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「コズモポリス」 [映画]

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〔2013年/カナダ〕


28歳にして、巨万の富を築いたロバート・パティンソンは、
真っ白なリムジンでマンハッタンを移動中。


車内では、
仕事の打ち合わせから、
国際情勢のチェックから、
トイレから、
性交まで、大抵の事が可能。


その日は、大統領のマンハッタン訪問があり、
大規模な市民デモがあり、
なかなか先に進めない。


パティンソンは床屋に行きたくてたまらない。
散髪だけはリムジン内では不可能。


そんな彼の周囲に、不穏な空気が流れる。
暗殺者が彼を狙っていたのだ・・・。





どう感想を書いていいのか。
とにかく、リムジンの中が殆どの映画で、
次が床屋。


セリフが異様に多く、
登場人物たちが喋る喋る。
けれど、その内容に意味が感じられず、
ひたすら字幕を読んで、
パティンソンの表情を見るだけになってしまう。


字幕を読んではいるけれど、
そういう時って、
脳の別の部分で違う事を考えてしまうのね(笑)。
映画とは全然関係のない、
日常の雑多な事をずっと考えちゃって、
映画の中身が、深い所まで入ってこない。


ところどころで、
ビックリさせられる場面があって、
そこで我に返る感じ。
詳しくは書けないけど、
パティンソンが自分の掌にした行為などは、
ひゃ~と驚かされてしまう。


デヴィッド・クローネンバーグ監督の映画は、
時々わけが分からない(笑)。
「イースタン・プロミス」なんかは大好きなんだけど。


評価 ★★★☆☆

「七瀬ふたたび」 [映画]

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〔2010年/日本〕


人の心を読む能力が備わった火田七瀬(芦名星)は、
同じ能力を持つ少年・ノリオ(今井悠貴)と、
七瀬を崇拝する、黒人青年で念動力保持者の
ヘンリー(ダンテ・カーヴァー)と3人で、
北海道の人里離れた村で暮らしていた。


自分の超能力を絶対に他人に知られてはならないとの理由から、
一つの職場に留まる事を避け、
以前は家政婦をしていた七瀬だったが、
ノリオとヘンリーという、
自分以外の超能力者と出会い、
共に生活する事になったのだ。


生活費は、七瀬がマカオのカジノに出向いて、
稼いでいた。
テレパスの七瀬にとって、
カジノのディーラーの心を読む事は簡単で、
能力を悟られないように適当に負けながら、
黒字を出していた。


日本に帰った七瀬は、
邪悪な集団が自分を狙っている事を感知する。
マカオで知り合った、
金持ちの道楽娘・瑠璃(前田愛)が、
自分の代わりに殺され、
関係のない他人を巻き込んだ事を深く後悔する七瀬。


北海道でノリオとヘンリーの待つ家に帰り、
また友人で、時間旅行者の藤子(佐藤江梨子)も合流するが、
超能力者抹殺集団は、
もう七瀬たちの居場所を突き止めていた・・・。





筒井康隆原作の七瀬3部作、
「家族八景」、「七瀬ふたたび」、「エディプスの恋人」は、
もう何度読んだか分からないくらい、
繰り返し読んだ。


主人公の七瀬が大好きだし、
男のリビドーもこの本から学んだ。
超能力者の存在を信じていたわけではないけれど、
人の心の表と裏、
他人に見せる顔と、内面の違いなど全て、
この本から教わった気がする。


超能力者が主人公だけれど、
それを殊更センセーショナルに扱うわけではなく、
たまたまそういった能力が備わった人間が生まれた、
という意識で生きているのも良かった。
1作目の「家族八景」は、
ホームドラマのようだし。


何度もドラマ化されているようだけれど、
映像化されたものを観たのは初めて。
これを観た後、
本棚から久し振りの本を出してきた。
上に書いた粗筋も、
映画のものなのか、
小説のそれなのか、
自分でもなんだか混乱してくる。


これって、原作を知らない人が観ても、
内容を完全に理解できるのだろうか。
この映画の作りでは、
細かい事がまるで伝わってこない気がする。
まずは七瀬の在り方から、
よく分からないのではないか。
初めて観るのに、「ふたたび」と言われたってなぁ(笑)。


芦名星という女優さんが、
七瀬のイメージかどうかは分からない。
原作には、
「どんなコンテストに出ても、3位以下になる事はないであろう美人」
とある。
どんな女優さんを持ってきても、
必ず異論は出るだろうし。


原作にある、
超能力全部を書き出してみる。


・精神感応能力
・予知能力
・透視能力
・念動力
・時間旅行


この中の一つだけ、
自分に備える事ができるとしたらどれにしようかと、
本を読みながら、よく考えたものだ。
学生の頃と違って、今はもう、
どれもあんまり必要ない気がしてるけど(笑)。


評価 ★★★☆☆

「恐るべき子供たち」 [映画]

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〔1950年/フランス〕


ある雪の日。
その中学の生徒たちは、
雪合戦に興じていた。
ポール(エドアール・デルミ)は、
憧れのダルジュロス(ルネ・コジマ)の投げた、
石の入った雪玉に当たり、血を吐く。


友人・ジェラール(ジャック・ベルナール)が
ポールを家まで送っていくと、
ポールの姉・エリザベート(ニコル・ステファーヌ)が
彼らを迎え入れた。
ポールを診察した医者は、
「彼は胸が悪いから、学校に行かせてはならない」と言う。


エリザベートとポールは自宅で、
独特の世界を作り出す。
激しい喧嘩をし、
憎しみあっているようにも見える2人の関係。
そこのジェラールも加わり、
3人の時間が続く。


働きに出たエリザベートは、
ある日、一人の少女を家に連れて帰る。
アガートという名のその娘は、
かつてポールが憧れていたダルジュロスと瓜二つで、
ポールは動揺する。


アガートに辛く当たっていたポールだが、
心の奥底で彼女を愛している自分に気付き、
その気持ちをエリザベートに話す。
一方、アガートもポールを愛し始めており、
その切ない気持ちをエリザベートに打ち明ける。


エリザベートは、不思議な感情から、
2人を結ばせまいと決意する。
ジェラールに、
「アガートがあなたを好きだと言っていた」と話し、
アガートに、
「ジェラールがあなたを愛している」と言い、
ポールには、
「アガートはいずれジェラールと結婚するらしい」と告げた。


微妙なバランスを保っていた4人は、
エリザベートの嘘により、その関係が壊れ始め・・・。





ジャン・コクトー原作。


小説は未読だけれど、
萩尾望都さんのコミックをいただいて読んでいたので、
私にはそちらの印象が強い。
1979年に、少女漫画誌に掲載された作品のようだ。
絵が萩尾さんらしく、とっても綺麗。


姉と弟が醸し出す、
不思議な関係。
2人は、「なんでそこまで」というくらい、
激しい喧嘩をし、
互いを慈しむ様子は微塵もない。
無理して傷つけ合っているようにも見える。


けれど、それも愛情表現の一つと言っていいのだろうか。
弟に好きな女ができ、
相手も同じ気持ちだと知った途端、
信じられない嘘をつく彼女。


私には男の兄弟がいないから、
よく分からんけれど、
異性の兄弟って、そんなものなんだろうか。


この2人の場合、
ポールが病気のせいで学校にいかず、
普通の姉弟以上に、
濃密な時間を過ごし過ぎたせいもあると言えるのではないか。
「この子には私が必要」と、
無意識にもそう思う気持ちは大変に強くて。


途中、姉は結婚するのだけれど、
大金持ちである、その結婚相手は、
あっけなく死ぬ。
まるで、弟と暮らすのがお前のさだめだと、
神様に導かれるように。


濃すぎる愛は破滅を招く・・・そんな気がする内容。


評価 ★★★☆☆

「カルテット! 人生のオペラハウス」 [映画]

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〔2013年/イギリス〕


老人ホーム・「ビーチャム・ハウス」。
そこは、かつて音楽家だった人々が暮らす場所。
建物内はいつも音楽や歌声で溢れている。


しかし、経営は楽ではなく、
今度のコンサートの成功如何に、
存続がかかっており、
皆、準備に余念がない。


そんなある日、このホームに、
マギー・スミスが入居してきた。
かつて彼女は、カルテット(四重唱)のプリマドンナだったが、
仲間との確執を残したまま、
疎遠になっていたのだ。


スミス以外の3人、
トム・コートネイ、ポーリーン・コリンズ、ビリー・コノリーは、
彼女の入居に戸惑う。
特にトム・コートネイは、
スミスと元夫婦だっただけに、
心中複雑だ。


コンサートの日が近づいてきた。
なんとか成功をと力が入る彼らは、
スミスに、カルテットを組もうと提案する。
しかし、年を取り、
自分の歌声に自信を無くしているスミスは、
それを拒否。


ホームの仲間は、
彼女の説得にあたるが・・・。





先週、「徹子の部屋」に、
この映画の監督である、ダスティン・ホフマンが、
2週連続で出演したので、
録画して観た。


本当に素敵な人だった。
大スターでありながら、
気取った所がまるで無く、
身長があまり大きくないなど、
人から見たら、欠点かもと思われる事も、
拘りなく話されていた。
さらに、真面目な顔をして冗談を言うので、
黒柳さんは大笑い。


今までに出演された、
様々な映画のエピソードなども話されていたが、
意外だったのが、
監督をしたのは、
この映画が初めてだという事。
もうとっくに何本か撮られているのかと思っていた。


ものすごく低予算だったそうで、
「あなたほどの人が?」と驚く黒柳さんに、
「監督としては新人ですからお金は出してもらえません」と
仰られていた。
なるほど、そういうものか(笑)。


「徹子の部屋」の話ばっかり(笑)。
映画映画っと。
確かに場面は老人ホームの中だけで、
外のシーンはほぼ無いと言っていい。
言われる通り、低予算かも(笑)。


ストーリーは想像の範囲を出てはいない。
流れは普通に読める。
ただ、年老いた方々が主役なので、
そこに病気や痴呆のエピソードが入ってくる。


ポーリーン・コリンズが、
ちょっとしたショックや緊張があると、
「ママ、どうして?」と、
子供に戻ってしまう場面に、
怖さを感じる。


年を取り、
自分が抱えきれないくらいのストレスを受けると、
幼い頃の、ひたすら庇護されていただけの自分に
戻ってしまうのかなぁと。


音楽がいっぱいなのが心地いい。
ダスティン・ホフマンは、
その他大勢のお年寄りたちは、
全員本物の音楽家で揃えてほしいと、
それだけお願いしたそうだ。


評価 ★★★☆☆

「ペタル ダンス」 [映画]

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〔2013年/日本〕


宮崎あおいは、
大学時代の友人・吹石一恵が、
自ら海に飛び込んだとの噂を耳にする。


宮崎は吹石に会いに行こうと決めるが、
同じく大学時代の友人・安藤サクラから、
「会ってどうするの?」と聞かれる。


そう言った安藤も、
吹石に会うため、
離婚した夫から車を借り、
出発の準備を進めている。


そんな中、宮崎は勤務する図書館で、
若い女性・忽那汐里から、
「自殺に関する本を探している」と言われ、
なんとなく気にかかる。


数日後、駅で忽那が電車に飛び込むと勘違いした宮崎は、
体で彼女を止める。
それがきっかけで、
吹石に会いにいく旅に忽那も加わる事となり・・・。





詩のような映画。


あらすじの半分は
セリフから想定しただけで、
何か説明があるわけではない。


登場人物たちの家が出てくるわけでもなく、
どんな暮らしをしているのかも、
まったく分からない。
生活感がない。


これをオシャレと取るか、
中身が無いと取るかは、
人それぞれだろうけど、
雰囲気は悪くないと感じた。


4人の女優さんたちの個性がバラバラで、
全員が違うカラー。
共通点は、派手な人たちじゃないって事くらい。


彼女たちの会話が、
ドキュメンタリーみたいにリアル。
好きなことを勝手に話しているみたいに感じる。


撮影はどこでされたのだろう。
海の様子が素晴らしい。
波が荒れて、
雪が積もっていて、
風が大変に強い。
「行ってみたい」という気持ちにさせる。
映画全体の雰囲気は、
この景色に作られているといってもいい。
(今、検索してみたら、青森だそうだ。なるほど。)


評価 ★★★☆☆