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「実録三億円事件 時効成立」 [映画]

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〔1975年/日本〕


ギャンブル狂いの西原房夫(岡田裕介)は、
会社の金を使い込み、
情婦・孝子(小川真由美)の家財道具やアクセサリーを売る事で、
なんとか刑事罰を免れる。


何もかも失い、途方に暮れる孝子に、
西原はある計画を持ち掛ける。
それは、東芝の社員たちのボーナスを積んだ現金輸送車に
ダイナマイトが仕掛けられたと嘘を吐き、
行員たちが避難した隙に、
車ごと奪ってしまおうというものだ。


その日から孝子と2人、
車やバイクを盗み、
警官の衣装を揃え、
準備万端整える。


当日、事は西原の思い通りに進み、
彼らは簡単に三億円を手に入れる。


刑事の1人、葛木(金子信雄)は、
西原の存在に気付き、
執拗に彼をマークするが・・・。





犯罪史の中でも、
三億円事件は、なんだか「別格」みたいな感じが、
私の中にも、
そして多くの人々の中にもあるような気がする。


当時の空気は分からないけれど、
何かで読んだ話では、
「周到な計画や、死傷者を1人も出さなかった」などの理由から、
「上手い事やりやがったな」という雰囲気が、
日本中にあったという。
もちろん、どんな犯罪でも、
それを褒めるなどしてはいけない事は、
分かっているけれど。


この映画は、
そんな三億円事件の犯人の、
計画⇒準備⇒実行⇒逃亡生活
を描いた、
ちょっとドキュメンタリーみたいな、
大変に面白い映画に仕上がっている。


まず、その準備の段階から面白く、
見入ってしまう。
特に、
ヘルメットや拡声器やベルトまでも、
白いスプレーで簡単に塗っている場面を見ると、
そんなチープなやり方で、
警察官に化けたんだ、と、
ちょっと驚くような気持ち。


そして実際の、強奪場面。
本当にドキドキする。
「どうか、この計画が成功しますように」と、
犯人に肩入れしてしまうのは、いつもの事。
あんな風に準備段階から見せられてたら、
犯人の気持ちに寄り添ってしまうのは、
当然とも言える。


この犯人像は、
どこまでフィクションなんだろう。
実際、これに近い怪しい人物がいたのか、
それとも、全くの架空の人物なのか。


それにしても三億円。
ウィキペディアによると、
今のお金にして10億円の価値があるという。


10億円あったら、どうするかなぁ。
でかすぎて、想像の範囲を超えている(笑)。
何度か書いているけれど、
都内に名画座でも建てるかな。
好きに上映作など決めちゃう、
自分勝手な名画座(笑)。
なにせ、儲けはそれほど考えなくていいわけだしね。


評価 ★★★★☆

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「セックス・チェック 第二の性」 [映画]

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〔1968年/日本〕


オリンピックの陸上競技出場目前で、
戦争に夢を絶たれた緒形拳は、
今はやさぐれ、ヒモ暮らし。


そんな彼に、ある企業から、
陸上部のコーチをしてほしいとの依頼が来る。
最初は渋っていた緒形だが、
偶然に出会った女子工員・大楠道代に
陸上競技の才能を見出し、
特訓することになる。


大楠は緒形の見立て通り、
日本記録に迫るタイムを叩き出すも、
彼女が男ではないかと疑惑を持たれ、
性別診断を受けさせる。


診断の結果、自分が半陰陽だと知り、
ショックを受けた大楠は、
故郷に帰り、引き籠るが、
迎えに行った緒形は、
「お前を女にしてやる」と、
性関係を持ち・・・。




最初から最後まで、
「んな馬鹿な」という展開だが、
増村保造監督の映画はそこがいい。
大好き(笑)。


俳優さんの演技が大仰で、
荒唐無稽なトンデモ映画。
なにせ、有り得ないことばっかり(笑)。


大楠道代のコーチを引き受けた緒形拳は、
彼女に毎日ひげを剃れと命ずる。
毎日剃っていれば、ひげが濃くなる。
お前は女だけれど、男のような力を発揮しろ、ということらしい。


しっかし、女がいくら口の周りを剃ったって、
それはひげではなく、産毛じゃない?(笑)
産毛がいくら濃くなったって、
陸上競技の実力とは、
何ら関係ない気がするんだけど。


その後、大楠が性別診断により、
男と判定されてしまうのだけれど、
今まで、「男(のよう)になれ」と指導してきた彼女に、
今度は「お前を女にしてやる」と、
突然男女の関係になるという
トンデモ展開には笑うしかない。


よくは分からないけれど、
スポーツにおける性別診断って、
誰かが、女にしてやるとか、やらないとか、
そういう問題じゃなくて、
染色体か何かで判断する気がするんだけど・・・。


もう、これは真剣に観ても仕方がない。
どこか違う星の物語だと思えば、
問題なく楽しめる。


とにかく、
登場人物全員が、変(笑)。
変だけど、増村監督にかかると、
納得してしまう、すごい力がある。


ただ、これを演じる緒形拳さんの気持ちが気になる(笑)。
「俺、何やってんだろ」って思わなかったのかって。


評価 ★★★☆☆

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「亡霊怪猫屋敷」 [映画]

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〔1958年/日本〕


大学助教授の久住(細川俊夫)は、
妻・頼子(江島由里子)の結核の転地療養のため、
頼子の郷里に引っ越す。


彼らが移り住んだのは、
幽霊屋敷と呼ばれる家で、
頼子は不気味な老婆の姿を何度も見るが、
久住は、病気で神経過敏になっているせいだと信じない。


しかし、ある日、
久住の留守中に飼い犬が殺され、
頼子が老婆に殺されかかるという事件が起こる。
驚いた久住は、
この家にまつわる江戸時代の起こった事件を知る和尚の所へ、
話を聞きに行く。


和尚曰く、
彼らが住む家は、
かつては大村藩家老・石堂左近(芝田新)の屋敷であり、
短気な石堂は、
碁の試合に負けたという理由だけで、
家臣の竜胆寺小金吾(中村竜三郎)を斬り殺したとの事。


さらに、小金吾を身を案じた母は、
石堂に凌辱され自害したと言うのだ・・・。





やっぱり日本の怪談は、
洋物には無い面白さと怖さがあるわ。


日本人だから分かる、
肌で感じる恐怖と、
感情移入のし易さ。
さらにこの映画は、
現代篇と、江戸時代篇に分かれているという、
1本で2度楽しめるお得感(笑)。


怖さだけでいえば、
現代篇の方が怖いかな。
結核を患った妻が、
なぜか一人になった時だけやって来る、
白髪の老婆。


頼みの夫は、
「お前の気のせいだ」と
本気にしてくれず、
でも、振り向くとそこにいる老婆にギョッとする。
うーん、信じてやってよー(笑)。


物語として面白いのは江戸時代篇。


大村藩家老・石堂左近の短気な事ったら、
それはもう病的で、
短気というより、
ヒステリーとでも言おうか、
何か異常な感じ。


そんな石堂に殺されてしまう小金吾が
気の毒で。
しかも、殺された小金吾は、
壁に塗りこまれるのよ。
その壁から滲み出る血液が、
色も質感も、本当にリアル。
血液のドロリとした感じまで
伝わってくるようで。


小金吾の母が、
息子を殺した石堂を憎むあまり、
化け猫になってしまう気持ち、
痛いほど分かる。
物の怪には、物の怪になるだけの理由があるものよ。
気味悪がるだけでなく、
その理由を聞いてあげないと。


ラストもいい。
怖い映画が嫌いな方でも、
これなら納得いきそう。


評価 ★★★☆☆

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「噂のギャンブラー」 [映画]

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〔2012年/アメリカ〕


宅配ストリップをしているベス(レベッカ・ホール)は、
自分の生活を変えたく思い、
ラスベガスに行く。


そこで、ギャンブルを生業とするディング(ブルース・ウィリス)の
アシスタントに採用されると、
どうやら才能があったようで、
ディングの片腕として、成長してゆく。


さらにディングと男女の関係となるが、
彼の妻・チューリップ(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)に咎められ、
ディングもチューリップを選んだため、
解雇されてしまう。


ニューヨークに飛んだベスは、
そこで新たにギャンブルを始める。
しかし、ニューヨークはギャンブル禁止の法律があり・・・。





ギャンブルでの駆け引きや、
どんでん返しがメインのお話かと思っていたけれど、
一人の女の子の成長物語みたいな感じだった。


ギャンブル映画って、
そのゲームのルールを知らないと、
何がなんだか分からないという事になってしまうけれど、
そのような事もなく、
そういう意味では観ていて楽。


ただ、ちょっと驚いたのは、
もうこの世の中、
どんなことでも、賭けの対象に出来るし、
している人がいるんだな、って事。


競馬などはもちろん、
ありとあらゆるスポーツ、
さらにはミスコンまで、
勝敗やランキングがつくものは、
彼らにとっては全て賭けの対象らしく、
ブルース・ウィリスの事務所の壁は、
一面モニターになっていて、
それらを映したテレビ番組が流れている。


それって、私が物知らずの呑気者なだけで、
世の中は、普通にそうなのだろうか。
例に出しては失礼だけれど、
今で言えば、
テニスの錦織くんの試合なども、
日本のどこかで、賭けの対象にしている人がいるのだろうか。


それから、賭けの場面とは違うけど、
キャサリン・ゼタ・ジョーンズの有る場面にショック。


彼女は劇中で、
フェイスリフトの施術を受けるのだけれど、
その直後の、顔の青あざと腫れの痛々しそうな事ったら。


あくまでも憶測だけど、
一部の女優さんたちが、
その施術を受けているとの話はよく聞く。
私たちは、あざや腫れが消えた、
美しい顔になった状態でしか見る事はないけれど、
舞台裏があんなに壮絶とは。


すごいなぁ、美に対する思い入れ。
私は整形には一生縁がないだろうと思う。
必要がないわけではなく、
あの痛そうな状態に耐えられそうにもなくて。


評価 ★★★☆☆

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「踊る京マチ子 歌う乙羽信子」 [映画]

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〔1952年/日本〕


ある喫茶店のマスターは、
京マチ子と乙羽信子が大好き。


壁には2人の写真が沢山飾ってあり、
お客に、
二人の良さを説いて回っている・・・。





京マチ子さんと乙羽信子さんの映画を、
繋いだだけの
27分の短い映画。


今この映画を作るとしたら、
「踊る綾瀬はるか 歌う長澤まさみ」みたいなもの?(笑)。
ちょっと考えられないけど、
他の作品との併映だったら、
まぁ、好きにしてって感じかな(笑)。


写真でも分かるように、
京さんの体はムチムチで、
お腹はポッコリ、脚も太い。
今だったら、きっと、
「太ってる」って言われるんだろうなぁと思う。


でも、古い映画を観ていると、
女優さんや、バックダンサーさんの体型は、
みんなこんなもの。


おそらく、観客もそれを観ても、
太ってるなんて、微塵も感じなかっただろうし、
むしろ、これくらいのムチムチが
色っぽいと思っていたような節もある。


時代の変化って面白い。


評価 ★★★☆☆

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