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「ターミネーター:新起動 ジェニシス」 [映画]

TerminatorGenisys.jpg
〔2015年/アメリカ〕


2029年。
人類軍と機械軍の戦いは、
いよいよ終盤の時を迎えていた。
人類軍のリーダー・ジョン・コナー(ジェイソン・クラーク)の活躍により、
機械軍の負けが色濃くなってきたのだ。


しかし機械軍もそう簡単に降参するわけはない。
ついに彼らは、
ジョンの存在そのものを消し去るために、
彼の母・サラを抹殺しようと、
1984年にタイムトラベルしたのだ。


それに気づいた人類軍は、
ジョンの右腕であるカイル・リース(ジェイ・コートニー)を
過去に送り込み、
機械軍の計画を阻止しようとする。


1984年に着いたカイルは、
T-1000型と呼ばれるターミネーター(イ・ビョンホン)に襲われるが、
その窮地を救ったのがサラだった。


サラはなぜか、
敵なはずのT-800型ターミネーター(アーノルド・シュワルツェネッガー)と
共に行動しており、
カイルを戸惑わせ・・・。





好き好き大好き、「ターミネーター」。


といっても、それは1と2だけだけど(笑)。


5作目にあたる本作だけど、
3作目以降は、
わたし的に、本当にどうでもいいような内容になっちゃってて、
1&2作目に感じた、
「なんだか分からないけど、とにかく凄い」感は、
殆ど感じられない。


本作で、
カイルが1984年にやって来る経緯が描かれていたのは、
嬉しかったけれど。
「ターミネーター」のファンにとって、
1984年は肝とでも言おうか、
やっぱり特別な年。
ここから全てが始まったんだ、という思いがあるもの。


友人が、
「ジョン・コナーのルックスが・・・」と、
身も蓋もない事を言ってて、笑った。
いや、この手の映画に、
主人公の美醜は関係ないけれど、
「2」のエドワード・ファーロングの
美しさを知っている者としたら、
彼が成長した姿に違和感(笑)。


しっかし、スキャンダルまみれのファーロングが、
今更シリーズに出られるとも思えず、
「仕方ない」としか言いようがないし。
ま、すっかりやさぐれた今のファーロング自体、
昔の面影なんて無くなっちゃってるけどさ(笑)。


シュワ氏が演じるターミネーターは、
皮膚だけは老化するって設定が可笑しかった。
ターミネーターは機械だから、
年を重ねたシュワ氏は、
もう出演は無理なんだろうなと、以前に思った事があったから。
色々考えるものだわ(笑)。


なんだかロクな感想しか書けないや。
(いつもの事か(笑))。


評価 ★★★☆☆

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「夜ごとの夢」 [映画]

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〔1933年/日本〕


酒場で女給をするお光(栗島すみ子)の
たった一つの生き甲斐は、
幼い息子・文坊。


そんなお光の家に、
かつて彼女たちを捨てて出て行った、
水原(斎藤達雄)が戻ってくる。


最初は水原を拒否していたお光だが、
そこは愛し合った仲。
彼を許し、再び生活を始める。


しかし生活力の無い水原は、
中々仕事が見つからず、
女給を辞め、
真っ当な主婦を夢見るお光の願いは
叶いそうにもない。


そんな中、文坊が車に撥ねられ、
治療費が必要となってしまう・・・。





成瀬巳喜男監督の無声映画。
「気違い部落」と併映されていたので、観た。


「私は今まで、強い男と弱い女に会った事がない」とは
美輪明宏さんの名言だと記憶しているけれど、
この映画こそ、
まさにそれを地でいくような作品。


男に出ていかれ、
たった一人で息子を育てる母・お光。


彼女は、水商売を決して好きだとは思っていないけれど、
息子のためなら、
どんな事でも厭わない。
決して挫けない。


そこへ帰ってくる優男の元夫。
彼は、自分の妻が水商売をしている事を嫌い、
「辞めてほしい」とは言うものの、
だからと言って、
金を稼ぐための代替案があるわけではない。


一応、就活のような事はしているけれど、
今一つ、必死さが見えないし、
仕事を選んでいるような感じがする。


私は映画を観ると、
すぐ、「これが自分だったら」と考えてしまうけれど、
「困ったなぁ・・・」という言葉しか出てこない。
男が仕事をするのは当たり前、とは言わないけど、
やっぱりこれはベストな状況とは言えないし、
お光だって、水商売を辞めて、
子供のそばにいてやりたいと願っているのだものね。


結局、この夫は、
最後まで強くなれなかった。
それならそれで、
ヒモに徹するだけの神経の持ち主ならいいんだろうけど、
それも駄目だった。


最後までお光の強さだけが救い。


評価 ★★★☆☆

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「気違い部落」 [映画]

kichigaiburaku.png
〔1957年/日本〕


東京都下にある、
貧しい集落、
通称、「気違い部落」では、
人々は、国の法律より、
部落の掟を優先にして生きている。


特に、親分格の野村良介(山形勲)の権力は強く、
誰も逆らえない。


そんな中、野村に楯突く男が現れた。
百姓の村田鉄次(伊藤雄之助)だ。
鉄次は、祖父が残してくれた土地を、
法律上は自分の物だと言い、
杭などを打ち込むが、
それが野村の逆鱗に触れ、
村八分にされてしまう。


実は、鉄次の娘・お光(水野久美)と、
野村の息子・次郎(石浜朗)は恋仲で、
しょっちゅう逢引を重ねていたが、
お光が肺病を発症し・・・。





このタイトルがもう。


「気違い」と「部落」という、
差別用語? 放送禁止用語?が
2つ重なっちゃってるという、強烈さ。


名画座の但し書きには、
「ソフト化も、放送化も難しいので、
この機会に、劇場鑑賞をどうぞ」、とある。
私はどちらの言葉も、
特に差別とも感じないけれど、
機会を逃すのが嫌なので、観に行った。


観る前の想像では、
凡人の私などには考えもつかない
愉快で、可愛い人々が、
それこそ、「気違い沙汰」のように、
面白い事を繰り広げてくれるのだろうかと、
ワクワクしていたのだけれど、


そういった事は、
最初のほんの数場面。
あとは、辛く悲しい村八分のお話で、
こんな事が、そう遠くもない過去の日本に
あったのだとしたら、
それは本当の、「気違い」じゃないかと思ったわけで。


村八分って本来、
村にある十個の行事のうち、
八個は参加させないけど、
残りの2個、
「葬式」と「火事」にだけは手を貸すって事でしょう。


けれど、この映画では、
村人が山形勲の圧力によって、
葬式にも参列しない。


もう何も言えない。
それ自体を映画として楽しめばいいのかもしれないけれど、
私には笑えない。
人々が寄ってたかって、
一つの家族だけを徹底的に排除するって、
それを笑える人なんているんだろうか。


しかし、これは、
ある意味、日本の縮図とでも言おうか、
人間の本能とでも言おうか、
そういう面もあるのだろうか。
強い者に従ってしまう、弱い自分。
誰かを排除する事で、強まる絆。
やだやだ。
でも、やだとは思うけど、
自分も、そんな社会を構成する一員。
あまり強い事は言えないのかもしれないし。


それでも、主人公は強い。
決して負けないラストに、
希望が持てる思い。
できれば勧善懲悪なラストが観たかったけど、
現実は、そうは甘くないって事か。


評価 ★★★★☆

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「アリスのままで」 [映画]

Alicenomamade.jpg
〔2015年/アメリカ〕


今日はアリス(ジュリアン・ムーア)の
50回目の誕生日。
優しい夫・ジョン・(アレック・ボールドウィン)と
独立した3人の子供たち、
そして自身も大学で教鞭を執る、
充実した人生に満足感を覚えるアリス。


ところが、その直後から、
何かおかしな感覚に苛まれる。
講義中に単語が出てこなくなったり、
ジョギング中に、
道が分からなくなるのだ。


医師の診断を受けたアリスは、
自分が若年性アルツハイマーだと知る。
しかも、それは遺伝性のもので、
将来、子供たちも発症する確率が高いと言う。


ショックのあまり動揺し、
夫の胸で泣きじゃくるが、
そうしているうちにも、
病気は進行してゆき・・・。





こういった映画を観ると、
本当に不安になってしまう。
自分は大丈夫なのか、
今は大丈夫でも、
将来、主人公と同じ病気に罹るのではないか、と。


今、自分が感じている、
所謂、「物忘れ」というやつは、
年齢的なものなのか、
病的なものなのかも、判断がつかない。


映画の中で、
アルツハイマーを調べる為の、
簡単なテストがある。


医師が、人の名前と住所を患者に覚えさせ、
会話の最後に、それを言わせるというもの。
本当にテストを受けるのと、
映画を観ているのとでは違うけれど、
「ありゃりゃ、私ったら覚えてないわ」と、
自分で自分を笑いたくなったりもして。


ただ、アリスは、
病気になったのは不運だったとしても、
同じ病気を患う方々の中では、
恵まれている方なんだと思う。


夫のジョンは、本当に優しい。
失禁した彼女に着替えまでさせてくれる。
どんな状況になっても、声を荒げたりしない。


子供たちも知的で、母親思い。
それぞれがきちんと独立して、
親に心配をかけるような事もない。


何より、家族全体が経済的な事で
困っていない。
家族に病人が出た場合、
一番最初に頭をよぎるのは、
その問題ではないかと思うのだけれど、
それについて心配して者はいないし。


つまり、この映画は、
一人の恵まれた女性が難病になって、
家族の絆をより深めてゆく物語であって、
何かの参考になるというものではない。


いや、別にそれが悪いと言っているのではない。
アリスが置かれている恵まれた状況は、
全て彼女の努力によって得たものだもの。
基本的に私はそういう女の人を
好きって思っちゃう方だし。


評価 ★★★☆☆

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「東京のえくぼ」 [映画]

tokyonoekubo.jpg
〔1952年/日本〕


丸の内の大手商事会社・紀ノ国屋商事の
入社試験を受けに行く途中の伸子(丹阿弥谷津子)は、
バスの中でスリに財布の盗まれてしまう。


乗り合わせた乗客全員が、警察に連れていかれ、
荷物検査を受けると、
一人の青年紳士のポケットの中から、
伸子の財布が出てくる。


その後、
高倍率を勝ち抜き、試験に合格した伸子は、
入社一日目に、初めて社長・紀ノ国屋文太郎と対面して驚く。
この社長こそ、
スリの疑いを掛けられ、留置された男だったからだ。


社長秘書として働く事になった伸子は、
文太郎の苦悩を知る。
彼の毎日は、分刻みでスケジュールが詰まっており、
あとは、書類にめくら判を押すだけ。
好きなホルンを吹く時間も無い、と。


伸子は、そんな文太郎を、
自分の家に連れてゆき、二階に下宿させる。
伸子の両親(柳家金語楼・清川虹子)は、
伸子が恋人を連れてきたと思い込むが、
会社では、社長が失踪したと大騒ぎになり・・・。





昔の少女マンガによくある、
「痴漢だと思った男が転校生(もしくは新任教師)だった」みたいな出だし(笑)。


もちろん、それは後で間違いだったと分かるのだけれど、
スリで捕まった、上原謙演じる社長は、
お育ちがいいのか、ぼんやりなのか、
疑いを強く否定する事もなく、
留置所では、お行儀よく正座している(笑)。


彼はもう、人生に疲れてしまっているように見える。
だって、凄いスケジュールなのよ。
人の結婚式でスピーチしたと思ったら、
30分後に今度はお葬式に、
その後、また別のパーティへ、みたいな感じで。


その辺りをテンポのいい演出で見せてくれて、
可笑しい。
朦朧としている社長は、
お祝いの席で、
「ご愁傷様」みたいな紙をを読んじゃって、
人々を驚かせる。
今ならコントでもしないような事だけど、
当時は面白かったんでしょうね。


で、秘書になった丹阿弥谷津子演じる伸子が、
自分の家に連れていくんだけど、
ここからは、「王子と乞食」の物語っぽい。


伸子の父は、
文太郎を社長とは思わず、
自分の勤める町工場(紀ノ国屋商事の子会社よ(笑))で、
文太郎を働かせる。
空しいと思っていた自分の人生が、
実は、自分の押した印鑑一つにも、
とっても重要な意味があると気付く文太郎ってオチで。


昔の東京の牧歌的な様子がいい。
スリがいると訴えられたバスの運転手は、
「よしきた!」と、
路線を変更して、
交番に横付けして、
乗客たちも、文句も言わずに、
荷物検査を受ける、のんきぶり(笑)。


そこで働く婦人警官を
高峰秀子がチョイ役で出ているのも見どころ。


評価 ★★★☆☆

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