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「96時間 リベンジ」 [映画]

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〔2012年/アメリカ〕


元CIAの秘密工作員・リーアム・ニーソンは、
離婚した元妻・ファムケ・ヤンセンと
娘・マギー・グレイスが気になって仕方がなく、
グレイスの車の運転練習を見てやったり、
彼女のボーイフレンドの家に乗り込んだりと、
ウザがられている(笑)。


妻は新しい夫と上手くいっていないようで、
そんな彼女たちの為に、
イスタンブールでの仕事後に、
落ち合う約束をするニーソン。


ところが、前作で、
ニーソンが壊滅させた誘拐組織の首謀者の父親ラデ・シェルベッジアが、
彼に復讐を果たす為、
部下を引き連れ、イスタンブールにやって来ていた。


ニーソンに、自分と同じ思いをさせてやると
息巻くシェルベッジア。
何も知らないニーソンとヤンセンは、
バザールに観光に行き、
グレイスはホテルのプールで過ごす。


何者かに付けられている事に気付いたニーソンは、
妻を、迷宮のようなバザールへ逃がし、
自分は応戦するが、
結局、2人共捕まってしまう。


グレイスの身に危険を感じたニーソンは、
縛られながらも彼女に電話する。
グレイスは怯えながらも、
ニーソンの指示に従って、
両親救出へ動き出す・・・。





前作、「96時間」もなかなか面白かったと記憶しているが、
これは、その続編。


サブタイトルに「リベンジ」とある通り、
これは復讐の物語。
リーアム・ニーソンが復讐するのではなく、
復讐される立場。
連鎖といってもいいし、
そういったセリフがラスト近くに出てくる。


まぁ、難しい事はいいんだ。
今回も、ニーソン父ちゃんは頑張る(笑)。
前作同様、
家族を守るためなら、
もう、何でもする。
人の迷惑なんかお構いなしよ(笑)。


私が気に入ったのは、
ニーソンがマギー・グレイスに、
イスタンブールの町をカーチェイスさせる場面。
グレイスはまだ免許がなく、
(日本でいえば、仮免か?)
運転に自信が無いのだが、
ニーソンが銃を撃っているので、彼女がするしかない。
アメリカと違って狭い路地を、
父ちゃんの指示に従いながら運転する様子が、
なんだか可愛くて。


冒頭で、免許を取るために、
ニーソンと一緒に練習していた場面が、
ここで生きてくる。
カーチェイスに使った車が、
盗んだタクシーだっつーことは、
とりあえず置いといて(笑)。


ニーソンは銃の名手だし、
不死身だけど、
なんだかガタイが良すぎて、
私には、ドタドタ走り回っているように見えた(笑)。
でもいいの。
逆に、その感じで、
一生懸命さが伝わってきたから。


評価 ★★★☆☆

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「愛のイエントル」 [映画]

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〔1983年/アメリカ〕


20世紀初めのポーランド。
まだ女には学問など必要ないと言われていた時代。


イエントル(バーブラ・ストライザンド)は、
持前の好奇心と、学習意欲から、
学校で学びたいと強く望んでいたが、
周囲の人々からは、理解されない。


父親が亡くなったのを機に、
彼女は髪を切り、男装し、
神学校の試験を受け、合格する。


学友のアヴィドール(マンディ・パティンキン)とは、
互いに親友と呼び合うほど親しくなるが、
彼にも、自分が女だとは打ち明けられず、
イエントルの目の前で全裸になるなど、
アヴィドールがする、何気ない動作にも戸惑うばかり。


アヴィドールには、婚約者・ハダス(エイミー・アーヴィング)がいた。
彼はハダスを深く愛していたが、
ハダスに意志があるとは、想像した事もなさそうだ。
そして、イエントルは、
アヴィドールに恋している自分に気付く。


そんなある日、アヴィドールはハダスの父親から、
婚約解消を言い渡される。
彼の弟が自殺しているというのがその理由で、
誰にでも胸を張って紹介できる男を婿にほしいと、
なんと、イエントル目を付ける。


アヴィドールも、
イエントルとハダスの結婚に賛成し、
自分が女と言い出せないイエントル、
ハダスと結婚してしまう・・・。





なんだか、途中から、
テーマが変わってきてやしないか。


女なのに勉強意欲の強い主人公という設定だったから、
彼女が何かすごい研究でもして、
女の地位を上げてゆく物語かと思っていたら、
結局、愛だの恋だの、
そこかい!といった印象(笑)。
(いや、私は別に、愛だの恋だのが嫌いじゃないんで、
 イヤだというわけではないんだけど)


イエントルが勉強する場面は、
全体からすると、すんごく短い。
あとの殆どは、
アヴィドールに恋して悩む彼女と、
ハダスと結婚してしまって、
ベッドで困っている彼女の場面で(笑)。


そもそも、
ハダスの父親が、
娘の婿に、イエントルを選んだのも、
物凄く不自然。
アヴィドールは、弟が自殺したというだけで、
婚約解消させられるのに、
イエントルの身元は調べる事もしない。


彼女の事を調べれば、
それこそ、天地がひっくり返るくらいの事実があるというのに(笑)。


結婚を承諾するイエントルも変でしょう。
片思いの彼が深く愛する女を、
女だってのに、嫁に貰うかな。
アヴィドールの考えもよく分からない。
あんなにハダスを愛しているのに、
ハダスと親友が結婚するのを、
普通に見ているなんて。
私だったら、耐えられない。


この映画は、ストーリーなんて、
さして重要ではないのかもしれない。
なにせ、バーブラ・ストライザンドの歌声が素晴らしい。
ミュージカルといっても、
セリフが歌になっているのではなく、
バックでストライザンドの歌がかかるといった作り。


ストライザンドが、男のフリをして生活する場面は、
ちょっと楽しい。
池で一緒に泳ごうとアヴィドールから誘われた場面なんか、
ドキドキしちゃった(笑)。


今調べたら、
ストライザンドは、この映画で、
ラズベリー賞にノミネートされているのね。
「主演“男優”賞」で(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「群衆」 [映画]

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〔1941年/アメリカ〕


新聞社のオーナーが変わり、
大量リストラ対象の1人になってしまった
女性記者・バーバラ・スタンウィック。
母と妹を養っている彼女は、
給料が下がってもいいから、
会社に置いてほしいと懇願するが認められない。


最後のコラムを書くように命令された彼女は、
架空の男・ジョン・ドーからの投書を記事にする。
「この世の中の不条理に抗議し、
 クリスマスイブの夜、市庁舎から飛び降ります」、と。


ところが、その記事が大反響を呼び、
スタンウィックのリストラはなくなる。
問題は、存在しないジョン・ドーなる男をどうするかという事だ。
新聞社は、失業者を集めオーディションを行い、
ジョン・ドーに一番相応しい男として、
ゲイリー・クーパーを選出する。


最初は、熱意のなかったクーパーだが、
人々の強い支持を感じ、
ジョン・ドーになりきってゆく。
ジョン・ドーこそ、弱者の味方であると。


ところが、自分の存在が新聞社の社長の選挙に利用される事を知り、
怒った彼は、
全てを暴露すると息巻くが、
逆に新聞社から、
民衆の前で、彼が偽物である事を暴露される。
怒った人々は暴徒となり、
辺りは大変な騒ぎになってしまう。


クーパーを愛し始めていたスタンウィックは、
何とかしようとするが、
人間不信に陥ったクーパーの心は、
もう誰も信じられなくなっていた・・・。





マスコミに作り上げられた架空の男が、
民衆から持ち上げられ、
そして、突き落とされる、
辛い内容。


こんな事、現代だったら絶対許されないだろう。
新聞社が架空の人間を作り出して、
あたかも存在するかのように記事にしたら、
大問題になるだろう。
そもそも、その男が一度でもマスコミに顔を出したら、
過去の知り合いが出てくるだろうし。


ましてゲイリー・クーパーは、
マイナーとはいえ、元野球選手という設定だ。
全くの一般人ではない彼は、
今ならネットですぐ話題になるに違いない。


クーパーに心酔していた人々が、
彼が偽者だと知った途端、
手の平を返すように暴徒化した場面が怖ろしい。
新聞社は、自分たちに矛先が向かないように、
雇った人間を使って、
大声で、彼を責める言葉を叫ぶ。
すると周囲にいた人々は、
まるで洗脳されたかのように、
一緒になって彼を責め始めるのだ。


まぁそれは、現代でも、似たようなことがたまにあるけれど。
昨日まで時代の寵児だった人が、
ちょっとしたミスやスキャンダルで、
地に落とされるのは何度も見てきた。
「可愛さ余って憎さ百倍」といった所だろうか。


オーディションで彼を選んだのは、
他でもない、バーバラ・スタンウィックだ。
応募してきた失業者の中で、
誰よりもハンサムで人目を引いたのが彼だった。
私だって、ゲイリー・クーパーがいたら、
絶対彼を選ぶだろう(笑)。


その後、ポスターになった彼のハンサムな事ったらない。
あれがアメリカ大統領の選挙戦だったらと
思ったくらい。
もちろん、選挙は人気投票じゃないのは分かってるけど、
あんな大統領がいたら、演説の度にウットリしそう(笑)。
馬鹿だね、私も。


評価 ★★★☆☆

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「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」 [映画]

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〔2010年/日本〕


戦場カメラマンだった浅野忠信は、今夜も飲んでいる。
飲み屋で倒れるまで飲んで、
家に帰ってからまた飲む。
何やら幻覚が見える、
体調がおかしい、
そう思ったら、10回目の吐血をしていた。


悲鳴を上げた母が救急車を呼び、
離婚した元妻・永作博美が駆け付けてきた。
人気漫画家の妻は、
2人の子供を育ててくれている。
結婚している時は、
ずいぶん迷惑を掛けてきた。


そのまま入院する事になった浅野は、
断酒を宣言。
本気でアルコール依存症を治すと決意した彼は、
永作の知り合いの病院に通院し、
“飲むと酒が不味くなる”という薬の服用を始める。
けれど、そんな薬にも、
依存症を抑える力はなかった。


精神科のアルコール病棟に入院した彼は、
様々な患者と接するうちに、
心の安定を覚え、
回復してきたかに見えた。
しかし、彼の体の中には、
また別の病気が発症していたのだ・・・。





先日観た、「毎日かあさん」が、
漫画家・西原理恵子さんの視点で描かれた、
家族の物語なら、
こちらは、西原さんの元夫の鴨志田穣さんの視点で描かれた、
家族と、そしてアルコール依存症闘病記である。


両方とも、同じ時期の出来事を物語にしているので、
ちょっとした違いが面白い。
離婚したあとの夫は、母親と同居していたのね、とか、
夫の父も依存症だったんだ、とか、
知らなかった事も知ったし(笑)。
(原作通りかどうかは分からないけど)。
ただ、「毎日~」は、小泉今日子が頑張る「ママ物」だったのに対して、
こちらは結構シリアスだ。


私は、「毎日~」で、
“すんでの所で、妻の原稿に手を掛けなかった夫に涙が出た”と
書いたけれど、
この映画では、夫は妻の原稿を破っている。
そっか、やっぱり長い依存生活の間には、
そういう事もあったはずだよねと、
別の感慨が湧いてきた。


それより、
夫が、
妻の貞操を疑う発言し、
妻が激しく否定する場面が情けなかった。
ああなってしまったら、
「もういいよ、勝手にそう思ってなよ」と、
私だったら投げ出してしまいたくなりそうだ。


こちらの妻・永作博美は、
小泉今日子ほどの激しさはなく(笑)、
大きなバトルの場面はない。
子供たちも、「毎日~」の、はちゃめちゃな感じ比べれば
大人しい。
あくまでも主役は浅野で、
永作や子供は脇を固めているといった印象。


この映画の中では、彼が依存症になった原因に言及している場面もある。
明確ではないけど。
彼が医者に、
「戦場で沢山の死を見てきた」と言ったら、
「そこで生まれた人の方が、もっと辛い」みたいな事を言っていた。
それは本人も分かっているようで、
「死に接した際、泣いてしまって写真が撮れず、
 自分にこの仕事は向かないと思った」と語る場面もある。
やはり、そのような地に赴くのは、
余程の覚悟と、強いメンタルが必要なのだろう。


浅野忠信の、食べ物に対する執着が可愛い。
入院先の食事で、
他の患者がカレーなのに、
自分には煮物が出され、
キレそうになる場面とか(笑)。
分かる気もする。
退屈な病院生活、
楽しみは食べる事くらいだものね。
強烈なカレーの匂いを嗅ぎながら、
煮物だけなんて辛すぎる。
いくら、医者の指示とはいえ。


きっと原作は、そういった細かなエピソードが満載なのかと
想像する。
早く読みたい。


評価 ★★★☆☆

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「悪名一番勝負」 [映画]

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〔1969年/日本〕


朝吉(勝新太郎)は、
ある老舗の女経営者・おりん(江波杏子)に、
金を都合してほしいと頼まれ、
体を張って大金を作る。
おりんは、体で返すと言い横たわるが、
朝吉は手を付けずに出ていく。


3年後。
賭場で負けかかったいた朝吉は、
女賭博師に助けられたが、
その女こそ、3年前のおりんだった。


立ち退き問題で揺れている長屋の用心棒になった朝吉は、
住人の一人、お浜(安田道代)に惚れられ、
朝吉も満更ではなかったが、
そこへ、お浜の亭主・政吉(田村高廣)が出所し、
戻ってくる。


長屋を救う為、
ヤクザの親分大西(河津清三郎)の女になる事を決めたお浜だったが、
危ない所をおりんに救われる。


しかし、朝吉を慕う仙次(津川雅彦)が、
故意に車に撥ねられ、
川に投げ込まれる事件が起こるなど、
不穏な空気は濃くなるばかり・・・。





シリーズ15作目。
5年後にもう1作、「悪名縄張り荒し」という作品が作られたようだけれど、
それは大映ではなく、東宝が制作した、
1作目のリメイクという事なので、
これが最終話といっていいのだろう。


この作品の一番の特徴は、
前作まで勝新太郎と絶妙のコンビだった、
田宮二郎が出演していない事。
有名な話らしいけど、
別の映画、「不信のとき」に出演した田宮が、
ポスターの名前順に不満を唱えた事がきっかけで、
大映と揉め、
結局、退社したという。


「梅に鶯、松に鶴 朝吉には清次やで」と言いながら、
いつも朝吉の後ろを付いて回っていた、
清次がいないのは、やっぱり淋しい。


けれど、その代わりというわけでもないだろうが、
俳優陣がとっても豪華。
大映にしたら、
「お客さん、これで勘弁してくださいよ」って事なのだろうか(笑)。


特に、「兵隊やくざ」で勝新太郎と最高のコンビだった、
田村高廣の登場シーンは、
「おぉ!」という感じで、
モニターに近付いて観ちゃったよ(笑)。


「兵隊」ではインテリ役だった田村だけれど、
こちらは陰のあるヤクザ役で、
その暗い雰囲気が最高にいい。


しかも、勝新太郎と安田道代の仲を疑って、
最初はちょっと危ない雰囲気。
勝と田村が女の取り合いよ(笑)。
「兵隊」では考えられない話。
でも誤解はすぐに解けて、
勝と手を組むからホッとする。
映画の中とはいえ、2人は喧嘩なんかしてほしくないものね。


インテリといえば、
ヤクザの組の親分でありながら、
やくざ稼業ができないインテリの役を、
山本学が演じていて、
こちらもとても素敵だった。


今回、朝吉を慕う津川雅彦の役名が、仙次て(笑)。
清次と似せたつもりかもしれないけど、
あまりにも安易すぎでしょ(笑)。


評価 ★★★☆☆

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