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「大曽根家の朝(あした)」 [映画]

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〔1946年/日本〕


昭和18年の、クリスマスの夜。
大曽根家では家族が揃い、和やかな雰囲気に包まれていた。


母・房子(杉村春子)は、夫亡きあと、
3男1女を育ててきた。
夫は自由な精神の持ち主で、
それは子供に、しっかりと受け継がれている。


ところが、そんな和やかな所に、
突然、警察が乗り込んできて、
長男・一郎(長尾敏之助)は、思想犯として逮捕され、
場の空気は一変する。


その後、家を訪ねて来た亡き夫の弟・一成(小沢栄太郎)は、
一郎のような兄がいたのでは、
長女・悠子(三浦光子)の婚約者に申し訳ないと、
勝手に縁談を断ったと報告してきた。


一成は極端な軍国主義者で、
大曽根家の子育てに口を出し、
房子も悠子も、彼を持て余していたが、
本人は嫌われている事など全く気付かず、
空襲で焼け出されたのを機会に、
妻と共に、大曽根家に移り住んできた。


まるでここが自分の家かのように振る舞い、
ふんぞり返る一成。
そんな彼に、房子は言いなりになるばかり。


次男も戦争に取られ、
三男は、自分から特攻に志願すると言い出した。
房子は縋り付いてでも止めたかったが、
一成は三男を大絶賛した挙句、送り出す。


そして戦争が終わった。
次男は死んだ。
三男も死んだ。
ただ、長男が釈放され、
悠子の婚約者は、また家に訪ねてきてくれたのが救いだ。
房子は一成に、
今まで感じてきたありったけの思いをぶつけるのであった・・・。





タイトルから、
のんきなファミリードラマかと思っていたけれど、
こんな反戦映画だったとは。


とはいえ、
後から調べてみた所、
GHQの指導で作られた映画だそうで、
諸悪の根源は、
一成のような軍国主義者なのだと言いたい映画なのだそうだ。


そのせいか、色々なサイトでの評価が
思っていたより低い。


とはいえ、
私のように、何も知らずに観た者にとっては、
戦争の馬鹿馬鹿しさがよく伝わってくる内容ではあった。


とにかく一成の態度は、
こちらが殺意を覚えるくらいの憎らしさだ。
何を言われても薄笑いを浮かべて、
自分が偉いという、ふてぶてしい様子。


房子は何を言われても、
ジッと我慢している。
現代人からすると、それがまたもどかしい。


ラスト、房子が一成に言葉をぶつけるけれど、
それだって、溜飲が下がったとまでは言い難い。
ストレスが解消されないまま終わってしまった。
GHQだなんだと、色々知ってしまうと、
この程度の終わりにも、
なにか意味があるのかと勘ぐってしまう。


評価 ★★★☆☆

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