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「氷壁」 [映画]

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〔1958年/日本〕


山男の菅原謙二は、親友・川崎敬三が、
人妻・山本富士子との恋愛で苦しんでいる事を知る。
川崎は恋愛を続けることを願っていたが、
山本が終わりを告げたのだ。


菅原は、傷心の川崎を雪の穂高に誘う。
吹雪の中、氷壁を登り、
あと10メートル、という所で、
川崎のザイルが切れ、
彼は谷底に転落してしまう。


「ナイロン製のザイルが切れる事など有り得ない」という
世間の認識のせいで、
苦境に追い込まれる菅原。


そんな状況の中、
菅原は、自分が山本に惹かれ始めている事に気付く。
また、以前から菅原に思いを寄せていた川崎の妹・野添ひとみは、
川崎の死をきっかけに、
菅原に「自分と結婚してほしい」と逆プロポーズするのだが・・・。





原作が井上靖さんなので、
本を読めばきちんとした物語なのであろうが、
この映画は突っ込みどころ満載(笑)。


まずは山本富士子にビックリだ(笑)。
彼女は、人妻でありながら、
川崎敬三と恋愛している。
まぁ、それはいい。
人間、誰にだって間違いはあろう。


しかし、川崎の死後、
彼の親友の菅原謙二が彼女を愛し始めた事を知りながら、
なんだか思わせぶりな態度で、
クネクネしてて、危なっかしい(笑)。
菅原がもう少し強引に押せば、
今度は彼と出来上がってしまいそうな風情。
川崎との事で、あれほど悩んでいたのに、
まだ懲りないのか?(笑)


切れたザイルについても、
結局、自然に切れたのか、
故意に切ったのかの、
世間への発表は無し。


そのせいで、
物語が消化不良のまま。


こういった映画は、


主人公に何らかの疑いがかかる。

世間から糾弾される。

無実を証明する証拠が出てくる。

観客の溜飲が下がる。


という流れでないと面白くなくない?(笑)


雪の穂高で、
菅原が煙草を吸い始めて、
その吸い殻を、「どうするのかな」と思いながら観ていると、
なんとポイ捨てしたのにも驚く。
この映画で一番印象に残ったシーンかも(笑)。
現代とは、モラルが違ったんだろうなぁ。


それから、以前にも似たような事を書いたけれど、
http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2014-12-31
ほんの一瞬、
「あ!」と思った場面があった。


山本の家の若い家政婦さんたちが、
雑誌を見ているのだけれど、
そこに写っているのが、
なんと、石原裕次郎。


大映の映画だというのに、
なぜか日活のスターの宣伝をしてしまっているという、
そのユルさが可笑しくて。
でも、私が生まれる前の時代の、
そんなのんきな空気が、私はとっても好きで。


評価 ★★★☆☆