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「カラカラ」 [映画]

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〔2012年/カナダ・日本〕


カナダ人で元大学教授のガブリエル・アルカンは、
アジアへの憧れを胸に、
沖縄を旅行中。


那覇で地図を見ていると、
親切な2人組みの中年女性、
工藤夕貴と富田めぐみに声を掛けられ、
一緒に博物館へ行き、ひとときを過ごす。


博物館に展示されている美しい布・「芭蕉布」に
魅せられたアルカンは、
人間国宝・平良敏子の工房に電話し、訪問の約束を取り付ける。


翌朝、アルカンが公園にいると、
工藤夕貴がやって来る。
今日も那覇を案内すると申し出る工藤と一緒に、
市内観光したアルカンは、
その後、自分のホテルルームで、工藤と関係する。


旅先の、一度だけの関係だと思っていたアルカンだが、
夜、工藤から電話が来る。
なぜか泣きじゃくっている彼女は、
なんと、アルカンと同じホテルに部屋を取ったと言う。


工藤は夫から暴力を受け、
家を飛び出してきたのだ。
アルカンと一緒に旅をしたいという彼女に困惑し、
苛立ちを覚えるアルカン。
しかし見捨てる事もできず、
2人は共に行動していくが・・・。





カナダ人が沖縄を旅するという、
ちょっと変わった物語。


私がガブリエル・アルカンだったら、
困ってしまうだろうなぁという出だし。


見知らぬ女性と知り合ったはいいけど、
彼女にはDVの夫がいて、
その夫から逃げ出して、
自分と同じホテルにやって来るなんて、
下手したら、自分まで夫婦の揉め事に巻き込まれそうだ。
まして、彼女とは性交渉も持っている。
どんな因縁をつけられるか分からない。


工藤夕貴の態度も、ちょっと変だ。
暴力を振るわれ、
パニックになっているのは分かるけれど、
なんというか、
ちょっと図々しささえ感じるような、
自分への距離感。
突然、同じホテルに部屋を取っちゃいましたぁ、と言われても、
じゃあ、どうしたいんだ、って。


そんな彼女にうんざりして、
一度は、彼女を振り切ろうと、
レンタカーを発進させるアルカン。
けれど、やはり可哀相になって車を止めてしまう。


工藤も、そのあたりで、
アルカンの思いに気付けばいいんだけど、
やっぱり距離感がつかめないのか、
車に乗り込んでくる。
「置いていかれるかと思った」と言いながら。


その後は、2人で旅するんだけど、
段々と情が湧いてくるというか、
1人だったら、やっぱり淋しいかな、というくらいには、
相手を思うようになる。


途中、工藤が、アルカンの態度について、
説教たれるシーンがあるんだけど、
「うわー、そんな事、この人から言われたくないよ」と思った。
工藤の説教を要約すると、
「もっと相手を思いやれ」って事なんだけど、
それをこの人が言うのってどうなのよって。


沖縄の景色がとても綺麗。
ああいった所で生まれたら、
また違う人生があったんだろうなぁと思わされる。
それから、富田めぐみの祖母の、
「本当に人生を楽しめるようになったのは65歳から」というセリフが、
なんだか妙に心に残った。


評価 ★★★☆☆

「東京家族」 [映画]

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〔2012年/日本〕


広島の小島に住む老夫婦、
平山周吉(橋爪功)ととみこ(吉行和子)は、
東京に住む3人の子供たちを訪ねてやって来る。


長男・幸一(西村雅彦)と、その妻・文子(夏川結衣)。
長女・滋子(中嶋朋子)と、その夫・庫造(林家正蔵)。
そして次男・昌次(妻夫木聡)。
滞在先は、幸一の家で、
最初の夜は、それなりに楽しく過ごす。


幸一は開業医、滋子は美容院経営と、
順調に暮らしているが、
心配なのは昌次だ。
舞台美術の仕事といえば聞こえはいいが、
フリーターのようなもので、
元教師の周吉には、昌次のそんな生き方が理解できない。


子供たちは、久し振りに会う両親を、
歓迎する素振りは見せるものの、
自分の生活が忙しく、
ペースを乱す両親の上京を、
疎ましく思わないと言ったら嘘になる。


幸一と滋子は相談の上、
横浜の高級ホテルに両親を泊まらせる事にする。
都内をあちこち歩くより、
その方がゆっくり出来るだろうとの考えだったが、
泊まり慣れないホテルに、
両親は1泊で帰ってきてしまう。


その後、周吉は、昔の知り合いに会いに行き、
とみこは昌次のアパートに泊まる。
とみこは昌次の恋人・紀子(蒼井優)を紹介され、
しっかり者の彼女に一安心するが、
その後、思いがけない展開になる・・・。





小津安二郎監督の名作、「東京物語」をモチーフに、
山田洋次監督が作った映画という事だ。
リメイクというほどではないけれど、
基本的な流れは、
「東京物語」と同じだ。


上京してきた年老いた両親と、東京で暮らす子どもたち。
彼らは互いに気を使いあってはいるけれど、
どこかギクシャクしていて、
なんとも歯車が噛み合わない。


子どもには子どもの生活があり、
親の相手をしてやりたい気持ちはやまやまだけれど、
現実にはそれもかなわないほど忙しい。
横浜のホテルにやったのだって、
表向き、「その方がくつろげるだろうから」と言ってはいるけれど、
体よく追い払われているように、
観る者には感じられるし、
実際、その後、そのようなセリフがある。


これは感想を書くのが難しいな。
私自身、どうしても、
子ども世帯の目線でこの映画を観てしまうので、
本当の意味での、
親の哀しみは理解できない。


うっすらと子どもに邪険にされる親を、
可哀相だと言ってしまうのは簡単だけれど、
でも、現実問題、
どうすればいいのかというと、分からなくなる。


それにしても、
子どもの出来不出来が、
人生の終盤において、
ここまで、「成功」「失敗」と分けられるのかと思う。
というのも、
周吉が、久し振りに友人と酒を飲んだ時、
そのような事を言われるんだな、
「お前は息子が医者だから、子育て成功」みたいな事を。


人は、死ぬまで、
「成功」「失敗」「勝った」「負けた」で生きていくんだと、
常々思ってはいたけれど、
こうハッキリと、それを見せつけられると、
なんともガックリくるね。
そういう私自身も、
そのような価値観で生きている部分がある事を
否定できないし。


蒼井優の登場シーンがとても好き。
というより、
家族家族できていたお話しの中に挟まれた、
唯一、色恋っぽいエピソードだったから、
ちょっとホッとできたのかもしれない。


なんか上手い事書けない。


評価 ★★★☆☆

「ビキニの裸女」 [映画]

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〔1952年/フランス〕


パリの大学生・ジャン・フランソワ・カルベは、
スペインのラベジ島に行き、
休暇を満喫する。
島には灯台守夫婦と、13歳になる娘が暮らしていた。


カルベは、ダイビング中、海底にある壺を発見し、
持ち帰って花瓶にする。


3年後、
花瓶にしている壺が、
実は大変なお宝だと知らされたカルベは、
再度、ラベジ島に行く事を決める。
海底には、沢山の金貨や壺が眠っているというのだ。


小型船を持つ、怪しげな男・ハワード・ヴァーノンら、
3人の男を雇ったカルベは、
ラベジ島に着くが、
そこで彼は、美しく成長した灯台守の娘・ブリジット・バルドーと
再会する。


すぐに恋に落ちたカルベとバルドー。
しかし、彼女の美しい肢体に、
他の男たちも目が釘点けになっていた。
特にヴァーノンは、彼女をモノにようと近付く。


バルドーに拒絶されたヴァーノンは、
欲と腹いせから、ある行動に出る・・・。





フランスのセクシーアイコン・ブリジット・バルドーの、
デビュー間もない映画だそうだ。


バルドーがまだ少女で、
とにかく可愛い。
垢抜けていないけれど、
逆にそれが、灯台守の娘という役に合っていて、
好感が持てる。


それに、もうこのころから、
長い手足と豊かな胸は、
彼女の特徴だったのね。
なんとも羨ましい。


フランソワ・カルベとバルドーは、
海中で再会するのだけれど、
その場面なんか、まるで人魚に出会ったみたいだった。


とは言え、
バルドーが出てくるのは、
映画が始まって40分後。
(あまりに出てこないので、カウンターを見ちゃったよ(笑))。
主役はあくまでもフランソワ・カルベだから、
仕方ないんだけど、
待ちくたびれた(笑)。


宝もなかなか見つからず、
正直、途中まではすんごい退屈。
でも、後半からは結構楽しめる。
岩陰でのラブシーンなんか、
結構ドキドキするし。


評価 ★★★☆☆

「キス&キル」 [映画]

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〔2010年/アメリカ〕


男に振られ、
両親とフランスに傷心旅行に出かけたキャサリン・ハイグルは、
そこでアシュトン・カッチャーと知り合い、恋に落ちる。


実はカッチャーは、CIAのエージェントなのだが、
ハイグルに本気で惚れてしまい、
彼女と結婚したい為、引退を申し出る。
ボスからは、「絶対に辞めさせない」と言われるが、
彼自身は、すっかり足を洗ったつもりで、
ハイグルとの新婚生活がスタートする。


3年後、
幸せな結婚生活を送っていた2人だが、
カッチャーの元ボスから接触がある。
カッチャーは、身の危険を感じるが、
案の定、親しい友達が、
突然襲い掛かってくる。


カッチャーには2,000万ドルもの懸賞金が掛かっており、
周囲の人々が、
彼を殺そうと狙い始めたのだ。


ハイグルは初めて知った彼の正体に驚きながら、
共に戦い、共に逃げる羽目になる。
2人の命は助かるのか・・・。





なんとも緩いお話であった。
分かってはいたけど(笑)。
元CIAのエージェントが大活躍というわりに、
敵がショボくて(笑)。


友だちとか、同僚とか、近所の人とか。
カッチャー一人殺すつもりなら、
凄腕のスナイパーでも一人雇えば、
すぐ片が付くと思うんだけど。
彼はもう、一般人として、
弛緩した生活を送っているわけだし。


キャサリン・ハイグルも、
魅力的なんだか、そうでもないんだか、
よく分からなくて、
カッチャーが彼女のどこに惚れたのか不明。


例えば、旅先のフランスで、2人初めてお食事した時、
レストランに両親が現れたのを見た彼女が、
テーブルクロスの下に隠れるのって、
なんかカッコ悪くて、コメディでも笑えない。
初めて男と逢引した小娘じゃないんだからさ、
デートくらい堂々としてよって(笑)。


結婚後も、彼女は、
親(特に父親)からの庇護から抜け切れなくて、
カッチャーも、そこに不満があり、
彼女にそれをぶちまけるシーンがある。
やっぱりそれは、カッチャーが可哀想。
そこでも、「小娘じゃないんだから」という言葉が浮かぶ。


CIAとかFBIとかがあるアメリカって、
映画が作り易くていいなと、そこはちょっと羨ましい。
そういう名前を出されると、
「何だかよく分からないけど、とにかく凄そうだ!」
って思っちゃうもの(笑)。


評価 ★★★☆☆

「ウェイクアップ!ネッド」 [映画]

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〔1998年/イギリス〕


アイルランドの田舎町、タリーモアは、
人口52人の小さな集落。
住人は殆ど老人だ。


ある日、この村から宝くじの当選者が出た事が、
新聞に小さく載っているのを見た、
2人の老人・ジャッキー(イアン・バネン)とマイケル(デヴィッド・ケリー)は、
当選者が誰なのか探し始める。
宝くじ購入の常連さんたちを家に呼び、
探りを入れるが、どうも全員違うようだ。


しかし、一人だけ、家に来なかった男がいる。
一人暮らしの老人・ネッド(ジミー・キーオ)だ。
ジャッキーとマイケルは、ネッドの家に行ってみる。
すると大変!ネッドは宝くじを持ったまま、
死んでいるではないか。
当選のショックで、昇天してしまったらしい。


ネッドの宝くじを山分けしようと考えたジャッキーとマイケルは、
宝くじ発行元に電話をかけ、
調査員をネッドに家に呼ぶ。
マイケルがネッドに成りすまして、
ネッドの家で、調査員から面接を受けたのだ。


なんとか面接を終えたマイケルだったが、
ホッとしたのも束の間、
調査員は、
「次回、賞金の小切手を持参してきた際、
 あなたがネッドさんご本人である事を、
 村人に確認いたします」と言われてしまう。


絶対絶命のピンチ。
ジャッキーとマイケルは、
村人全員を集めて、相談を持ちかけた。
マイケルをネッドだと証言してほしい。
賞金は全員で頭割りにしよう、と・・・。





当たった宝くじを持った老人が昇天、
という予備知識から、
もっとドタバタしたものを想像していたのだけれど、
ちょっとブラックで、味わい深い物語だった。
観て良かった。


主人公のジャッキーとマイケル、
そして、その他のおじいさん、おばあさんたちが、
なんだか可愛くて、元気で、良い。
みんな悪戯っぽい瞳で、
ジャッキーたちの企てに乗ってくる。
それはお金がほしいというより、
人生の終盤に、楽しみを求めているような、
そんな感じを受けた。


もちろん、それは犯罪に違いないんだろうけど、
損をするとしたら、
宝くじの発行元だけだし、
元々ネッドが生きていたら、
支払われるべきお金なのだから、
罪悪感は殆ど感じない。


観ているこちらも、
物語が進むにつれて、
「なんとか、この愛すべき村人たちが、
賞金を手にできますように」と、
祈るような気持ちになっていた。


なにせ、賞金額というのが凄い。
700万アイルランドポンドというとピンとこないけれど、
日本円に換算すると約12億円らしい。
ビックリ!(笑)


12億円を51人で頭割りにすると、
1人当たり、約2,350万円。
(計算間違ってないよね!?(笑))
こういう場合、家族が多い方が得かな、とか、
映画だっつーのに、
計算せずにはいられない業突く張りの私(笑)。


話は割と順調に進むんだけど、
最後の最後に、
1人の偏屈ばあさんの邪魔が入って、
結構ドキドキする。
(彼女の運命が、この映画の好き嫌いを分ける、
 大きな分かれ道のようだ)


他にも、村にたった一人いる子供の父親は誰なのかとか、
サイドストーリーも楽しい。


評価 ★★★★☆