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「世界にひとつのプレイブック」 [映画]

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〔2012年/アメリカ〕


妻が自宅で浮気している現場に遭遇してしまった
ブラッドリー・クーパーは、
精神のバランスを崩し、
8か月の入院生活を送る。


退院後、実家に戻り、
両親(ロバート・デ・ニーロ、ジャッキー・ウィーヴァー)の元で
暮らし始める。
社会復帰を目指してはいるが、
心のコントロールがまだ上手くできない彼には、
難しいのが現状だ。


さらにクーパーは、
元妻と復縁できると信じ込んでいる。
接近禁止令が出ているにも関わらず。


そんなある日、彼は、
自棄になっている若い女性・ジェニファー・ローレンスと知り合う。
ローレンスもまた、
愛する夫を事故で亡くし、
不安定な精神を抱えていた。


口争いばかりの2人だったが、
ローレンスが目指すダンスコンテストのパートナーを
クーパーがする事になり、
2人の練習が始まる・・・。





ブラッドリー・クーパー命の友人のおかげで、
特にファンではないけれど、
私まで、彼の事はなんだか気になる存在になってなってしまった。
今回、アカデミー賞にまでノミネートされたというのが、
なんだか感慨無量。
無名だったのに、
よく頑張ってきたなぁ、と。


精神のバランスを崩したという、
クーパーのハイテンションが、
観ているこちらを、なんだか悲しい気持ちにさせる。
異様なハイテンションというのは、
自分が見えていない証拠であろうし、
ローテンションと表裏一体な気がして、
ちょっと辛い。


そこを上手くカバーするのが、
彼の両親。
しょっちゅう深夜に起こされ、
小説への批判やら、愚痴やらを聞かされる。
その時の対応は、
なんだかコミカルで、深刻にはならない。
それがこの映画の良い所。


そして出会う、ジェニファー・ローレンス。
夫を亡くし、
職場の全員の男と関係を持ったという彼女は、
やっぱり不安定で、
こんな2人が一緒にいたら、
危なっかしくて仕方ないと思うけれど、
でも、なんか合っている感じもするし(笑)。


ダンスコンテストでの好成績が、
2人の最終目標かと思っていたけれど、
その割に練習場面の時間は少ないし、
それほど力が入っているようには感じられない。
でも、その演出でいいのだと、
あとで分かるようになっている。


ただ、重要ではないといっても、
やっぱりコンテストの場面は緊張。
祈るような気持ちが自然に湧き出てくる。
ただ、彼らの場合、
「優勝しますように」じゃなくて、
「失敗しませんように」と思わせる所がミソだけど(笑)。


拳銃も爆撃もない、
多少病んではいるけれど、普通のアメリカ人を描いているのであろう、
この映画。
地味な印象だし、
ラスト近くまで、なんとなくスクリーンを観ていたのだけれど、
やっぱり、映画はラストなんだな。
分かり切ってはいたけれど、
最後は、自然に幸せのため息が出た。


評価 ★★★☆☆

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「ゴーン・ベイビー・ゴーン」 [映画]

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〔2007年/アメリカ〕


ボストンの小さな町で、
4歳の少女・アマンダが行方不明となる。
警察は捜査を開始するが、
手懸りは掴めず、
苛立ちは募るばかり。
アマンダの母親は、シングルマザーで薬物中毒者だったが、
娘の為に泣いている。


そんな中、私立探偵・ケイシー・アフレックの元に、
アマンダの伯母が訪ねてくる。
進展しない警察の捜査に業を煮やし、
アフレックに調査を依頼しに来たのだ。


アフレックは、恋人のミシェル・モナハンと共に、
行動を開始する。
警察を訪ね、刑事エド・ハリスとジョン・アシュトンから
状況を聞き出し、
4人で行動するようになる。


調べが進むうちに、
アマンダの母親が、
どうしようもない女だという事が分かってくる。


母親は、麻薬を売り上げた金を奪い、
隠していたのだ。
誘拐事件は、この金を狙ったものだと考えたアフレックたちは、
ギャングと取引するのだが、
そこには、思わぬ展開が待ち受けていた・・・。





ベン・アフレック、アカデミー賞受賞記念に、
観てみた。
彼の初監督作品だそうだ。


私がエラソーに言うのもどうかと思うけど、
初監督作にしては、
なかなか上手く出来ている気がした。
稚拙な部分がないし、
観ているうちに、自然と夢中になる。
次の展開が気になって仕方がない。


ベン・アフレック、ちゃんと才能があったのね(笑)。
その後の監督作品、「ザ・タウン」、
そして今回の受賞作、「アルゴ」も、
面白いとは思ったけれど、
どこか彼を軽んじていた所があったの。
ごめんよ、ベン(笑)。


この映画は、原作があるらしいから、
それに忠実に作ったといえばそうなんだろうけど、
でも、ラストは、
登場人物も、そして観る者も、
大変に難しい選択を迫られるようになっている。


ケーシー・アフレックとミシェル・モナハンは、
意見が真っ二つに分かれるのだけれど、
私の個人的心情からしたら、
モナハンの選択を支持したい気持ちでいっぱいだった。


だってだってだって・・・、
詳しくは書けないのがもどかしい・・・。
なんとも言葉にならない。
アフレックの言いたい事は、そりゃあ正論なんだろうけどさ、
人間、正論だけじゃ判断できない事がある。


モーガン・フリーマンとエド・ハリスというビッグネームが、
出ているのも凄い。
お二人共、
ベン・アフレックの才能を、
先物買いしたのであろうか(笑)。
さすがに大スターというのは、
先見の明も備えているのね(憶測(笑))。


評価 ★★★☆☆

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「16ブロック」 [映画]

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〔2006年/アメリカ〕


ニューヨークの刑事・ブルース・ウィリスは、
うだつの上がらない、
仕事への意欲もまるでない男。


彼は夜勤明けに、証人の護送を命じられる。
時間外だからと御託を並べたが、
聞き入れられず、渋々引き受ける。


護送は、黒人の青年・モス・デフを16ブロック先の
裁判所まで送り届けるという簡単なもので、
ウィリスも、仕事はすぐ済むと思っていた。


ところが出発直後から、
不穏な空気に包まれる。
ウィリスとデフは何者かに襲われたのだ。
そして救援に現れた、ウィリスのかつての仲間デビッド・モース。


そのモースこそ、デフに証言をされては困る張本人だった。
ウィリスにデフの引き渡しを要求したモースだが、
それを突っぱね、
デフをなんとか裁判所まで連れて行かねばならない。
かくして、ウィリスたちは追いかけられる身の上となり・・・。





最近、劇場でしょっちゅうお目にかかるブルース・ウィリス。
だったら、何も家でまで彼の映画を観なくてもいいんじゃない?
と思ったけれど、
なんとなく観てしまった(笑)。


簡単に言えば、リアル鬼ごっこって感じで、
ひたすら追われるウィリスとモス・デフ。
デフを狙うのは、
悪人なのかとおもっていたら、
ウィリスの仲間の刑事というのが、
最初から観る者に明らかにされているので、
謎解きの要素はない。


たった一人の証人のためにそこまでするかって感じで、
騒ぎはどんどん大きくなる。
ついには路線バスを乗っ取って、
立て籠もるウィリスたち。
乗り合わせた客はビックリだ(笑)。


デフのある行動に、
ちょっとイライラさせられるんだな。
ウィリスも、「苦労が台無しだ」ってつぶやくような。
それもこれも演出なんだけど、
私だったら怒っちゃうよ(笑)。


それから、話とは関係ないんだけど、
この映画のウィリスが、とてもハンサムに私には見えた。
少ないながらも髪があって、
口髭を生やして。
(別に髭は好きじゃないけど、この役には合っていた)
7年前の映画だから、
今より多少若いってのもあるのかもしれないけど。


役自体は、冴えないオッサンなんだけどね。
お腹も出ているし。
でも、不死身な感じより、
なんか好感が持てて。


評価 ★★★☆☆

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「ゴーストライダー2」 [映画]

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〔2011年/アメリカ〕


前作で、病気の父を救うため、
悪魔に自分を売り渡したジョニー・ブレイス(ニコラス・ケイジ)は、
憎しみや怒りを内包し、
きっかけがあれば、それが外に現れ、
ゴーストライダーに変身するようになっていた。


そんな折、ジョニーは、黒人僧侶モロー(イドリス・エルバ)から、
冥界の王・メフィストに狙われている
少年ダニー(ファーガス・リオーダン)を
助けてほしいとの依頼を受ける。


メフィストは、
新たな人間の体を求めており、
ナディア(ヴィオランテ・プラシド)に産ませたダニーに
憑依しようと狙っているのだ。


メフィストがダニーを手に入れたら、
世界はメフィストの思いのままになってしまう。
そんな事を許すわけにはいかない。
かくしてダニー救出へ動き出したジョニーだが・・・。





1作目を観た時から、
「ゴーストライダー大好き!」と公言してきた私だけれど、
今回これを観て、
1作目の内容を殆ど覚えていない事に気が付いた(笑)。
一体私は、何をもってして、
「好き」と思い込んでいたのだろう。


ただ、細部は覚えていなくとも、
全体のチープな雰囲気はよく覚えている。
燃え出すニコラス・ケイジ。
骸骨になるニコラス・ケイジ。
そして、この2作目もそれは変わらない。
ポスターもめっちゃカッコいい。


そうだ!
1作目で大事な事を忘れてた!
こんなへヴィメタみたいなナリをしたゴーストライダーなのに、
聞いている音楽が、
たしか、カーペンターズの「スーパースター」だったのよ。
私はカーペンターズが大好きなうえに、
特に「スーパースター」は、胸が締めつけられるくらい好きな曲だから、
ものすごくシンパシーを感じたんだ。
ミスマッチな感じも、最高に可笑しかったし。
今回もそれを期待したんだけど、
カーペンターズがかかる事はなくて、
ちょっと残念。


ケイジがゴーストライダーに変身すると、
顔も体もバイクも燃えるけど、
着ている服も、炭みたいになる。
触るとボロボロ崩れそうな質感に。
なんだか触ってみたくてたまらない衝動に駆られたな。


さらにライダーが放尿すると、
尿ではなく、火が出てくる(笑)。
そ、それって、自前の武器として世界一なんじゃ、
ってくらい激しい炎で。
ニコラス・ケイジ49歳、
私は本当に彼が好きだよ(笑)。
同い年のブラピもジョニデも、
さすがにここまではしないと思われ。


ダニー役の少年(12~13歳?)が
なかなか可愛くてよろしい。
彼は、母が悪魔と契約して生まれた子だという設定。
うーん、生まれながらにそんな曰く付きじゃやだなぁ。
そんな契約をする母が一番悪いんだけど。


評価 ★★★☆☆
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「がちょうのおやじ」 [映画]

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〔1964年/アメリカ〕


第二次世界大戦中、
オーストラリア周辺で、
気ままな暮らしをしていたケイリー・グラントは、
無数にある無人島の一つマタラバ島で、
日本軍の動きを監視するという任務に就かされる。


渋々島に赴いたグラントは、
「マザー・グース」という暗号名を与えられ、
以降、無線連絡の時は、自分をそう呼ぶようになる。


数日後、別の島で同じ任務に就く仲間が、
日本軍に襲われたとの連絡が入り救助に行く。
するとそこには、
年若い女・レスリー・キャロンと、
彼女が引率する7人の少女たちがいた。


キャロンたちは、疎開する途中で、
島に流れ着いたと言う。
仲間は既に殺されており、
グラントは仕方なく、
キャロンと少女たちを自分の島に連れて帰る。


無線で彼女たちの事を報告するが、
救助は4週間以上かかると言われ、
グラントは、女の子たちに囲まれ、
生活する事を余儀なくされる。


品行方正なキャロンからは酒を隠され、
少女たちからは寝る場所を取られ、
散々な思いをするグラント。
しかし、交流を続けるうちに、
彼らの間に、仲間意識が芽生え始め・・・。





「北北西に進路を取れ」や、
「めぐり逢い」、「泥棒成金」など、
二枚目役が専門だと思っていた、
ケイリー・グラントが、
なんだか冴えないおっさんの役を演じている、
ちょっと面白い内容。


けれど、とっても可愛い物語で、
なかなか楽しかった。
戦争中、孤島で敵の監視をする男が、
若い女と、少女たちに振り回されるなんて、
今までに観た事がないようなシチュエーションで(笑)。


戦争ものだからって、
何も真面目くさったものばかり作る必要はないんだって、
こういった映画を観ると思う。


この映画の中では、
日本は敵国として描かれて、
緊迫した場面もある。
でも、特に残忍な風ではなく、
戦争中ならこんなものか、という程度のもので、
日本人として、悲しくなるような事はない。


今まで、レスリー・キャロンを
綺麗だと思った事はなかったけれど、
この映画ではとても可愛い。
お約束のように、
グラントと恋仲になってゆくのだけれど、
その流れも自然。


難をいえば、
キャロンの役は、
女という立場に胡坐をかきすぎかな。


「私たちは女だから、ここで寝泊まりして当然でしょ」みたいな態度で、
島に一つしかない小屋を占領して、
グラントは沈みかかった船で暮らすしかなくなる。
それは逆性差別だと思うなぁ。


しかも、少女たちは、
グラントの毛布や衣類を船から勝手に持ち出して、
自分たちの物にしてしまう。
女だからって、何でも許されるわけじゃない。


まぁ、いっか。
そんなこんなも含めて、
振り回されるグラントが可笑しいのだから。
あまり知られていないのが残念だと感じるくらい、
なかなか良い映画だった。
(と、ここまで書いて調べてみたら、
 この映画、アカデミー賞脚本賞を受賞しているそうだ。
 ああ、やっぱり、と納得)


評価 ★★★★☆

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