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「群衆」 [映画]

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〔1941年/アメリカ〕


新聞社のオーナーが変わり、
大量リストラ対象の1人になってしまった
女性記者・バーバラ・スタンウィック。
母と妹を養っている彼女は、
給料が下がってもいいから、
会社に置いてほしいと懇願するが認められない。


最後のコラムを書くように命令された彼女は、
架空の男・ジョン・ドーからの投書を記事にする。
「この世の中の不条理に抗議し、
 クリスマスイブの夜、市庁舎から飛び降ります」、と。


ところが、その記事が大反響を呼び、
スタンウィックのリストラはなくなる。
問題は、存在しないジョン・ドーなる男をどうするかという事だ。
新聞社は、失業者を集めオーディションを行い、
ジョン・ドーに一番相応しい男として、
ゲイリー・クーパーを選出する。


最初は、熱意のなかったクーパーだが、
人々の強い支持を感じ、
ジョン・ドーになりきってゆく。
ジョン・ドーこそ、弱者の味方であると。


ところが、自分の存在が新聞社の社長の選挙に利用される事を知り、
怒った彼は、
全てを暴露すると息巻くが、
逆に新聞社から、
民衆の前で、彼が偽物である事を暴露される。
怒った人々は暴徒となり、
辺りは大変な騒ぎになってしまう。


クーパーを愛し始めていたスタンウィックは、
何とかしようとするが、
人間不信に陥ったクーパーの心は、
もう誰も信じられなくなっていた・・・。





マスコミに作り上げられた架空の男が、
民衆から持ち上げられ、
そして、突き落とされる、
辛い内容。


こんな事、現代だったら絶対許されないだろう。
新聞社が架空の人間を作り出して、
あたかも存在するかのように記事にしたら、
大問題になるだろう。
そもそも、その男が一度でもマスコミに顔を出したら、
過去の知り合いが出てくるだろうし。


ましてゲイリー・クーパーは、
マイナーとはいえ、元野球選手という設定だ。
全くの一般人ではない彼は、
今ならネットですぐ話題になるに違いない。


クーパーに心酔していた人々が、
彼が偽者だと知った途端、
手の平を返すように暴徒化した場面が怖ろしい。
新聞社は、自分たちに矛先が向かないように、
雇った人間を使って、
大声で、彼を責める言葉を叫ぶ。
すると周囲にいた人々は、
まるで洗脳されたかのように、
一緒になって彼を責め始めるのだ。


まぁそれは、現代でも、似たようなことがたまにあるけれど。
昨日まで時代の寵児だった人が、
ちょっとしたミスやスキャンダルで、
地に落とされるのは何度も見てきた。
「可愛さ余って憎さ百倍」といった所だろうか。


オーディションで彼を選んだのは、
他でもない、バーバラ・スタンウィックだ。
応募してきた失業者の中で、
誰よりもハンサムで人目を引いたのが彼だった。
私だって、ゲイリー・クーパーがいたら、
絶対彼を選ぶだろう(笑)。


その後、ポスターになった彼のハンサムな事ったらない。
あれがアメリカ大統領の選挙戦だったらと
思ったくらい。
もちろん、選挙は人気投票じゃないのは分かってるけど、
あんな大統領がいたら、演説の度にウットリしそう(笑)。
馬鹿だね、私も。


評価 ★★★☆☆

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コメント 2

yonta*

1928年の「群衆」は観たことがあって、こちらの作品は
キャプラがリメイクしたものだと勝手に思っていたのですが、
(未見なので内容は知りませんでした・・^_^;)
また別の映画のようですね。
それぞれタイトルに別の意味が込められていそうなので、
とても興味がわきました。ゲイリー・クーパー、ハンサムですし(^^)
by yonta* (2013-01-20 10:47) 

青山実花

yonta*さん
コメントありがとうございます。

私もこの映画を観終わった後、
ネットで調べていたら、同名の古い映画がある事を知りました。
粗筋を読んでみましたが、
全く別の映画のようですね。
yonta*さんと私とで、
お互い、別の「群衆」を観てみたいですね^^

こちらの「群衆」は、
「オペラハット」にも通じるものがあると思います。
機会がありましたら、ぜひご覧になってみて下さい。
目の保養にもなりますし(笑)。

by 青山実花 (2013-01-21 22:52) 

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