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「シュアリー・サムデイ」 [映画]

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〔2010年/日本〕


小出恵介。
勝地涼。
綾野剛。
鈴木亮平。
ムロツヨシ。
5人は幼い事からの大の仲良し。


5人はモテたい一心で(特に勝地(笑))バンドを組み、
高校の文化祭に出る気で練習に励んできたが、
文化祭が中止となった事を知りショックを受ける。
中止を阻止する為、教室に立てこもり、
教師たちを脅す。
ところが、ハッタリで作った爆弾が本当に爆発してしまい、
彼らは高校を退学となる。


3年後。
5人は、冴えない生活を送っていた。
ヤクザになった鈴木は、
ある日、組の金3億円と拳銃を、
見知らぬ女に奪われてしまう。
明日までに返さないと殺すとボスから迫られ、
小出と勝地に相談する。


鈴木は、金を奪った女に見覚えがあると言い出した。
それは、少年時代の思い出・・・。


小学生だった小出は、
父親の持っていたアダルト雑誌に載っている女・小西真奈美が、
母親ではないかと言い出し、
歌舞伎町のソープランドに、
他の4人を伴って会いに行ったのだ。


小西が母親であるはずはなかったが、
その優しさに触れた小出は、
彼女を幸せにしたいと願う。
それは彼の初恋だった。


金を奪った小西を探して奔走する小出たち。
彼女は見つかるのか、
彼女をそんな行動に駆り立てた理由は何なのか・・・。





俳優・小栗旬の初監督映画。
若いイケメン俳優は大好きなはずの私だけれど、
なぜか小栗旬には興味を持った事がなく今まできた。
(別に私に興味を持たれなくても、
 彼には痛くも痒くもないだろうが(笑))。
なんでだろう、タイミングの問題か。


だから、彼が監督をしたと知った時も、
真っ先に劇場に駆け付ける事もなく、
昨日、なんとなく観てみたという次第。
(妻夫木君なら、すぐにでも駆け付けて、
 売り上げを増やしてあげたいけど(馬鹿(笑))。


お話しは、といえば、
過去に起こった数々の出来事同士が、
全く関係ないようでいて、
実は少しずつ、影響しあっているという、
「風が吹けば桶屋が儲かる」的な内容。


あまりにも、出来事同士に接点がありすぎる気もするけど、
それなりに楽しめる。
たしかに、
「あの日、あの時、あんな事さえしなければ」と
思う事ってあるものね。


何より、5人の主人公の全員が
私好みの俳優さんで嬉しい。
お話しなんかそっちのけで、
彼らの顔を見てしまう(やっぱり馬鹿(笑))。


他の俳優陣も凄い。
大物さんたちが、ほんのチョイ役で出たりしてる。
教頭先生に笹野高史さんとか、
弁当屋のおばさんに大竹しのぶさんとか。


妻夫木君も、巡査役で、
ほんのちょびっと出演。
巻き戻して観てしまった(最後まで馬鹿)。


評価 ★★★☆☆

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「赤い子馬」 [映画]

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〔1949年/アメリカ〕


カリフォルニアに無数にある牧場の一つで、
10歳の少年・トムは、
両親、そして牧童のビリー(ロバート・ミッチャム)の
4人で暮らしている。


トムは産まれたばかりの子馬をもらい、
自分で育てる事になる。
自分の馬が持てた事は大変に誇らしく、
友達も羨ましそうだ。


ところが、ある日、
子馬が自分で馬小屋の扉から出ていってしまい、
雨に打たれ、病気になってしまう。
トムは、ビリーが子馬を小屋に入れ忘れたせいではないかと、
疑いの目を向ける。


病気になった子馬を看病するトム。
しかし、子馬のそばで寝入ってしまった彼が
目を覚ましてみると・・・。





ジョン・スタインベックの同名小説の映画化。
スタインベック自身が脚本を書いたそうだ。


「仔鹿物語」もそうだったけれど、
アメリカの開拓時代、
少年が、自分の責任において
動物を育てるという事の意味と、
それによって成長する姿が描かれている。


それから、この映画、
人間関係も、ちょっとドロドロしている。


途中、母方のおじいちゃんが家にやって来て、
長く滞在するのだけれど、
このおじいちゃんと父とはソリが合わない。


何度も同じ、昔の自慢話を繰り返すおじいちゃんに、
父は辟易していて、
家の中は嫌な雰囲気。
そして、決定的な出来事があり、
父は、「頭を整理する」と言って、彼の故郷に帰ってしまうのよ。


「仔鹿物語」では、開拓者同士のいざこざが
あった気がするのだけれど、
今思えば、その方がマシというものだ。
婿と舅の確執、
間に入ってオロオロする母。
なんだか子供の観る映画じゃないみたい(笑)。


トムとビリーの関係も微妙。
トムは最後まで、
ビリーが子馬を小屋に入れ忘れたのだと言っている。
大人たちは、なんでもっときちんと
状況を説明しないかな、と思う。
疑われたままのビリーだって気分が悪いだろうし、
なにより、
人を恨みながら生きるなんて、
トムの為にも良くないだろうに。


評価 ★★★☆☆

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「無法松の一生」 [映画]

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〔1943年/日本〕

明治30年。
北九州小倉の人力車夫・無法松(阪東妻三郎)は、
喧嘩っ早い暴れん坊だが、
男気溢れる、憎めない人間。


ある日、彼は怪我をした小学生、敏雄(長門裕之)を
助けた事がきっかけで、
敏雄の両親・吉岡小太郎とよし子と懇意になる。


吉岡家に出入りするようになった無法松だが、
小太郎が急死、
以来、彼は、よし子と敏雄を支えるようになる。


よし子は、内気な敏雄を案じていたが、
敏雄は無法松の豪快な性格に触発され、
活発な青年へと成長してゆく。


進学の為、小倉を離れ、
下宿する事になった敏雄は、
夏休みに教師を伴って帰省。
無法松と3人で祭り見物に出かけた際、
本物の祇園太鼓を聞いてみたいという
敏雄と教師の願いから、
飛び入りで山車に乗り、
その腕前を披露するのであった・・・。





やっぱり「無法松の一生」はいい。
以前、三船敏郎版「無法松」のレビューを書いたけれど、
この、阪東妻三郎版は、
三船版の15年も前に作られた作品だ。


1943年といえば、
戦時中だというのに、
こんな映画が作られていた事に驚く。


ただ、その戦時中というのが災いして、
この映画は検閲により、
カットされたフィルムしか現存しないという事だ。


しかし、カットされているのに、
これだけ感動できるのだから、
この映画の凄さが分かる。
考えてみれば、テレビ放送される映画だって、
カットされているのだから、
それほど問題はないのかもしれない。


敏雄の運動会で、
自由参加の競技に無法松が飛び入る場面が、
最初のクライマックス場面で、
観ているこちらまで、本気で応援してしまう。


本気で無法松を応援する敏雄の姿に、
よし子は涙する。
「この子が我を忘れて、何かに夢中になったのは初めてだ」と。
それって、昨日レビューした、
「ベルヴィル・ランデブー」のおばあちゃんの気持ちと
通じるものがあって、
またまた共感してしまった。


内気な子供が、
何か夢中になれるものを見つける様子は本当にいい。
周囲の者は安心するし、
何より、その子供にとっても、
幸せな事だろうと思う。


そして、本当のクライマックスである、
祇園太鼓の乱れ打ちの場面。
この映画は、俳優を選ぶ。
男気溢れる俳優でないと、
まったく可笑しな作品になってしまう。
そういう意味で、阪妻はハマり役だ。
彼はまるで無法松そのもの。
太鼓を叩く、その力強さに見入ってしまう。


三國連太郎版、
勝新太郎版も観てみたいけど、
検索してもソフトは出てこない。
名画座にでもかかるのを待つしかないか。


評価 ★★★★★

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「ベルヴィル・ランデブー」 [映画]

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〔2002年/フランス〕


両親を亡くし、
どんなものにも興味を示さない少年・シャンピオン。
おばあちゃんはそんなシャンピオンを心配するが、
彼は心を閉ざしたままだ。


ある日、シャンピオンのスクラップブックを見たおばあちゃんは、
彼が自転車に興味を持っている事を知り、
早速、買い与える。
今まで見た事もないような、
生き生きとした表情で自転車を漕ぐシャンピオンに、
おばあちゃんは安心する。


大人になったシャンピオンは、
自転車の名手となり、
ついには“ツール・ド・フランス”に出場するまでになる。
おばあちゃんは、
そんなシャンピオンの為に、
あらゆるサポートをして、彼を支えていた。


ところが試合当日、
シャンピオンはニセの救護車に乗せられ、
そのまま誘拐されてしまう。


愛犬ブルーノの嗅覚を頼りに、
シャンピオンを追いかけるおばあちゃんは海を渡る。
そこは“ベルヴィル”という摩天楼がそびえ立つ大都会だった。
おばあちゃんはシャンピオンを助け出す事ができるのか・・・。





フランス製のアニメ。
日本人が感じるような、
いわゆる、「可愛い」絵柄ではないけれど、
独特の雰囲気があって、
大変に楽しめる。


おばあちゃんが孫のシャンピオンを思う気持ちに
胸を打たれる。
シャンピオンの両親が、
なぜ亡くなったのかは説明がないし、
彼が内向的なのが、
両親がいないせいなのかも分からないけれど、
おばあちゃんは、彼の心を開かせようと、
一生懸命だ。


分かるよ、おばあちゃんのその気持ち。
自分の大切な身内が沈んでいたら、
何とかして笑顔にしてあげたいって思うのは、
自然な感情だものね。


シャンピオンが自転車に乗るようになってからも、
おばあちゃんの日常は彼のためだけにある。
自転車の調整や修理までしてしまうのだから凄い。


シャンピオンは誘拐された後、
大型船に乗せられるのだけれど、
その船の形というのが、
思い切りデフォルメされていて、
ちょっとしたショックを受ける。
あんな風に描かれた船を見たのは初めて。


そして、おばあちゃんは、
なんと、足漕ぎボートで船を追いかける。
そこはアニメらしくて、
ちょっとブラックで、笑える場面。


“ベルヴィル”はニューヨークを思わせる街なのだけれど、
もしかして、フランス人の監督が、
アメリカを揶揄してる?と憶測したくなるくらい、
大げさなほどにデフォルメされていて笑える。
まぁ、分からなくもないけど。
アメリカ人って、本当にこのアニメみたいな感じだもの。


評価 ★★★★☆

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「ツレがうつになりまして。」 [映画]

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〔2011年/日本〕


堺雅人と宮崎あおいは仲のいい夫婦。
堺は外資系サラリーマンで、宮崎は漫画家。
堺は細かい事が気になる性格で、
宮崎は大ざっぱ。


ある日、堺は突然、
何事にもやる気を無くし、
食欲も減退、頭と背中が痛むようになる。
病院にいったところ、
うつ病だと診断され、ショックを受ける。


宮崎は、堺の激務が原因であろうと、
退職をすすめ、
自分が働くからと宣言。


しかし、宮崎の漫画は一般からは受けが悪く、
なかなか収入に結びつかない。
編集部に乗り込んだ彼女は、
「ツレがうつになりまして。
 どんな仕事でもいいので下さい」と頼み込み、
小さなカットの仕事を引き受ける。


2人は互いを思いやりながら、
病気と付き合っていこうと決める。
しかし宮崎は、
どうでもいい事に拘る堺の性格に時にイラつき、
酷い言葉を投げつけてしまう事もある。


堺の病状は好転するのか。
そして夫婦の未来は・・・。





これは、観るのがちょっと怖かった。
私だって、
自分の器を越えるくらいの辛い出来事があれば、
落ち込む事があるし、
涙が出る日もある。


落ち込みとうつとの差がよく分からないので、
堺雅人の症状が自分に当てはまったらどうしようと、
ちょっと心配だったのだ。


でも、映画を観ているうちに、
その2つは、似ているようで、
やっぱり違うんじゃないかと感じた。
私の場合、落ち込んでも、
何もしたくないという状態にはならないというか、
むしろ、現状を変えたいという無意識の思いなのだろうか、
何か新しい事をしたくてたまらなくなる。


といっても、
人間であれば誰でも、
うつになる可能性がある事は、
様々なメディアで言われているし、
この映画の中でも言っている。
「自分は絶対大丈夫」なんて、
言い切れる人はいない。


同じ病気のかたが、
この映画を観て、
どう感じられるかは分からないけれど、
観ている範囲で、
宮崎あおいの思いやりで救われる。


時々は堺の細かさにキレてしまう事もあるけど、
心の底から、
病気と向き合っていこうという姿勢が感じられるし、
色々勉強もしている。
こんな奥さんで良かったなぁと思う。


堺の几帳面さが凄い。
お弁当に入れていくチーズを、
曜日ごとにタッパーに分けたり、
便箋に文字を書くのに、
定規で1センチごとに目盛りを打ったりしている。


この几帳面さが病気につながる、
なんて事は思わないけど、
もう少しズボラでもいいんじゃない?と
言ってあげたくなるような場面だった。


評価 ★★★☆☆

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