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「薔薇の木にバラの花咲く」 [映画]

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〔1959年/日本〕


ラピュタ阿佐ヶ谷で観た。

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女子大生・若尾文子は、
成績優秀であったが、
貧しく、アルバイトを掛け持ちする日々。
男友達・川崎敬三に助けられながら、
何とか学校に通っている。


実は若尾には、誰にも話せない秘密があった。
彼女の姉・角梨枝子が過去に赤線で働いており、
さらに、質の悪いヒモと縁が切れずにいるのだ。


姉はお人よしで気のいい女だったが、
優柔不断で男にはだらしがない。
そして、若尾はそんな姉を見捨てる事が出来ず、
困っている。


富豪の藤堂家の娘の家庭教師になった若尾は、
そこで建築家・田宮二郎と知り合う。
田宮の実家も金持ちで、
現在は、藤堂家の別荘の設計中。
若尾の美しさに心奪われる田宮。


別荘が完成し、
祝賀会が開かれた夜、
田宮は若尾にプロポーズ。
そして2人は一夜を共にする。


結婚話はどんどん進み、
若尾を両親に紹介したいと言う田宮。
しかし、結婚となれば、
姉の事を隠してはおけない。
苦しむ若尾は・・・。





赤線の女をテーマにした小説で知られる、
芝木好子さんの原作。
芝木さんの小説の映画化作品は
「洲崎パラダイス」と「赤線地帯」の2本を観ているけれど、
どちらも大傑作だ。
そして、この映画もとても良かった。


赤線で働いていた姉に困りながらも、
見捨てるわけにもいかない若尾文子。
姉は決して悪い人間ではなく、
主人公も幼い頃は、
姉を頼りにしていた事もあり、
そう冷たくはできない。


そして、姉を捨て切れない若尾と
ドライな田宮二郎との対比が面白い。


田宮は、あるきっかけで、
若尾の姉の事を知る。
彼は、若尾と結婚したい一心で、
姉を呼び出し、小切手を渡すのだ。
「この金で遠くに行って、二度と東京には戻ってこないで下さい」、と。


田宮には決して悪気はない。
お坊ちゃん育ちで、
欲しいものは全て手に入れてきた彼にとって、
それは、合理的で、なんら疑問の余地のない行為なのだ。
しかし、若尾はそれでは済まされない。
なんだかんだ言っても、
彼女は姉が好きだったし、
勝手に遠くにやってしまった田宮に恋心も冷めてしまう。


この映画は、
川崎敬三の存在が実に大きい。


若尾から相談を受けた川崎は、
彼女が田宮と肉体的な交わりをしたと知った瞬間、
激怒する。
その場面は、
当時の倫理観が表れた、
大変に興味深い場面だ。


もちろん、川崎の嫉妬も多少はあろうが、
彼の激しい怒りは、それだけではないものを感じる。
「なんて軽率な事をしたんだ。
 女が体を投げ出す事は、もっと崇高な行為のはずだ」みたいな事を言う。


川崎敬三は、どちらかというと、
軽い役が多い気がするのだけれど、
この映画の彼は大好き。
若尾さんの事を本気で考えてくれてるのは彼だって、
ハッキリ分かる。


単純な話のようで、
とっても深い。
登場人物たちの行く末を
本気で心配しちゃったよ。


評価 ★★★★☆

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