「可愛い花」 [映画]
〔1959年/日本〕
ラピュタ阿佐ヶ谷で観た。
大手化粧品会社の女社長・荒谷しずえの娘ユミは、
歌手になりたいという夢を捨て切れず、家出する。
荒谷は流行歌手が大嫌いなのだ。
レコード会社のスカウトマン岡本(岡田真澄)は焦っていた。
以前、オーディションを受けにきた平田(平尾昌明)を
才能がないからと追い返した所、
別のレコード会社からデビューした彼が、
大ヒットを飛ばしたのだ。
その事で岡本は、社長から怒られ、
「スターを発掘しなければクビだ」と言われている。
一方、昔、一世を風靡したが、
今は落ちぶれた歌手・竹下が、
岡本の所に娘・エミを連れてきた。
竹下は、今度は娘を売り出したいと考えているのだ。
レコード会社の屋上で、
ユミとエミが並んだ姿を見た岡本はビックリ。
2人がソックリだったからだ。
実は荒谷と竹下は元夫婦で、
ユミとエミは双子の姉妹だったのだ。
荒谷の流行歌手嫌いも、理由はそこにあった。
2人を一緒に歌わせた岡本は、
そのハーモニーの美しさに驚き、
“ザ・ピーナッツ”という名前デビューさせる事を決める。
また、ユミとエミは、父母を仲直りさせるために、
服を取り換え、
互いの家に行くのだが・・・。
ザ・ピーナッツをリアルタイムでは知らなくても、
そのヒット曲は知っている。
「恋のバカンス」とか「情熱の花」とか「恋のフーガ」とか。
それから、姉妹のどちらかが、
ジュリーの奥さんだったという事も知っている。
女の子から絶大な人気を誇っていたらしいジュリーの結婚って、
当時、世間はどれほど大騒ぎになったんだろう。
この映画は、そのザ・ピーナッツが、
初めて出演した映画。
タイトルが可愛い(そのまんまだけど(笑))。
「可愛い花、可愛い花」と、
何度も口の中で言ってみたくなる。
可愛いうえに、どこか物悲しい感じもする。
この語感、好きだな。
彼女たちのデビュー曲も同じタイトルだそうで、
劇中でも歌われる。
それは、「恋のバカンス」などと違って、
聞いた事があるような、ないような。
でも、やっぱり物悲しくて、いい曲だった。
大好きになった。
きっとザ・ピーナッツを売り出す為に作られた映画なのだろう。
2人はまだ、全く垢抜けておらず、
素人娘みたいだ。
ただ、歌が抜群に上手くて、
聞き入ってしまう。
やっぱりプロになる人は違うんだなぁと感じる。
お話は他愛ない。
ただ、2人が初めて会う場面や、
入れ替わって、
それぞれ父母の家に行く場面などは、
結構ワクワクする。
双子だからできる場面だものね。
評価 ★★★☆☆