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「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」 [映画]

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〔2010年/日本〕


戦場カメラマンだった浅野忠信は、今夜も飲んでいる。
飲み屋で倒れるまで飲んで、
家に帰ってからまた飲む。
何やら幻覚が見える、
体調がおかしい、
そう思ったら、10回目の吐血をしていた。


悲鳴を上げた母が救急車を呼び、
離婚した元妻・永作博美が駆け付けてきた。
人気漫画家の妻は、
2人の子供を育ててくれている。
結婚している時は、
ずいぶん迷惑を掛けてきた。


そのまま入院する事になった浅野は、
断酒を宣言。
本気でアルコール依存症を治すと決意した彼は、
永作の知り合いの病院に通院し、
“飲むと酒が不味くなる”という薬の服用を始める。
けれど、そんな薬にも、
依存症を抑える力はなかった。


精神科のアルコール病棟に入院した彼は、
様々な患者と接するうちに、
心の安定を覚え、
回復してきたかに見えた。
しかし、彼の体の中には、
また別の病気が発症していたのだ・・・。





先日観た、「毎日かあさん」が、
漫画家・西原理恵子さんの視点で描かれた、
家族の物語なら、
こちらは、西原さんの元夫の鴨志田穣さんの視点で描かれた、
家族と、そしてアルコール依存症闘病記である。


両方とも、同じ時期の出来事を物語にしているので、
ちょっとした違いが面白い。
離婚したあとの夫は、母親と同居していたのね、とか、
夫の父も依存症だったんだ、とか、
知らなかった事も知ったし(笑)。
(原作通りかどうかは分からないけど)。
ただ、「毎日~」は、小泉今日子が頑張る「ママ物」だったのに対して、
こちらは結構シリアスだ。


私は、「毎日~」で、
“すんでの所で、妻の原稿に手を掛けなかった夫に涙が出た”と
書いたけれど、
この映画では、夫は妻の原稿を破っている。
そっか、やっぱり長い依存生活の間には、
そういう事もあったはずだよねと、
別の感慨が湧いてきた。


それより、
夫が、
妻の貞操を疑う発言し、
妻が激しく否定する場面が情けなかった。
ああなってしまったら、
「もういいよ、勝手にそう思ってなよ」と、
私だったら投げ出してしまいたくなりそうだ。


こちらの妻・永作博美は、
小泉今日子ほどの激しさはなく(笑)、
大きなバトルの場面はない。
子供たちも、「毎日~」の、はちゃめちゃな感じ比べれば
大人しい。
あくまでも主役は浅野で、
永作や子供は脇を固めているといった印象。


この映画の中では、彼が依存症になった原因に言及している場面もある。
明確ではないけど。
彼が医者に、
「戦場で沢山の死を見てきた」と言ったら、
「そこで生まれた人の方が、もっと辛い」みたいな事を言っていた。
それは本人も分かっているようで、
「死に接した際、泣いてしまって写真が撮れず、
 自分にこの仕事は向かないと思った」と語る場面もある。
やはり、そのような地に赴くのは、
余程の覚悟と、強いメンタルが必要なのだろう。


浅野忠信の、食べ物に対する執着が可愛い。
入院先の食事で、
他の患者がカレーなのに、
自分には煮物が出され、
キレそうになる場面とか(笑)。
分かる気もする。
退屈な病院生活、
楽しみは食べる事くらいだものね。
強烈なカレーの匂いを嗅ぎながら、
煮物だけなんて辛すぎる。
いくら、医者の指示とはいえ。


きっと原作は、そういった細かなエピソードが満載なのかと
想像する。
早く読みたい。


評価 ★★★☆☆

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