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「図書館戦争」 [映画]

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〔2013年/日本〕


「メディア良化法」が制定され、
風紀を乱す怖れのある図書が排除されるようになった日本。


その「良化隊」の検閲に抵抗し、
どんな図書でも読む自由があると結成された防衛組織、
「図書隊」。


笠原郁(榮倉奈々)は高校時代、
書店で「良化隊」による襲撃に遭い、
危うい所を「図書隊」の隊員に助けられる。
顔を見られなかった、その隊員を王子様と慕い、
自分も「図書隊」になるべく、試験を受け合格する。


配属された部署の上官・堂上篤(岡田准一)の指導は
大変に厳しく、
時に不満を感じる事もあったが、
自分の未熟さを感じ始めた郁は、
堂上を慕うようになる。


そんな中、
小田原にある情報歴史図書館の創設者が亡くなり、
そこにある資料全てが移送される事になる。
その中には、「メディア良化法」に関して、
都合の悪いものが含まれており、
「良化隊」がそれを狙ってくるのは必至。


「図書隊」は「良化隊」を阻止すべく、
武装して彼らを待ち受ける・・・。





図書館は私の大好きな場所であり、
とても神聖で大切な場所でもある。
子供の頃から通っていたし、
過去に働いていた、職場でもある。


そんな図書館と武装集団という組み合わせが、
何だか好きになれず、
最後まで違和感が拭えなかった。


あの素晴らしかった、
「阪急電車 片道15分の奇跡」と同じ、
有川浩さん原作なので、
期待していたのだけれど、
私には合わなかったのかもしれない。


原作を読んでいないので、
何とも言えないけれど、
タイトルから、私はもっと牧歌的なものを想像していたの。
けれど、映画での戦闘シーンは、
本当の戦争みたいな銃撃戦と、
多数の死傷者が出る。


本を巡って、人が殺し合うなんて、
考えるのも嫌だ。
まして、日本人同士が。
この日本国内で。


榮倉奈々サン、
元気いっぱいなのは悪くはないんだけど、
個人的な好みを言えば、
明るい中にも、もう少し屈折した、
何かを抱えているような女優さんの方が好き。
(もちろん彼女にだって色々あるんだろうけれど、あくまでも印象)


榮倉さんだと、
「嫌いな女優ランキング」にも入らない代わりに、
「好きな女優ランキング」にも入れない、
そんな気がする。
これから、もっと活躍して、
今までの印象がガラリと変わるような役をされたら、
面白くなると思うのだけれど。


評価 ★★★☆☆

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「巴里の恋愛協奏曲(コンチェルト)」 [映画]

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〔2003年/フランス〕


1925年、パリ。
実業家の夫・ピエール・アルディティと、
表向きは幸せな結婚生活を送っているサビーヌ・アゼマだったが、
実は火遊びが大好き。


今のお相手は若手俳優のジャリル・レスペール。
今日も彼とのデートで、
自分が主催したお茶会さえ忘れてしまうくらい、
彼に夢中。


そんな2人の関係を知らない、
アゼマの若い友人・オドレイ・トトゥは、
レスペールに恋しており、
なんとか彼を振り向かせたいと願っている。


そんなある日、
アルディティの事業の今度の契約相手が、
アメリカ人・ランベール・ウィルソンだと聞かされたアゼマは、
卒倒しそうになる。


実はウィルソンはアゼマの元夫。
アゼマは過去の結婚を隠して、
アルディティと結婚したのだ。


アルディティに過去を知られてはならない。
アゼマは右往左往、
みんなドタバタドタバタ・・・。





ミュージカル舞台劇の映画化らしい。
室内だけで話が進行し、
場面は3回しか変わらず、
登場人物は全部合わせても10人くらい。
正直、最初はちょっと退屈だった。


「アメリ」以来、大好きなオドレイ・トトゥが出ているから、
観てみたのだけれど、
オドレイは主役ではなく、
3番手か4番手あたり。
ジャケットは人寄せだわ(笑)。


でも、彼女の派手さのない可愛らしさが、
1920年代のファッションに合っていた。
特に帽子が可愛い。


ピエール・アルディティが、
変な理論を、会う人毎に話すのが笑える。


彼は、
「女は初めての男を生涯愛するものだ」と
思い込んでいるのよ(笑)。
聞かされた人は心で笑っているのだけれど、
彼はそんな事には気付かない。


彼の理論のおかげで、
サビーヌ・アゼマは余計に、
自分の過去の結婚を言い出せない。
アルディティは、
自分こそアゼマの初めての男だと信じ切っているんだもの(笑)。


そんなこんなで色々あるけど、
最後は大団円。
ノー天気なミュージカルだった。


評価 ★★★☆☆

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「ナバロンの要塞」 [映画]

Navaronenoyousai.jpg
〔1961年/アメリカ〕


1943年。
エーゲ海はドイツ軍に制圧され、
イギリス軍は壊滅の危機にあった。


特にナバロン島の崖に作られたドイツ軍の要塞には、
巨大な大砲が設置され、
周囲の海に睨みを利かせており、
付け入る隙を与えない。


そんな要塞を破壊せよとの命令が下り、
ベテランの軍人6人が召集される。


ナバロン島に入るには、船を島の南側に着け、
歩哨のいない絶壁を登るしかない。
登山が得意なマロリー(グレゴリー・ペック)を先頭に、
一行は決死の覚悟で出発する。


なんとか島に上陸した一行は、
様々な困難を乗り越えながら、
ようやく要塞に辿り着く・・・。





以前、
哲学者でエッセイストの土屋賢二先生(大好き!)が、
一番好きな映画と聞かれて、
この作品を挙げておられた事を思い出す。


10年くらい前だと思うので、
うろ覚えで申し訳ないのだけれど、
「危機の連続だが、
 偶然に頼る事なく、
 軍人たちの機転と力でそれを乗り越える所が素晴らしい」
といったような事を書かれていた。


あの天邪鬼な(ごめんなさい)先生が、
珍しく真面目に答えておられるなぁと可笑しく思い、
いつか観てみようと思いつつ、
もしかして難しいかもと迷っているうちに、
年月が経ってしまった。


で、やっと観たわけだけれど、
とっても面白かったです。
何でもっと早くに観なかったかなと、今更ながら思う。


本当に、先生の仰る通り、
次から次へと襲いかかる危機を、
登場人物たちが自分たちの機転で乗り越えてゆく。


危機は船で島に渡る途中から、もう始まる。
呑気な場面など一つもない、緊張の連続。
そして、壁登り。
固唾を飲んで見入ってしまう。


敵に捕まった時なども、
仲間の一人が突拍子もない事を言い出し、
「え?この人何言っちゃってんの?裏切る気?」などと思わせながら、
次の瞬間にはちゃんと決着がつくという面白さ。


そういえば、
冒頭、要塞に入るにはどうしたらいいかという会議で、
「爆薬を積んだ飛行機で、そのまま突っ込めばいい。
 ただし、その飛行機に乗るというパイロットがいればだが」と、
軍人たちが話し合う場面があった。


彼らは笑いながら、
いかにも冗談という感じで話していたけれど、
本当にそれをした人がいたんだよなぁと思うと切ない。
戦争って本当にくだらない。


評価 ★★★★☆

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「クロイツェル・ソナタ 愛と官能の二重奏」 [映画]

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〔2006年/スイス〕


乗り継ぎの飛行機の遅れで、
空港で足止めされた老人は、
手持ちぶさたな時間を埋めるように、
同じく飛行機を待つ若い男・ジョルジョ・パソッティに話し掛ける。


どこか暗い陰のあるジョルジョが、
自分の人生を語り出した。
自分は妻を殺した犯罪者なのだと・・・。


金持ちの母親に支配されるように生きてきたジョルジョは、
母が大株主である銀行に就職する。
順調な人生だったが、
ある日、彼は、広場でピアノを弾いていた、
ヴァネッサ・インコントラーダを見て、
一目で恋に落ちる。


温かい家庭を熱望していたジョルジョは、
知り合って一週間でヴァネッサにプロポーズ、
母親の猛反対を押し切って結婚する。


しかし、銀行家と音楽家の組み合わせは所詮は水と油、
最初から喧嘩が絶えない2人。
ジョルジョは、ヴァネッサの音楽に対する気持ちが理解できず、
彼女の交友関係にも、
入り切れずにいる。
それでも、3人の子供に恵まれ、
傍目には幸せそうに見える家族。


ある夜、
ヴァイオリニストの男と二重奏を奏でていたヴァネッサを見て、
ジョルジョの中で何かが弾け・・・。





今月は「アンナ・カレーニナ」を4本も観てしまったけれど、
この映画も、「アンナ~」と同じ、
トルストイが原作なのだそうだ。
別に狙ったわけじゃないけど、
勝手に一人でトルストイ月間(笑)。


原作は1899年出版だそうだけれど、
これは現代が舞台。
「アンナ~」もそうだけれど、
トルストイは、男女のドロドロを描くのが好きなのか?
・・・って、んなわけないか。
私じゃないんだから(笑)。


映画として、とても面白かった。
お金はあるけれど、
家族に恵まれなかった男が、
本物の家庭を築こうとするけれど、
結局は叶わなず、破滅に向かう。


そもそも、相手の事を何も知らないうちに結婚を決めるってのが
やっぱり駄目だったのかもしれない。
もちろん、それで上手くいっている夫婦も沢山いるけれど、
彼らの場合、境遇が違い過ぎる。
恋愛期間があれば、
そういった諸々の事が分かった上で結論が出せるのに。
ジョルジョは、ヴァネッサの友達にも会った事がないのだから、
やっぱり無理がある。


この映画のテーマは嫉妬。
ジョルジョの側からだけの、強烈な。
嫉妬するというのは、
それだけ、相手への執着があるという事。
ジョルジョは、自分に理解できない、
芸術の世界そのものにも、苛立っているようだ。


逆に、ヴァネッサは、
ジョルジョの銀行の仕事には、
まるで関心を示さないのが、
対照的で面白い。
飼い猫と野良猫の差と考えたら分かり易い。


ジョルジョは母を嫌っているようだけれど、
母がそれほど悪い人間だとは、私には思えなかった。
ヴァネッサとの結婚だって、
最初は反対したけれど、
結婚式の日には、
家宝のネックレスをヴァネッサに付けてあげたりしている。
とても良い場面だと思ったな。


ジョルジョにだって、
「寒いから、コートを着なさい」とか、
とっても気遣っているのよ。
それでも、上手くいかない。
人間って難しいね。


評価 ★★★★☆

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「ハッシュパピー バスタブ島の少女」 [映画]

Hushpuppy.jpg
〔2012年/アメリカ〕


バスタブ島に住む少女・ハッシュパピー(クヮヴェンジャネ・ウォレス)は、
お父さんと2人で暮らしている。


島は貧しく、
みんな小屋のような家に住み、
洪水になると全体が湿地になってしまうような、
そんな場所。


お父さんは、ふいにどこかへ行ってしまい、
またふらりと帰ってくるような生活を続ける人。
ハッシュパピーにも、決して優しいというわけではないけれど、
だからといって、彼女を嫌っているわけではなさそう。


ハッシュパピーは、
伝説の巨獣オーロックスの存在を信じ、
怯えている。
オーロックスが集団でやって来て、
島を荒らす想像をよくする。


ある日、100年に一度の嵐が島を襲う。
全体が水に浸かった島は、
もう元に戻りそうもないくらいの
酷い状態で、
国は、島民を強制的に清潔な施設に避難させる・・・。





この物語の舞台・バスタブ島と呼ばれる場所を、
私は、どこの国とも限定せずに観ていたのだけれど、
意外にも、アメリカなのね。
(意外に感じたのは私だけかもしれないけど)。


アメリカ本土にほど近い島では、
まだまだこの映画のような生活をする人たちが
いるのだろうか。
離れ小島でも、
アメリカはアメリカだと思っていたのに。


ハッシュパピーが可愛いうえに、
逞しくて、
スクリーンの彼女の様子を
じっと見つめてしまう。
お父さんは、それほど当てになる人ではないようだし、
自分で頑張って生きよう、って。


洪水が起こって、
自治体が、無理矢理島民を避難させる場面で、
幸せの基準って何だろうと考える。


文明の中で暮らす者は、
自分たちを幸せだと思い、
そうでない人たちにも、
それを強要する。


けれど、島の人たちは、
今までの生活で別に不満はないのよ。
与えられたご清潔な暮らしなんかしたくなくて、
島の生活が大好きで。
彼らは島に居させてあげなよと思う。


ハッシュパピー役のクヮヴェンジャネ・ウォレスという少女は、
これから出てくるのだろうか。
なんだかとっても自然なので、
このまま真っ直ぐ育ってほしいって、
親みたいな気持ちで思ってしまう。


評価 ★★★☆☆

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