SSブログ

「鍵泥棒のメソッド」 [映画]

kagidorobounomethod.jpg
〔2012年/日本〕


出版社で編集長を務める水嶋香苗(広末涼子)34歳は、
ある日、突然、職場で結婚宣言。
部下たちは祝福するが、
なんと、相手はこれから探すとの事で、
皆を唖然とさせる。


売れない役者・桜井武史(堺雅人)は一文無し。
散らかった古アパートの自室で、
自殺を試みるも失敗。
その後、銭湯に出掛ける。


殺し屋・コンドウ(香川照之)は、
一仕事終えたあと、
通りすがりの銭湯に入る。
ところが、石鹸を踏んで頭を強打、
気を失ってしまう。


その場に居合わせた桜井は、
咄嗟に、自分とコンドウのロッカーの鍵を交換してしまう。
コンドウの財布には大金が入っており、
その金で、友人たちへの借金を返しまくる。


頭を打ったせいで、記憶を無くしてしまったコンドウは、
ロッカーに入っていた荷物から、
自分を桜井武史だと思い込む。


アパートに帰ろうとするが、
道が分からず、
偶然、病院の前で出会った水嶋に、
車で送ってもらう事になる。


この3人が織り成す、愉快(?)な物語は・・・。





内田けんじ監督の最新作。
やっぱり外していない。
メインの3人も、
その他の俳優さんも、
いい作品を作ろうという意気込みが見える気がする。


まず、堺雅人と香川照之の対比が素晴らしい。
よく、映画で、
ダブル主演の2人が入れ替わっても成り立ちそうな作品もあるが、
これはもう、役を入れ替える事は考えられない。
それほど、2人はイメージそのままの役をやってくれちゃってる(笑)。


まず、服装から笑える。
自分を桜井だと思い込んだコンドウが、
桜井のアパートに帰って、
桜井が普段着ている服を着るのだけれど、
これが、もう、似合わないのなんのって(笑)。
堺雅人が私生活で着ていそうな、
ユルいパーカーやジーンズが、
香川照之に、これほど合わないとは思わなかった(笑)。


コンドウは、尋常でないくらいの几帳面な男で、
何をするにも、ノートに綿密な計画を立ててゆく。
それは記憶を無くしても変わらず、
自分は役者だったらしい事から、
演技の計画を練ったり、
図書館で本を借りてきて、勉強する。


その時のノートの文字がまた、
めっちゃキッチリしていて、
物凄く綺麗で、達筆。
あれって、香川自身の文字なのだろうか。
エンドロールで、「ペン字指導」みたいな事が書いてあったんだけど、
どうなんだろう。


逆に、堺の文字は、
ユルーい丸文字で、これも彼のイメージ通り。
しかも、殺し屋のフリをしても、
いつもの、笑ってるんだか泣いてるんだか分からない、
あの半笑いな顔が、
迫力ないったらありゃしない(笑)。


今回、一番感心したのは、意外にも広末涼子。
正直に書いてしまうと、
今まで私は、彼女の演技には辟易していたのだ。
例えば、「おくりびと」の時の舌ったらずなセリフ回しは、
映画全体の雰囲気を1人でぶち壊していたし、
他の映画でも、何を観ても、
「私は今、広末涼子を観ているんだ」という意識から、
抜け出せなかった。


それが今回!
彼女はとても自然で、
「広末涼子を観ている」という意識は、
頭に全く浮かんでこなかった。
30歳を過ぎた、婚活に精を出す、
ちょっと変わってて、でも可愛い女を、
見事に演じていた。


アイドル女優より、
中堅と言われる年齢になった今の方が、
ずっと輝く人なのかもしれない。
なんだか楽しみになってきた。


評価 ★★★★☆

nice!(18)  コメント(4)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画