「悪名一番勝負」 [映画]
〔1969年/日本〕
朝吉(勝新太郎)は、
ある老舗の女経営者・おりん(江波杏子)に、
金を都合してほしいと頼まれ、
体を張って大金を作る。
おりんは、体で返すと言い横たわるが、
朝吉は手を付けずに出ていく。
3年後。
賭場で負けかかったいた朝吉は、
女賭博師に助けられたが、
その女こそ、3年前のおりんだった。
立ち退き問題で揺れている長屋の用心棒になった朝吉は、
住人の一人、お浜(安田道代)に惚れられ、
朝吉も満更ではなかったが、
そこへ、お浜の亭主・政吉(田村高廣)が出所し、
戻ってくる。
長屋を救う為、
ヤクザの親分大西(河津清三郎)の女になる事を決めたお浜だったが、
危ない所をおりんに救われる。
しかし、朝吉を慕う仙次(津川雅彦)が、
故意に車に撥ねられ、
川に投げ込まれる事件が起こるなど、
不穏な空気は濃くなるばかり・・・。
シリーズ15作目。
5年後にもう1作、「悪名縄張り荒し」という作品が作られたようだけれど、
それは大映ではなく、東宝が制作した、
1作目のリメイクという事なので、
これが最終話といっていいのだろう。
この作品の一番の特徴は、
前作まで勝新太郎と絶妙のコンビだった、
田宮二郎が出演していない事。
有名な話らしいけど、
別の映画、「不信のとき」に出演した田宮が、
ポスターの名前順に不満を唱えた事がきっかけで、
大映と揉め、
結局、退社したという。
「梅に鶯、松に鶴 朝吉には清次やで」と言いながら、
いつも朝吉の後ろを付いて回っていた、
清次がいないのは、やっぱり淋しい。
けれど、その代わりというわけでもないだろうが、
俳優陣がとっても豪華。
大映にしたら、
「お客さん、これで勘弁してくださいよ」って事なのだろうか(笑)。
特に、「兵隊やくざ」で勝新太郎と最高のコンビだった、
田村高廣の登場シーンは、
「おぉ!」という感じで、
モニターに近付いて観ちゃったよ(笑)。
「兵隊」ではインテリ役だった田村だけれど、
こちらは陰のあるヤクザ役で、
その暗い雰囲気が最高にいい。
しかも、勝新太郎と安田道代の仲を疑って、
最初はちょっと危ない雰囲気。
勝と田村が女の取り合いよ(笑)。
「兵隊」では考えられない話。
でも誤解はすぐに解けて、
勝と手を組むからホッとする。
映画の中とはいえ、2人は喧嘩なんかしてほしくないものね。
インテリといえば、
ヤクザの組の親分でありながら、
やくざ稼業ができないインテリの役を、
山本学が演じていて、
こちらもとても素敵だった。
今回、朝吉を慕う津川雅彦の役名が、仙次て(笑)。
清次と似せたつもりかもしれないけど、
あまりにも安易すぎでしょ(笑)。
評価 ★★★☆☆
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