


ただ、彼女が頭の中で考えていた事が分かった時は、
楽しかったな。
そうだよ、何事も楽しまなくっちゃ、って。


評価 ★★★☆☆

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「処刑人」 [映画]

shokeinin.jpg
〔1999年/アメリカ〕


ボストンに住む、
ショーン・パトリック・フラナリーとノーマン・リーダスは
精肉工場で働く仲の良い兄弟。


ある日、彼らは行き付けのバーで
ロシアンマフィアの嫌がらせに遭い、相手をやっつけるが
それを逆恨みされ自宅を襲撃される。


危機一髪の所でマフィアを殺した彼らは、
留置場に入れられるが、
その時、
「悪人を処刑せよ」との神の啓示を受け、
何かに目覚める。


正当防衛が認められ、
出所した彼らは武器を調達、
街の悪人どもを次々「処刑」してゆく。


事件の捜査をするFBIの捜査官・ウィレム・デフォーは、
立場を忘れて、
彼らに共感を覚えるようになり・・・。





タイトルの印象から、
暗くてシリアスなものを想像していたけれど、
意外と軽くて、ちょっとコメディタッチ、
そしてスタイリッシュ。


ショーン・パトリック・フラナリーとノーマン・リーダスの兄弟が主役だけれど、
なんといっても、
影の主役はウィレム・デフォー。
なんともまぁ、彼のキレた、
そして不思議な存在感に圧倒される。
それに、ある秘密をかかえちゃってるし(笑)。
あんな顔して、面白い人だなぁ。


デフォーが捜査してゆく段階で、
彼の説明する、「犯人の動き」が、
画面が切り替わって再現されるのも、
分かり易くて面白い。
上手い演出だと思う。


フラナリーとリーダスが、
忍び込んだマフィアの屋敷の、
ダクトの中で兄弟喧嘩を始める場面が、
可愛くて好き。
そして、その後の凄い展開も。


「人が人を勝手に処刑するってどうなのよ」、という
ご意見もあるようだけれど、
私の頭には不思議とそれは浮かんでこなかった。


コメディタッチのせいもあるし、
「神の啓示」という、
私とは別世界のお話しというせいもある。
これが日本なら、
もう少しリアルだったかもしれないな。


マフィアの首領や幹部や組員たちが、
みんな馬鹿っぽいっていうのも、
シリアスに考えずに済んだ、一つの理由かも。
どこまでも軽いノリで、
良いも悪いも考えずに楽しめる。


評価 ★★★☆☆

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