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「美貌に罪あり」 [映画]

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〔1959年/日本〕


東京郊外の広大な土地で、
花農家を営む杉村春子。
しかし経営は厳しく、
周囲からは常に、土地を売る話が持ち掛けられている。
彼女には、父親違いの2人の娘、
山本富士子と若尾文子がいる。


山本は家業を嫌って家を出、
舞踏家・勝新太郎の弟子になった。
杉村は、借金をしている隣家の息子・川崎敬三と山本の
結婚を望んでいるが、
山本と勝は、いつしか恋仲になり、
結婚してしまう。


若尾は汗まみれになって花を作ってはいるが、
母に内緒でスチュワーデス試験を受け、合格する。
若尾は、一緒に花を作る雇い人の川口浩と
付き合っている。


川口には聾唖の妹・野添ひとみがおり、
野添は、密かに川崎を愛していた・・・。





「美貌に罪あり」、か。
一度くらい言ってみたいセリフだわ(笑)。


とはいえ、
このタイトルと内容は、ちょっとミスマッチ。
私は、タイトルのイメージから、
都会派のラブコメディか、
ドロドロのよろめきドラマを想像していたから。
先祖の土地を売る売らないとか、
若尾さんが泥だらけになって、
花農家を運営しているとは思わなんだ(笑)。
(後にスチュワーデスになるけれども)


映画が始まって、音楽が流れて、
山本富士子、若尾文子、野添ひとみ、
勝新太郎、川口浩、川崎敬三の
6人の名前が出た途端、
「うぉー!」という気持ちになる。
これぞ大映。
何て素晴らしい出演陣。
古い日本の映画を観るようになって随分経つけど、
やっぱり大映最高。


山本富士子さんと勝新太郎が夫婦って、
なんて濃いの(笑)。
しかもしかも、
2人が一緒に日本舞踊や新作舞踊を披露する場面が何度かある。
その色気、その華麗さ。
これぞスター。


踊りといえば、
杉村春子さんと山本さんが、
2人だけで盆踊りを踊る場面も圧巻。
盆踊りって、夏祭りの広場でゆるーく踊るものだと思っていたけど、
きちんと踊ると、
実は大変に迫力のあるものなのだと初めて知った。


山本さんと比べて、
おきゃんで軽い役柄の若尾さん。
スチュワーデスになった途端、
変な男にナンパされて、
ホテルルームにまで付いていって、
貞操の危機に(笑)。
けれど、次の瞬間、思わぬ展開があって、
劇場内は大爆笑。


そして、忘れちゃならない、川口浩様。
浩様は純粋で爽やかな青年で、
恋仲の若尾さんがスチュワーデスになって浮かれる事を、
悲しく思ったり、怒ったり。
若尾さんと何度もキスシーンがある。


けれど私は、
浩様と野添さんの2人が同じ画面におさまる度に、
2人の様子を注視(笑)。
浩様の、野添さんを見つめる瞳に、
愛が溢れているような気がして、
ニコニコして見つめてしまう。
やっぱりお似合いなのはこの2人。


野添さんが聾唖の役で、
一度も声が聞けなかったのが残念。


今、調べていて、
チェーホフが原作と知って驚いた。
チェーホフて(笑)。
ついこの間、
これまた古い邦画「噂の娘」の原作がチェーホフだと
書いたばかりじゃないか。
浩様のお父さん、川口松太郎さんが原作とも書かれているから、
チェーホフの物語を日本に置き換えたのだろうか。
国は違っても、
土地を守るとか、跡取りとか、
そういった問題は同じなのかも。
(私には無い概念だけど)


評価 ★★★☆☆

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