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「ビリケン」 [映画]

billiken.jpg
〔1996年/日本〕


大阪の新世界の周辺では、
2008年開催のオリンピック誘致に向けて、
通天閣の取り壊しが検討されていた。


通天閣の社長・岸部一徳は、
取り壊しをなんとか阻止しようと、
あれこれ策を講じるが、
中々上手くはいかない。


そんなある日、非常階段に長年置きっぱなしになっていた
箱を開けると、
中から、「ビリケン」の像が出てきた。


このビリケンを客寄せに使おうと、
岸部が像を展望台に設置すると、
人間の姿になったビリケン(杉本哲太)が、
次々と人々の願いを叶えてくれるようになる。


噂が噂を呼び、
ビリケン像の前には、長蛇の列ができるが、
ある出来事がきっかけで、
評判がガタ落ちになってしまう・・・。





大阪は大好きで、
何度も行った事があるけれど、
通天閣に上った事はない。


上ろうと思い、下まで行った事はあるのだが、
大変な列ができていて、
並ぶ気になれず、
諦めた事はある。


なので、私は、
話によく聞く、
ビリケンさんの像というのを肉眼で見た事がない。
この映画や、写真で見るビリケンさんは、
目が吊り上った、
でもとっても可愛い、
不思議な神様だとは思うけれど。


劇中でも言っているけれど、
ビリケンさんは元々、
外国の方が製作した像との事で、
大阪だけでなく、
日本の各地や、アメリカにもあるらしい。


この映画は、
そんなビリケンさんを、
大阪らしいお話でまとめてある。


ちょっと残念に思うのは、
どうせだったら、
登場人物は全員、
大阪出身(せめて関西出身)の俳優さんで
固めてほしかったという事。


特に、杉本哲太さんと山口智子さん。
いや、別にこのお二人が嫌いなわけでも、
演技が駄目だったわけでもない。


ただ、せっかくなら、
本物の大阪弁が聞きたかったという事で。


それから、オリンピックの為に、
通天閣を取り壊すって計画が、
実際にあったのかどうかは知らないけど、
ずいぶん酷い話で。


これは、今問題になっている、
2020年の東京オリンピックを彷彿とさせて、
なんだかシャレにならない気がする。


東京オリンピック、
なんで今からこんなに揉めてるんだ?
くだらない事でガタガタガタガタ、
こんな事で、上手くいくんだろうか。


私はどちらかというと、
「そんな面倒な事はしなくていい」派だったけど、
まぁ、とりあえず決まったからには、
応援するしかないかな、と思っていたのに、
「やっぱり誘致なんてしなければ良かった」という方向に、
考えが戻ってしまいそうだよ。


スタジアムで大揉めに揉めて、
その後も、案内人さんの服装から、
エンブレムまで、ケチがつきっぱなし。
日本には、そういった事をまとめたり、
きちんと管理のできる、
センスのある人はいないのか。


評価 ★★★☆☆

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「東京湾炎上」 [映画]

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〔1975年/日本〕


巨大なタンカー「アラビアン・ライト」は、
もうすぐ航海を終え、
東京に近付いてきていた。
乗組員たちは久し振りの上陸を
楽しみにしている。


そんな中、
ボートに乗った6人の黒人の男たちが救助を求めてきた。
「アラビアン・ライト」の船長・丹波哲郎は、
縄梯子を下ろし、彼らを助けるが、
なんと、乗船させた途端、
銃口を向けられる。


6人はアフリカ出身のテロリスト集団で、
自国の現状を憂い、
「資源公正分配推進組織」を名乗っていた。


「アラビアン・ライト」に爆弾を仕掛けた彼らは、
日本政府に、ある要求を突き付けた。


鹿児島の石油コンビナートを破壊しろ。
そして、その模様をテレビ中継しろ。
さもなくば、
この「アラビアン・ライト」を、
東京湾内で爆破させるぞ、と・・・。





劇中で、
「東京湾の中でタンカーが爆発した時に起こる事象」の
シュミレーションがあるのだけれど、
それには驚いた。


狭い東京湾では、
爆発したタンカーから流れ出た原油が海を覆い、
揮発した成分が空中を漂い出す。
それが何かに引火し、
炎上すると、
黒煙を吸った多くの人が死亡し、
それがまた、二次災害、三次災害を引き起こす、と。


もちろんこれは、
映画上の仮説であって、
現実にそうなるかは分からないけれど、
でも、東京湾内で、
大きな事故が起これば、
被害は、湾岸だけでは済まないという、
警鐘だろうとも思う。


そしてこの映画の怖い所は、
それが事故ではなく、
テロリストによって引き起こされている点。


世界中に、なにやら不穏な空気があるのは、
21世紀に入ってずっとで、
この先、日本も、世界も、
一体どこへ行くんだろうと、
ちょっと不安な所に、
こんなものを観たら、
ますます不安な気持ちになってしまうよ。


まぁ、私には特別な主義主張はないし、
色んな事に意見を言えるほど、
勉強しているわけじゃないから、
あんまりつまらない事は書かない方がいいのかなとは
思うけど。


水谷豊氏が、
テロリスト側にいる日本人の役をしていたのが、
ちょっと珍しかった。


今では、日本の俳優の中でも、
ちょっとした地位にいる彼だけれども、
この映画では、まだ若造って感じで、
なんでテロリスト側にいるのかは分からないけど、
ある種の思想を持っている人の役を、
熱く演じていた。


日本人なら、
日本人の側にいてほしかったけどね。
まぁ、全員が同じ方を向いて、
足並みを揃えるなんてことはないって事なのだろう。
あんなに恐ろしい報道があるにも関わらず、
イスラム国に出掛けてしまう人もいるわけだし。


評価 ★★★☆☆

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「吸血鬼ゴケミドロ」 [映画]

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〔1968年/日本〕


羽田を飛び立ったばかりのジェット機に、
鳥が自殺をするかのように、
窓にぶつかってくるという不可思議な現象が起こる。


さらに、管制塔から、
ダイナマイトを持った自殺志願の男が
乗り込んでいるとの情報が入り、
副操縦士・吉田輝雄と、
CA・佐藤友美は、
乗客たちの手荷物検査を行う。


そんなこんなしている中、
飛行機は、謎の発光体に遭遇、
そのショックで、
無人島に不時着してしまう。


生き残った9人は、
自分の命を優先させるため、
エゴ丸出しとなってゆき・・・。





悪くはない。
ただ、一つだけハッキリしろと言いたい(笑)。


ここに出てくる化け物は、
「吸血鬼」なのか、「宇宙人」なのか。


そもそもこの2つって、
私の中では全くの別物なんだけどなぁ。
このタイトルだと、
いわゆる、「ドラキュラ」ものなのかと思っちゃわない?


観てみると、
人間の生血を吸う宇宙人、というのが分かる。
だったら、タイトルは、
「吸血宇宙人」とかにした方が良かったのでは?
(余計なお世話だが(笑))


この宇宙人が
人間の体に入り込む場面が何度もあるのだけれど、
それが、鳥肌が立ちそうなくらい気持ちが悪い。


人の額がパカッと縦に割れて、
その中を、スライムのようなドロドロしたものが、
ズルズルと蛇のように入っていく。
(書いてるだけで、ゾッとする(笑))


出てくる場面もあるけど、基本的に同じ。
スライム状のものが、蛇のように額から出てくる。
人の皮膚から、異物が出たり入ったりするのって、
何か、原始的な恐ろしさがあるわ。


生き残った9人が、
バラエティに富んでいて面白い。
副操縦士とCA、
自殺願望の男、
暗殺者、
政治家と、秘書と、秘書の妻、
白人女、
生物学者。
(たしか、そんな感じ)


この中でも最悪なのが、政治家とその秘書。
秘書は、出世の為に、
自分の妻を政治家に抱かせている。


こんなSFだかホラーだかの映画で、
ドロドロの男女関係が織り込まれてるって、
笑える。


で、この政治家、
自分が生き残る為なら、
どんな手段も選ばない最悪なおっさん。
中年男の嫌な部分がデフォルメされてるみたいなキャラで、
まぁ、でも、この手の映画で、このような人物が、
最後まで生き残るとは思えず、
ちょっと溜飲が下がるようにはなっているけれど。


シャレにならない部分もある。


宇宙人が地球に来たのは、
日本に原爆が落とされた時の、
混乱している隙を狙ったんだと。


つまりは、広い意味で、これも反戦映画。
ラストもゾッとする。
宇宙人に隙を与えないためにも、
戦争はしちゃダメだわね。


評価 ★★★☆☆

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「インサイド・ヘッド」 [映画]

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〔2015年/アメリカ〕


11歳の少女・ライリーは、
アイスホッケーが大好きで、
家族も、友達も大切な、
元気で活発な女の子。


そんなライリーは、
父の仕事の都合で、
生まれ育ったミネソタの田舎町から、
大都会のサンフランシスコに引っ越す。


そんな彼女の頭の中で、
5つの感情、
喜び、
怒り、
嫌悪、
怖れ、
そして悲しみが、
彼女の幸せを守ろうと奮闘しているが・・・。





人間が持つ5つの感情を
11歳の少女・ライリーの人生に重ね合わせて描いた
ディズニー映画。


劇場内は、幼い子供でいっぱい。
もう夏休み?
それとも、夕方だったから、
幼稚園や学校が終わってから来たのか。


これって、子供に意味がわかるのかと
思いながら観る。
人の感情は一つじゃなく、
複雑に絡み合っているのは、
大人だから、より理解できるんじゃないだろうか。


そのせいか、子供の笑い声は殆ど聞かれなかった。
(私が観た回がたまたまそうだったのかもしれないけど)


この5つの感情たちは、
喜びがリーダー格となって、
動いているように描かれる。


やっぱり人は、
まず喜びがあって、
それ以外の負の感情は、
脇役、いや、脇役であってほしいという
願いの表れなんだろう。


とはいえ、
人には、
喜びだけでなく、
悲しみや、他の感情も必要ってオチで。


それから、
普段、思い出したくない、
嫌な出来事が溜まっている場所というのが、
真っ暗で怖い。
年を重ねれば重ねるほど、
あの真っ暗な場所が広がっていくのかと思うと
怖ろしい(笑)。


・・・と、そんな事を考えてしまう
自分は嫌な人間だわ(笑)。


私は、5つの感情たちより、
ライリーという少女がとても好きになった。
今度は、ライリーの人生だけを描いた映画が
観てみたい。


評価 ★★★☆☆

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「あの手この手」 [映画]

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〔1952年/日本〕


大阪在住の大学助教授・森雅之は、
妻・水戸光子に頭が上がらない。
何せ光子は、学校で講師をする傍ら、
新聞の身の上相談の回答やら、
婦人同盟の役員やら、
様々な仕事をこなす、スーパーウーマンなのだ。


そんな彼らの家に、
光子の姪の久我美子が家出してくる。


久我は、田舎の風習に辟易する現代娘で、
彼女の出現により、
かろうじて均衡を保っていた、
森たち夫婦の関係が、
なにやらおかしなものになってゆく。


久我を実家に帰すため、
付き添って三重まで行った森だが、
逆に彼女を押し付けられ、
仕方なく2人で大阪に逆戻り・・・。





おきゃんな(死語?)久我美子、炸裂。


彼女はまぁ、とにかく元気。
そして可愛い。
夫婦だけで暮らす森雅之の家に
突然やって来た、
小さな台風みたいだ。


そんな久我に、
説教をたれる水戸光子に、
反論する久我のセリフが笑える。
「叔母様は、私の人生相談に、新聞紙上で答えてくださった」と。


絶句する水戸さん。
まさか姪に、人生の訓示を垂れていたとは。
つまり人は、
他人になら、どうとでも言える事でも、
身内の事となったり、
自分に問題が降りかかったりすると、
建前だけでは済まないという事よね。
そういった事って、
日常生活でも、
しょっちゅう感じる。


それから、森の友人の奥さんで、
とっても嫌な感じの女性・望月優子がいて、
森の書く小説の、
主人公の嫌な女のモデルは水戸じゃないかと、
わざわざ言いにきたりする。


ショックを受けた水戸が、
森にそれを質すと、
「あの小説のモデルは、強いて言えば望月だ」と言う。


それも日常で、よくある事だわ。
みんな自分の事となると分かっていない。
私も気を付けなくっちゃなぁ。


評価 ★★★☆☆

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