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「マルコ・ポーロの冒険」 [映画]

MarcoPolonobouken.jpg
〔1938年/アメリカ〕


ベニスで貿易商をしているニコラス・ポーロは、
東の果ての中国という国に行けば、
金や象牙がいくらでも手に入ると知り、
息子・マルコ・ポーロ(ゲイリー・クーパー)を、
かの地へ行かせる事にする。


マルコは冒険心に溢れ、闊達で、運が強く、
おまけにハンサムだ。
必ず成功して戻ってくると、ニコラスは言う。


様々な苦難を乗り越え、中国にたどり着いたマルコは、
皇帝フビライ・ハンに謁見する。
ハンは善人だったが、
家来で悪人のアーメッドに洗脳され、
彼の言いなりになっていた。


マルコは皇帝の邸宅の庭で、
皇帝の娘・クチカン姫(シグリッド・ギュリー)と出会い、
その美しさに驚く。
クチカン姫も、マルコのハンサムぶりに惹かれるが、
彼女には、生まれた時から、
ペルシャの国王と結婚することになっていた。


マルコとクチカン姫が惹かれあっている事に
気付いたアーメッドは、
マルコを、皇帝と敵対するカイドゥの元へ、
スパイとして派遣させてしまう。


さらに、皇帝を日本に攻め込ませ、
この間に、自分が皇帝になろうと、
画策を巡らしていた・・・。





くだらなかった(笑)。


マルコ・ポーロといえば、
「東方見聞録」の中で、
日本を、「黄金の国ジパング」と紹介していたという知識から、
日本にやって来る場面があるのかと思っていたのだけれど、
そのような事もなく、映画は終わった(笑)。


しかも演じているのはゲイリー・クーパー。
こんなハンサムが、
1200年代に日本に来ていたと想像すると、
なんだかお伽話みたいと思っていたのに。
(それは私の勝手だけど)


クーパーが中国に着いて、
最初に食べる、麺のようなお料理。
中国人は、「これはスパゲットという、中国の名物だ」みたいな事を言う。
そこからもう混乱。
それがスパゲティの事だとしたら、
それって、イタリアの食べ物なんじゃ?
イタリアは、マルコ・ポーロの出身地じゃないか。
けれど彼は、それをとても珍しそうに食べている。
(今、気になってウィキペディアで調べてみたら、
 本当にパスタは、マルコ・ポーロが中国から持ち帰ったという説があるそうだ。
 ただし、史実に基づかない俗説だとの事)


イタリア人も、中国人も、
全て英語で会話している、
それは仕方ないとしても、
中国の皇帝の娘を白人が演じているのが笑える。
(DVDの写真通り)


他にも、中国人設定の白人が沢山出てくる。
想像だけど、
この映画が作られた1930年頃は、
まだ東洋人の俳優さんは少なかったのかもしれない。
背に腹は代えられないってやつか。


これもウィキペディアで知ったのだけれど、
マルコ・ポーロって、
実際には日本には来ていないのね。
ちょっとビックリ。
それって、私が物知らずなだけで、
世間の皆さんは当たり前に知っている事なのだろうか。
なんか気になる。


評価 ★★★☆☆

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「アウトロー」 [映画]

outlaw.jpg
〔2012年/アメリカ〕


ピッツバーグの平和な公園で、
5人の市民がライフルで無差別に撃ち殺される。
発砲現場は近くの立体駐車場。
そして、現場に残された様々な証拠から、
元軍人のジェームズ・バー(ジョセフ・シコラ)が逮捕される。


しかしバーは何も話さず、
ただ一つ、ジャック・リーチャー(トム・クルーズ)という男を
呼んでほしいと要求。


ところがバーは、その後、
護送車の中で、他の囚人たちからリンチを受け、
意識の重体となってしまう。


そんな中、リーチャーが現れる。
彼は元陸軍の兵隊で、
車の免許も、ケータイも、カードも持たないという流れ者。
リーチャーは女弁護士・ヘレン(ロザムンド・パイク)と組んで、
事件を調べ始める。


バーが残した証拠を検証していくうちに、
彼の無罪を確信するリーチャー。
バーはなぜ犯人に仕立て上げられたのか。
そして真犯人は・・・。





トム・クルーズが流れ者か(笑)。
流れ者って言われてもなぁ、
こんな現代、そんな設定が通用するのかどうか。


映画自体はつまらなくはなかった。
ただ、時が経てば、
数ある犯罪アクションものの一本になってしまいそうな
気はする。


話の本筋とは全然違う所で、
ちょっと泣きそうになった。
それは5人の被害者たちの私生活。


リーチャーに指示され、
被害者たちの、生前の様子を調べ始めたヘレンは、
彼らの幸せな日常を知る事になる。
どの人も、みんな善良で、
何の罪もなく、
殺されるには惜しい人物ばかり。
そして、その死を嘆き悲しんでいる家族がいる。


ありきたりな表現だけど、
愛する人を突然失った家族の悲しみは、
想像を絶するとしか言いようがなく、
観ていて辛かった。


それから、こういった話の真相って、
いつも似たようなパターンな気がして、
もう飽きた。


それなら、
リーチャーが例えとして示した、
「被害者同士が不倫関係だったら」とか、
(あくまでも、そういう可能性もゼロではないという、
 リーチャーの進言です)
そんなお話の方が、わたし的にはウケる。
(私だけ?(笑))


まぁ、それじゃ、
話に重みが出ないしね。
今までのパターンを踏襲するしかないんだろうけど。


評価 ★★★☆☆

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「レクイエム・フォー・ドリーム」 [映画]

requiemfordream.jpg
〔2000年/アメリカ〕


未亡人・エレン・バースティンは、
テレビを見て、気を紛らわす孤独な日々。
しかも時々、そのテレビを
放蕩息子・ジャレッド・レトが古道具屋に売り飛ばしてしまい、
また買い戻す事を繰り返している。


ある日、バースティンはテレビ局からの電話を受ける。
いつも見ている大好きなクイズ番組に出演しないかと言うのだ。
大喜びした彼女は、
レトの卒業式で着た古いワンピースを取り出すが、
太ってしまったようで、ファスナーが閉まらない。
ダイエットするしかない。
そう決意した彼女は、近所の主婦から怪しげな医者を紹介される。


一方、レトは、
恋人・ジェニファー・コネリーとの生活を成り立たせる為、
金を稼ぐ必要から、
麻薬の売買を始める。
友人・マーロン・ウェイアンズと、
麻薬を仕入れるが、
元々ジャンキーだった彼は、
自分にもその麻薬を用い、
強い中毒患者となってゆく。


バースティンは、医者から痩せ薬を処方された、
4種類に色分けされた薬を、
1日4回、1錠づつ飲み始める。
効果はすぐ表れ、体重は減ってゆく。
近所の主婦たちは、
テレビ主演が決まった自分が羨ましそうだ。
なんだか注目されているようで嬉しい・・・。


麻薬を仕入れる為、
マイアミで出掛けるレトとウェイアンズ。
しかし途中で、レトの腕を見たウェイアンズは
悲鳴を上げる。


また、留守番のコネリーは麻薬が切れ、
禁断症状に苦しみながら、
体を売る為に、出掛けてゆく・・・。





凄い、とは聞いていたけれど、
本当に凄かった。


薬物を恐ろしさを描いた映画は沢山あるけれど、
その中でもかなりくる。
中学校は、このDVDを全生徒に見せるよう、
義務付けたらいいんじゃない?(笑)。
刺激が強すぎるけど、
それくらい印象に残った方が効果がありそうだ。


薬物中毒の映画の殆どは、
大抵は登場人物たちの自業自得と言おうか、
「手を出したのは自分でしょ」と言いたくなる内容が多いけれど、
この映画の一番の怖さは、
エレン・バースティンにあると思う。


彼女は、医者から処方された薬の成分を知らない。
ひたすら痩せたい、その一心から薬を飲む。
そして、その根底には、
逃れようにも逃れられない孤独感がある。


テレビに出さえすれば、
みんながチヤホヤしてくれる。
淋しくない。
そう思い込んでしまった彼女の心には、
もうどんな言葉も届きはしない。
孤独と無知。
この2つは、他人にはどうする事もできないではないか。


他の3人についても、
もうどうしようもないラストが待っている。
私は女だから、
特に、ジェニファー・コネリーの様子が心に残る。
もう彼女は、恥を恥とも思わない。
薬さえ手に入るのなら、
どんな事も厭わない。


麻薬を扱った映画やテレビは、
主人公が立ち直ったという内容にはしないと
聞いた事がある。
そうすると、
「一度くらいなら平気」という気持ちを植え付けてしまうからだとか。
確かにね。
一度だって、絶対、駄目なものは駄目なのよ。


評価 ★★★★☆

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「みんな元気」 [映画]

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〔2009年/アメリカ〕


ロバート・デ・ニーロは、定年退職し、
今はのんびり過ごす毎日。
妻には先立たれたが、
4人の子どもは、アメリカの各都市で、
活躍している。


デ・ニーロは子どもたちに帰省を促し、
彼らを歓迎するために、
高価な食材を買い、その日を楽しみにしている。
しかし、全員が忙しさを理由に直前で断ってくる。


それなら、こちらから訪ねて歩こう。
肺の病気で、飛行機は固く禁じられている彼は、
電車とバスと乗り継いで、
子どもたちの家にアポ無し訪問を開始する。


最初に、ニューヨーク在住の長男を訪ねるが、
留守のようだ。
何度電話しても出ない。
諦めてシカゴに住む長女・ケイト・ベッキンセールの家へ。
彼女は、それなりに裕福な暮らしをしているようではあるが、
しかし、夫とどこかギクシャクしているように見える。


次はデンバーに住む二男・サム・ロックウェル。
ロックウェルはオーケストラで指揮者をしていると聞いていたが、
実際は打楽器担当である事を知り、
失望の色を隠せないデ・ニーロ。


最後はラスベガスでダンサーをするドリュー・バリモア。
末っ子らしく、明るい彼女だが、
なぜか友人の赤ちゃんを預かっている。


子どもたち全員が、何か嘘をついている。
何か隠している。
長男はなぜ留守なんだ。
デ・ニーロは禁じられていた飛行機で自宅に向かう途中、
倒れてしまい・・・。





先日書いた、マルチェロ・マストロヤンニの、
同名映画のリメイク。
マストロヤンニの役を、
ロバート・デ・ニーロが演じていて、
他の出演者も豪華なのに、
何故か日本未公開のようだ。


そしてハリウッド映画らしく、
マストロヤンニ版ほど悲壮感がない。
子どもたちが自分の思うように育っていない事は
同じだけれど、そこはハリウッド。
どこか小奇麗で、大味で、
でも、とても分かり易い。


同じような感想になってしまうけど、
子どもは自分の思う通りになんかになりはしない。
絵に描いたようなエリートコースや、
その道で大成する人間なんて、
ほんの少数なわけで、
殆どの人間は、その他大勢なんだもの。


デ・ニーロは子どもに対して、
期待過度だったような様子が見て取れる。
だから、子どもたちは彼に本当の事が言えない。
母親には何でも打ち明けてきたのに、
彼にはそれができない。


子どもたちも悪い人間ではない。
デ・ニーロをそれなりに大切にしているし、
悪態ついたり、
邪険にするような事はしない。
それに、彼らがデ・ニーロに、
「長くは泊められない」と言うのには、
大きな理由があるのよ。


ラストはハリウッドらしくハッピー。
年を取ったら、
現実を受け入れて認めた方が、
楽なのかもしれない。


評価 ★★★☆☆

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「みなさん、さようなら」 [映画]

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〔2013年/日本〕


マンモス団地に住む濱田岳は、
小学校の終わりに、
「僕は一生団地の中だけで生きてゆく」と決める。


小学校時代の友達107人は、全員、団地の子で、
団地の中には、あらゆる小売店があり、
別に困る事はない。
就職だって団地の中のケーキ屋さんと決めているし、
ここから一歩も出なくても、
絶対生活していける。
濱田はそう言う。


濱田は中学には通わず、
自宅で大変に規則正しい生活を送る。
朝起きて、独学で勉強して、
空手の練習をして、
夜は、団地のパトロール。
全てが欠かせない日課だ。


初体験も、恋も、団地の中で済ませる。
相手はどちらも、小学校時代の同級生。
時には、ヤンキーと一緒に、
他の地区のヤンキーとの喧嘩の助太刀までする。
濱田の空手は結構強い。
彼が師と仰ぐのは、大山倍達。
指一本で猛牛を倒したという、
伝説の空手家だ。


年月が経つにつれ、
団地の友人は減っていく。
家族で引っ越したり、
進学や就職で出て行ったり。
それでも彼は、団地から出ない。
そこには大きな理由があって・・・。





途中で、腕時計を見てしまった。
いや、つまらないとか、飽きたとか、
そんなんではなく、
私の心にズーーーんときて、
辛すぎて、辛さから逃れたくて、
早く終わってほしいと、ちょっと思っちゃって。
ズーーーんときたのは、
心だけでなく、胃にもだったようで、
ちょっと吐き気まで覚えてしまった。
少なくとも、私には、心身に変調を起こさせるくらいの
映画だった事は間違いない。


私は、濱田岳が、団地から出ない理由を、
彼なりの拘りというか、
勝手に自分の流儀を通しているものだと最初は思っていた。


でも違ってた。
そこには、めっちゃ重い理由があったんだ。
それはある意味、
小学校時代の仲間全員が、
分け合うべき痛みで、
だから小学校時代の仲間は、
団地から出ない彼を奇異の目で見たりはしないし、
母も強く優しく、彼の人生を認めている。


同窓会が団地内の集会所であった時も、
もっとちゃんとした場所で開催されない事に、
誰も文句は言わない。
ヤンキー同士の決闘だって、
わざわざ団地内の広場に、相手を呼ぶ。
みんな濱田に合わせてくれる。


しかし団地は、
お決まりのコースを辿るように、
少しずつ寂れてゆく。
空き室が目立つようになり、
外国人居住者が増えてくる。


そして、新たに、
濱田が子供の頃には考えられなかったような問題が、
起こってくる。
濱田は、問題解決の為に懸命になるのだけれど、
そこの場面もまた、大変に辛くて、
ますます落ち込んで、胃が痛くなる。
何でそんなに影響受けてんだ、私は。


濱田岳はとても好きな俳優。
この映画の彼は、
団地から出ないという事以外は、
とても真っ当で、常識ある人間だと思う。
奇異に見える行動も、
その理由が分かれば、変だとは思わない。


すごく重くて、
でも、濱田の演技のおかげで、
ちょっとコミカルで。
本当に観て良かった。


評価 ★★★★★

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