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「ロンリエスト・プラネット 孤独な惑星」 [映画]

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〔2011年/アメリカ〕


アレックス(ガエル・ガルシア・ベルナル)と
ニカ(ハニー・フルステンベルグ)は、
婚約中の仲のいいカップル。


2人は、グルジアのコーカサス山脈へ、
山歩きの旅に出掛ける。
途中、山岳ガイドのダトを雇い、
美しい山の中の景色を楽しみながら、
進んでゆく。


ところが、途中で、
思わぬ出来事が起こる。
あんなに愛しあっていた2人が、
口をきくのも嫌になってしまうくらいの出来事が・・・。





これは、気まずい・・・。


もうすぐ結婚する予定の、
すんごく仲のいい、
互いに全幅の信頼を寄せていると
信じ切ってきた2人が、
ある出来事のせいで、
(時間にして、ほんの3秒ほど)
その関係が、ガラガラと音を立てて崩れるような、
そんな感じ。


分かる気がする。
人生は長いけど、
たった3秒の事で、
180度状況が変わったり、
気持ちがスッと冷めてしまうって事、
あると思う。


もし、自分が、
それをされた側だったらどうだろう。
やっぱり、ショックで、
もう口をきくのも嫌になってしまうだろう。
愛し合っていると思い込んでいたのは、
自分の間違いだったのかと、
今後、相手にどんなに優しくされても、
もう何もかもが、嘘臭く感じられる気がする。


自分が、した側だったらどうだろう。
気まずさは、こちらの方が上かな。
それをしてしまった自分を
恥ずかしく思うだろうし、
もしかしたら、自分でも気付いていなかった、
心の奥底の気持ちを知って、
自分で自分に驚くかもしれないな。


この2人は、
アメリカに戻ってから、
結婚するだろうか。
そこまでは描かれていないので、
想像するしかない。
別れるかな。
たとえ結婚しても、
喧嘩する度に、あの3秒の出来事を持ち出して、
火に油を注ぐ形になりそう。
一生添い遂げるには、
気まずすぎる。


詳しい事が書けなくて、
意味がわからないと思います。
ごめんなさい。
ただ、やっぱり、
これから観られる方がいるとしたら、
予備知識を持たない方が楽しめると思うので。


ニカとダトが、
ラスト近くで、キスしちゃって、
危うい雰囲気になるけれども、


私は、その辺りは気にならない。
山岳ガイドをしているダトにとって、
そんな事は日常茶飯事かもしれないし、
(本人は、もう5年も女に触れていないと言ってはいるが)
日常に戻った後のニカが、
ダトと付き合っていくとも思えない。
つまりは、その場のノリだけの関係だと思われるから。


久し振りにガエル・ガルシア・ベルナルを見た。
いっときほどの熱はないけど、
やっぱり彼は、私がハリウッドで一番好きな俳優。
(先のことは分からぬが(笑))
あの少年のような可愛い顔が好きだけど、
彼ももう36歳か。
これからは、おじさんまっしぐらかしら(笑)。
ちょっと淋しいけど。


評価 ★★★☆☆

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「火の鳥」 [映画]

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〔1950年/日本〕


河井晶子(京マチ子)は、
美しく、気位が高い娘で、
友人たちからは、ファイアーバード(火の鳥)と
あだ名を付けられている。


彼女の琴の腕前は一流で、
師匠の山田美津男(長谷川一夫)は、
晶子との結婚を望んでいる。


しかし、養子の美津男は、
養父母から、
彼らの娘・郁子(三條美紀)との結婚を厳命されていた。
幼い頃から郁子と一つ屋根の下で暮らしてきた美津男は、
郁子に妹以上の感情を持てず、苦悩する。


晶子は、父の友人の、
剛平と五郎からも求愛されており、
この2人の男が喧嘩の末、怪我をした事で、
新聞沙汰となってしまう。


美津男の養父母は、
晶子のようなスキャンダラスな女との結婚は絶対に許さぬと、
ますます頑なになり、
どうする事もできなくなった美津男と晶子は、
大阪に飛び出し、同棲を始めるが・・・。





「火の鳥」といっても、
手塚治虫さんではなく、
長谷川一夫さんと京マチ子さんのメロドラマ。


京さんの色気は、
若尾さんとはまた少し種類の違う、
「妖艶」という言葉がピッタリな感じで。


若尾さんに、どこか可愛らしさや、
庶民的な感じが滲み出ているとすれば、
京さんには、突き抜けたものを感じる。
色気のプロって感じがする(笑)。


そんな京さんが、
この映画で演じるのは、琴の名手。
それにしても、
彼女が「ファイアーバード(火の鳥)」に例えられるのはいいとして、
友人から、
「バード」と呼ばるのは、なんだか違和感(笑)。


いや、友人だけでなく、
長谷川さんが京さんを追いかける、
重要なシーンでも、
「バード、バード、待って~」みたいな感じで、
普通に呼びかけるのが可笑しくて。


それから、
昔の新聞記事って、
女性週刊誌感(笑)ハンパない。


京さんは、父の友人の2人の男から争われて、
男たちが怪我をするのだけれど、
一般紙は、なんと京さんの写真をデカデカと載せて、
「三角関係のもつれ」みたいな見出しを付ける。
他の映画でも、個人情報を無視したような、
似たような新聞記事の場面を何度も観た事があって、
その度に驚かされる。


昔は、プライバシーも何もなかったんだなぁと思うけど、
逆に今は、
新聞やテレビで規制があっても、
その分ネットで、被害者の情報も、加害者の情報もダダ漏れだから、
そう変わらないのかもしれない。


評価 ★★★☆☆

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「ユーズド・カー」 [映画]

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〔1980年/アメリカ〕


アリゾナ州のある街。
中古車店を経営するルーク(ジャック・ウォーデン)と、
道を隔てて、同じく中古車店を経営する、
ルークの弟・ロイは、
客の取り合いに、
激しい火花を散らしていた。


ルークの店の店員・ルディ(カート・ラッセル)は、
口八丁手八丁で車を売る傍ら、
上院議員になる夢に向かって、
選挙資金を貯めている。


ロイは、ルークの店の乗っ取りを企み、
ルークを騙して車に乗せ、
危険な運転でショックを与えた。
そのせいで、心臓の弱いルークは、
心臓麻痺をおこして死んでしまう。


困り果てたルディと店員たちは、
ルークの遺体を車に入れ、
車ごと地面に埋めてしまう。


ルディたちは、ルークが旅行に行った事にし、
ハチャメチャな中古車販売作戦を
展開する事になるが・・・。





道を挟んで、
2軒の中古車店が、
激しい競争をするというお話だけれど、
とにかくナンセンスな事ばかりで、
どちらの店からも車を買いたくないって気持ちでいっぱい(笑)。


カート・ラッセル演じる主人公のルディからして、
走行距離メーターを細工して、
車を新しっぽく見せかけたり、
取れかかったバンパーを、
なんとガムでくっつけて、
売りに出したり。
それって、もろ犯罪じゃん(笑)。


ルディは、電波ジャックをして、
自分たちの店を売り込もうとするのだけれど、
その時、モデルの上半身が露わになってしまったシーンで、
不謹慎だけど、声をあげて笑ってしまった。


いや、裸が可笑しかったのではなく、
それを観ていた、お茶の間の反応が最高に可笑しくて。


アメリカは日本以上に、
子供にヌードを見せる事を嫌がると聞くけれど、
(ジャネット・ジャクソンの演出も、あの程度で大騒ぎだった(笑))
これなど、
まさにそれが分かるシーン。
ヒステリックに叫ぶ両親と、
大喜びする子供の対比が可笑しくて。


その点、日本の方が、
昔は銭湯のドラマなんかで、
女性が普通に裸になっていたというし、
タレントの水泳大会や、
バラエティ番組の再現フィルムなどでも、
ヌードや、
それ以上にえげつない内容のものが放送されていたらしいし。
意外と日本って大らかだ。


それから、
すんごく変な事を考えてしまったのが、
車の運転席に座らされたままの遺体を、
地中に埋めたら、
遺体はどんな状態になってしまうのかなぁって事。


地面に直接埋められた遺体は、
埋めない遺体より、痛みが遅いと聞いた事があるのだけれど、
車に入れて埋められた遺体は、
痛みが早いのか、遅いのか、どっちなんだろうって、
とっても疑問に思ってしまったわけで。


こんな事を書くと、
私はとっても危ない人間みたいだけど、
決してそのような事はなく(たぶん(笑))、
本当に純粋に、素朴な疑問ってやつで。


評価 ★★★☆☆

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「花くらべ狸御殿」 [映画]

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〔1949年/日本〕


ある狸の街にふらりとやって来た、
黒太郎(水の江瀧子)という美青年。
彼がバー「ポン」に勤め出した途端、
その美貌と歌や踊りの上手さから、
たちまち人気者になる。


一方、狸の国の王女・おぼろ姫(喜多川千鶴)は、
今まで一度も笑った事がなく、
王女を笑わせた者には、
褒美を与えるとの御触れが出ていた。


ある日、「ポン」に来た姫と黒太郎は、
互いに惹かれあい、
ついに姫が笑い、
国中は大喜び。


そんな中、
町はずれに住む魔女・アイアイ(京マチ子)は、
魔法の鏡に、
「世界で一番美しいのは誰?」と、
毎日尋ねていた。
昨日までは「アイアイ様」と答えていた鏡が、
おぼろ姫が微笑んだ途端、
「おぼろ姫様」と答えた事にショックを受けた彼女は、
姫を亡き者にしようと、
城の左大臣と結託し・・・。





今まで、狸シリーズは、
2本観ているけれど、
2本とも、登場人物がお着物を着た、
和な感じに対して、
本作は、殆ど洋物。


お城の造形からして、
シンデレラ城とでもいおうか、
古いヨーロッパに建っていそうなもので、
中々素敵。


お城の中も、
古いモノクロの、洋物のホラー映画のような作り。
塔の奥に、
人を閉じ込める牢屋がある、みたいな。


演じているのがズングリとした日本人というのは
ご愛嬌だけど、
その中で一人、気を吐いているのが、
水の江瀧子さん。


水の江さんの事は、
相当お年を重ねられてからのお姿しか知らなかったけれど、
その素敵な事ったら、
もうビックリのウットリ。


ウィキペディアによると、
水の江さんは、お若かった頃は、
「男装の麗人」としてご活躍されていたそうで、
画像検索をしても、
そのカッコよさがよく分かる。


私は、例えば宝塚などは一度しか観に行った事がないけれども、
女性が素敵な男性を演じ、
それに女性ファンが憧れる気持ちは、分からなくもない。


女が演じる男って
男の嫌な部分だけを排除して、
カッコよさだけを残した、そんな感じがするのよね。
つまりは、パーフェクトな男。


そんな男がいるわけないんだけど、
夢よ、夢(笑)。
水の江さんが絶大な人気を誇った理由が、
これを観て、初めて分かった次第。


評価 ★★★☆☆

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「ビッグ・ガン」 [映画]

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〔1973年/イタリア〕


マフィアの構成員・アラン・ドロンは、
7歳になった息子の誕生日を祝いながら、
考え込んでいた。
「この子、そして妻の為に、足を洗いたい・・・」と。


彼は自分の決心を組織の幹部の一人・リチャード・コンテに告げる。
コンテはその話を持ち帰り、
組織の会議にかけるが、
他の幹部たちは、ドロンの足抜けを許さず、
彼を殺す事で話が決まる。


数日後、
学校に出掛ける息子と妻を、
窓から見送っていたドロンは、
信じられない光景を目にする。
妻がエンジンをかけた途端、
大爆発が起こり、車が炎上、
息子と妻は即死したのだ。


復讐を誓ったドロンは、
組織の幹部たちを、
次々と殺してゆくのだが・・・。





家族を殺されたアラン・ドロンが、
マフィアの幹部たちに復讐してゆくのだけれど、
その手口がとても鮮やかで、
モタつきがないので、
安心して(?)観ていられる。


それより何より、
復讐のきっかけとなった、
妻と息子の死のシーンがショック。


「そうなるだろうな」という予感はあったものの、
実際、自分の目の前で、
最愛の家族の乗った車が爆発炎上したら、
気が狂いそうになるだろう。
その直前、ドロンは、
子供にキスをし、
幸せを噛みしめたばかりなので、
観る者は余計に、禍福の差の大きさを感じる。
上手い演出だと思う。


ドロンの復讐も鮮やかだけど、
マフィアの手口も容赦ない。


彼らは、
ドロンに情報を流してくれていた、
幹部の愛人・カルラ・グラヴィーナに、
ドロンの居場所を吐かせるために、
壮絶な暴行を加える。


女相手にそこまで?というくらい、
それは激しい暴力で、
マフィアの恐ろしさを描くには
十分な場面で。


ラストもショック。
あーあ、って感じで。


今、裏社会に入ろうかどうしようか迷っている人に言いたい。
一度入ったら、組織は抜け出せないよ。
抜け出そうとしたら、
どんな恐ろしい事が待っているか分からないよ。
後悔しても遅いよ。
いつか生まれるかもしれない自分の子供の為にも、
迷ってるならやめた方がいいよ。


・・・って、こんな所で、こんな女が呼びかけたって、
世の中には1ミリの影響もないだろうけどさ(笑)。


評価 ★★★☆☆

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