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「ロミオとジュリエット」 [映画]

romeotojulietLaurenceHarvey.jpg
〔1954年/イギリス〕


イタリア・ヴェロナの街の、
モンタギュー家とキャピュレット家は、
昔から敵対し、憎みあってきた。


そんな中、モンタギュー家の息子・ロミオ(ローレンス・ハーヴェイ)は、
キャピュレット家の舞踏会に忍び込む。
それは名目上は、普通のパーティだったが、
キャピュレット家の一人娘・ジュリエット( スーザン・シェントール)と、
婿候補である男との顔合わせの会でもあった。


ところが、パーティで初めて顔を合わせた
ロミオとジュリエットは、お互いに一目惚れしてしまう。
パーティのあと、ロミオはジュリエットの窓辺に近付くと、
ジュリエットが一人つぶやいているのが聞こえた。
「ロミオ、あなたはなぜにロミオなの」と。


バルコニー越しに愛を確認し合った2人は、
教会に行き、
内緒で結婚式を挙げる。


ところが広場でキャピュレット家の若者と行きあったロミオは、
挑発され、相手を殺してしまい、
街を追放される事になってしまう。


失意の2人だったが、
そんな事を知らないジュリエットの父は、
縁談を無理矢理進めようとする。


ジュリエットの気持ちを知っている神父は、
彼女にある方法を教えるのだが・・・。





「ロミオとジュリエット」の映画といえば、
オリビア・ハッセーか、ディカプリオを作品を思い出すかたが
殆どであろうし、私もそうだった。


けれど、それ以外にも、何本も映画化作品があるようで、
これもその一つ。
ヴェネツィア映画祭で金獅子賞を受賞しているそうだ。


特に無駄な脚色の加えられていない、
スタンダードな「ロミオとジュリエット」という気がした。
憎みあう両家に、
愛し合う2人。
バルコニーでの有名なセリフもそのままに、
よく知っている物語が進行する。


これは原作通りなのかは分からないけれど、
ロミオは最初、
別の女に、激しい片思いをしてるんだよね。
(オリビア・ハッセー版でもそうだった)
キャピュレット家のパーティに忍び込んだもの、
招待されている彼女に会いたい一心からで。


けれど、ジュリエットを一目見た途端、
恋に落ちてしまう。
ものすごく早い、その心変わりっぷりに驚く(笑)。
仲間たちも、そんな事になっているとは知らず、
ロミオがジュリエットと出会った後も、
片思いの彼女の事で、ロミオをからかう場面さえある。


ジュリエット一筋だと思って観ている人は、
最初、混乱する気がする。
ロミオって実は結構いい加減(笑)。


憎み合う、モンタギュー家とキャピュレット家だけれど、
それぞれの家の血縁者だけでなく、
使用人たちまでが、互いを嫌っているように見えた。


なんで関係ない人まで、そんな気持ちになってしまうのか。
それって、国と国同士の遺恨にも通じるものがある。
直接の害を受けたわけでもない人でも、
周囲の騒ぎや、そのような教育のせいで、
あたかも自分にまで累が及んでいるような気持ちになって、
憎しみの心を募らせる、って。


憎しみの心を根絶するには、
大人たちがそれを自分たちの代で終わらせようという
意識が大切だと思うんだけど、
まぁ、そんな意識が元々無ければ、
歩み寄りなんて無理というものだね。


評価 ★★★☆☆

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「リーピング」 [映画]

reaping.jpg
〔2007年/アメリカ〕


大学教授のヒラリー・スワンクは、
全ての事象は科学で証明できるという考えのもと、
迷信や奇跡の原因を突き止めてきた。


実は彼女は、
聖職者だった過去があった。
しかし、スーダンで奉仕活動をしている最中、
娘を殺され、
信仰を捨てたのだ。


ある日、彼女の所に、
ルイジアナ州の田舎町で起こっている
不可解な出来事の理由を解明してほしいとの依頼が来る。
助手のイドリス・エルバを伴い、
現地へ出掛けた彼女が、
最初に見たのは、
血のように真っ赤に染まった川と、
大量に浮かんでいる魚だった。


それ以降、次々と不気味な出来事が彼女に起こる。
町の人々は、
それを、一人の少女・アナソフィア・ロブの仕業だと思い込み、
ロブを殺そうと立ち上がる・・・。





ヒラリー・スワンク主演のホラー。


スワンクといえば、なんとなく男っぽいイメージを
持っていたけれど、
この映画は、とても綺麗で、
森を駆け回る姿も、なんだか女らしい。
スタイルも良くて、羨ましい(笑)。


聖書やサタンというものに馴染みがないので、
「十の災い」と言われて、
知識がないのが残念。
キリスト教をもっと知っていれば、
より楽しめるのだろうけど。


血のように真っ赤に染まった川というのが凄い。
変な言い方だけど、「CG技術があって良かった」と思ってしまった。
CGの無い時代に、あんな川を表現しようとしたら、
それこそ大変な事になる。


もし日本で、川が真っ赤に染まるような事が起こったら、
まず行政が動く気がするんだけど、
広いアメリカの、奥深い田舎町の、
さらに森の中の事象だったら、
気付かれなくて当然かと思い直した。


クライマックスで、
ある生物が大量に現れて人々に襲いかかるのだけれど、
その場面は、見応えがあって好き(なのか?(笑))。
単体なら別に怖くない生き物でも、
一定以上の数が現れると不気味になるというのは、
どういう心理なんだろう。


オチは、ホラーなんだけど、
「え!あの人が!?」的な場面もあって、
なんだか気持ち悪かった。
やっぱり一番不気味なのは、
怪現象ではなく、人間だ(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「スノーホワイト」 [映画]

snowwhite.jpg
〔1997年/アメリカ〕


母が妊娠中、
馬車の事故に遭い死亡、
その死の直前、
腹を裂き、腹の中の子を取り上げた男爵の父(サム・ニール)。
その娘はリリーと名付けられる。


父親に大切に育てられたリリー(モニカ・キーナ)は、
美しい娘に成長する。
ところが、ある日、
父は新しい妻クラウディア(シガニー・ウィーバー)を娶る。


クラウディアは、嫁入り道具として、
様々な調度品を持ち込むが、
大きな鏡台には何か秘密がありそうだ。


クラウディアは妊娠するが、
あるパーティの夜、
亡き母のドレスを着て現れたリリーの美しさに、
皆の注目が集まり、
ショックを受けたクラウディアは倒れ、
死産してしまう。


クラウディアは、自分の弟にリリーを殺すように命じるが、
リリーは森へと逃げ、
そこで7人の放浪者たちと出会う・・・。





今年はなぜか、
「白雪姫」の映画が2本も公開されたが、
どちらも残念な事に、時間が合わず未見のまま。


だからというわけではないけれど、
15年前の、シガニー・ウィーバー版の方を観てみた。


子供向け絵本での白雪姫は、
完全なる無垢で、
継母は悪として描かれているのであろうが、
こちらはそうでもない。


そもそも、継母クラウディアは輿入れして来たばかりの頃は、
リリーに歩み寄ろうとしている。
しかし、リリーの方がそれを受け入れない部分がある。
クラウディアばかりを悪者にするのは可哀想だ。


7人の小人も、全然違う。
私が絵本で読んだ小人たちは、
親切で、白雪姫には大変に良くしてくれる、
善人の集団だけれど、
こちらは、野卑な浮浪者軍団。


しかも、白雪姫を陵辱しようとまでする。
まぁ、そちらの方が、
現実にはありそうな話だけれど。
人里離れた森で、
集団生活をしている男たちの中に、
女の子が1人入っていったら、
そりゃあ、普通に考えて危険であろう。


白雪姫の映像化って、
難しいな。
どんな女優が白雪姫を演じても、
「世界一というほど美しいか?」という突っ込みが
必ず入るだろうし、
人の好みはそれぞれだし。
この映画も、別に普通であった(色んな意味で(笑))。


評価 ★★★☆☆

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「鍵泥棒のメソッド」 [映画]

kagidorobounomethod.jpg
〔2012年/日本〕


出版社で編集長を務める水嶋香苗(広末涼子)34歳は、
ある日、突然、職場で結婚宣言。
部下たちは祝福するが、
なんと、相手はこれから探すとの事で、
皆を唖然とさせる。


売れない役者・桜井武史(堺雅人)は一文無し。
散らかった古アパートの自室で、
自殺を試みるも失敗。
その後、銭湯に出掛ける。


殺し屋・コンドウ(香川照之)は、
一仕事終えたあと、
通りすがりの銭湯に入る。
ところが、石鹸を踏んで頭を強打、
気を失ってしまう。


その場に居合わせた桜井は、
咄嗟に、自分とコンドウのロッカーの鍵を交換してしまう。
コンドウの財布には大金が入っており、
その金で、友人たちへの借金を返しまくる。


頭を打ったせいで、記憶を無くしてしまったコンドウは、
ロッカーに入っていた荷物から、
自分を桜井武史だと思い込む。


アパートに帰ろうとするが、
道が分からず、
偶然、病院の前で出会った水嶋に、
車で送ってもらう事になる。


この3人が織り成す、愉快(?)な物語は・・・。





内田けんじ監督の最新作。
やっぱり外していない。
メインの3人も、
その他の俳優さんも、
いい作品を作ろうという意気込みが見える気がする。


まず、堺雅人と香川照之の対比が素晴らしい。
よく、映画で、
ダブル主演の2人が入れ替わっても成り立ちそうな作品もあるが、
これはもう、役を入れ替える事は考えられない。
それほど、2人はイメージそのままの役をやってくれちゃってる(笑)。


まず、服装から笑える。
自分を桜井だと思い込んだコンドウが、
桜井のアパートに帰って、
桜井が普段着ている服を着るのだけれど、
これが、もう、似合わないのなんのって(笑)。
堺雅人が私生活で着ていそうな、
ユルいパーカーやジーンズが、
香川照之に、これほど合わないとは思わなかった(笑)。


コンドウは、尋常でないくらいの几帳面な男で、
何をするにも、ノートに綿密な計画を立ててゆく。
それは記憶を無くしても変わらず、
自分は役者だったらしい事から、
演技の計画を練ったり、
図書館で本を借りてきて、勉強する。


その時のノートの文字がまた、
めっちゃキッチリしていて、
物凄く綺麗で、達筆。
あれって、香川自身の文字なのだろうか。
エンドロールで、「ペン字指導」みたいな事が書いてあったんだけど、
どうなんだろう。


逆に、堺の文字は、
ユルーい丸文字で、これも彼のイメージ通り。
しかも、殺し屋のフリをしても、
いつもの、笑ってるんだか泣いてるんだか分からない、
あの半笑いな顔が、
迫力ないったらありゃしない(笑)。


今回、一番感心したのは、意外にも広末涼子。
正直に書いてしまうと、
今まで私は、彼女の演技には辟易していたのだ。
例えば、「おくりびと」の時の舌ったらずなセリフ回しは、
映画全体の雰囲気を1人でぶち壊していたし、
他の映画でも、何を観ても、
「私は今、広末涼子を観ているんだ」という意識から、
抜け出せなかった。


それが今回!
彼女はとても自然で、
「広末涼子を観ている」という意識は、
頭に全く浮かんでこなかった。
30歳を過ぎた、婚活に精を出す、
ちょっと変わってて、でも可愛い女を、
見事に演じていた。


アイドル女優より、
中堅と言われる年齢になった今の方が、
ずっと輝く人なのかもしれない。
なんだか楽しみになってきた。


評価 ★★★★☆

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「約三十の嘘」 [映画]

yakusanjunouso.jpg
〔2004年/日本〕


椎名桔平。
中谷美紀。
妻夫木聡。
田辺誠一。
八嶋智人。
5人が、大阪から北海道へ向かう、
豪華寝台特急に乗り込む。


5人は詐欺師。
八嶋以外の4人は、
3年前までチームを組んで、金を儲けてきた。
あの事件が起こるまでは。


途中駅で、田辺が巨乳の若い女・伴杏里を連れてきて、
皆が驚く。
そう、彼女こそ、3年前、グループを崩壊させた張本人なのだ。
彼女は、儲けた金をメンバーの男と一緒に持ち逃げしたのだった。


しかし、3年ぶりに会った伴は、
涙ながらに謝り、仲間に入れてほしいと言う。
男たちは、その可愛さと大きな胸にやられてしまうが、
中谷だけは彼女に辛く当たる。
しかし、仲間に入れないわけにはいかない雰囲気だ。


北海道で、ニセ羽毛布団を売り上げた彼らは、
7千万円の札束が入ったバッグを持って、
意気揚々と帰路につく。
ところが、そのバッグが消えてしまう。
バッグを盗んだのは誰なのか。
列車という密室の、どこへ隠したのか・・・。





ほぼ全編、高級寝台車の中が舞台の、
密室ミステリー。
元々は舞台劇で、それを映画化したそうだ。


八嶋智人がこのチーム初参加という設定で、
古参の4人が、
八嶋に、メンバーのキャラ紹介や、
過去の出来事を話す事で、
観客も状況を理解してゆくという作り。


全員がキャラ立っていて、
最初はなかなか面白い。
それぞれが演技でなく、
私生活でも、こんな喋り方してそうって感じのハマり方で、
違和感なく観ていられる。


中谷美紀の、伴杏里に対する感情が、
女には分かり易くて、面白い。
もちろん、過去に伴から裏切られたというのが、
彼女を拒否する一番の理由であるが、
なんとも可愛い子ぶった伴の、
実は腹黒い様子が、
中谷には透けて見えるんだよね(笑)。


美しさだけでいえば、
中谷の方がずっと綺麗なんだけど、
男たちは、伴が若くて巨乳というだけで、
チヤホヤが止まらない。
「なんで分からないの?これだから男って」と言いたげな、
中谷のイライラが、
こちらまで伝わってくるようだ。


それだけに、
後半の失速が惜しい気がする。
なんだか簡単に金の行方が分かってしまうし、
動機もよく分からない。
まぁ、大金を目の当りにして、
動機も何も無いんだろうけど(笑)。


羽毛布団って、そんなに儲かるものなのだろうか。
7千万円って、尋常な額じゃないよね。
二束三文で仕入れた「普通の布団」を、
「高級羽毛布団」として売るには、
相当な詐欺能力が必要そうだけど、
慣れてる人には、どうって事ないのかな(笑)。


それから、あの、豪華寝台特急。
鉄道には詳しくないけれど、
あれって、本当に存在する列車なのだろうか。
ホテルのような個室があって、
すんごく綺麗で、列車じゃないみたい。
めっちゃ乗ってみたくなった。


評価 ★★★☆☆

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