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「ウェイトレス おいしい人生のつくりかた」 [映画]

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〔2007年/アメリカ〕


アメリカ南部の田舎町。
小さなレストランでウェイトレスをするケリー・ラッセルは、
パイ作りの天才。
店には彼女の創作したパイでいっぱい。
ケリーの頭の中も、明日作るパイの事でいっぱい。


けれど、現実の彼女の生活は、幸せではなかった。
彼女の夫・ジェレミー・シストは最悪の暴君で、
彼女の稼ぎを取り上げ、
彼女が逃げないようにと車を与えず、
毎日の送り迎えを自分がしている。


ある日、ラッセルは自分の妊娠に気付く。
夫とは関係しないように気を付けていたのに、
酒を飲まされた夜にできた子らしい。


普通の女のように妊娠を喜べないラッセル。
診察の為、病院に行くと、
そこで、着任したばかりの婦人科医・ネイサン・フィリオンと知り合う。


互いに強く惹かれあうラッセルとフィリオン。
しかし、2人は既婚者なのだ。
彼らはどうなるのか。
そして、お腹の赤ちゃんは・・・。





不幸な結婚生活を送る女の夢物語かと思ったけれど、
ご都合主義に走らず、
それなりに納得できるラストなのが良かった。


ケリー・ラッセルはとてもクールで、
暴君の夫を、結構手懐けて暮らしている。
彼女は夫の怒りのスイッチの入り場所を知っていて、
そこを上手く避けて生きているようだ。


しかし、それが生活の知恵なのか、
神経が麻痺してしまっているのかは微妙だ。
あんな男といれば、誰だって変になる。


しっかし、ジェレミー・シストのような男って、
あれで自分が嬉しいのかと不思議になるよ。
ラッセルに、「愛してると言え」みたいに強要するけど、
彼女が自分を愛していない事は明白じゃないか。
そんな関係で楽しいんかい、
それとも、本気で愛されてると思い込んでるアホなのか。


ラッセルには、一緒に働く女性たち、
シェリル・ハインズとエイドリアン・シェリーがいるのだけれど、
彼女たちの関係が中々面白い。
お互いに言いたい事を言い合うけれど、
仲良しで、
互いの恋愛や生活を応援している。
観ていて、楽しい。


ただ、ハインズとシェリーの決まり文句がキツい。
「私たちも幸せとは言えないけど、ラッセルの人生は真っ平ごめん」だと。
ラッセルは、その言葉を気にしている風ではないけれど、
他人からの、
「あの人のような境遇には絶対なりたくない」って言葉は、
最悪の貶し文句だって、初めて気付いた気がする。


出てくるパイが、どれもこれも美味しそうで、
全部を食べてみたくなる。


評価 ★★★☆☆