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「がちょうのおやじ」 [映画]

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〔1964年/アメリカ〕


第二次世界大戦中、
オーストラリア周辺で、
気ままな暮らしをしていたケイリー・グラントは、
無数にある無人島の一つマタラバ島で、
日本軍の動きを監視するという任務に就かされる。


渋々島に赴いたグラントは、
「マザー・グース」という暗号名を与えられ、
以降、無線連絡の時は、自分をそう呼ぶようになる。


数日後、別の島で同じ任務に就く仲間が、
日本軍に襲われたとの連絡が入り救助に行く。
するとそこには、
年若い女・レスリー・キャロンと、
彼女が引率する7人の少女たちがいた。


キャロンたちは、疎開する途中で、
島に流れ着いたと言う。
仲間は既に殺されており、
グラントは仕方なく、
キャロンと少女たちを自分の島に連れて帰る。


無線で彼女たちの事を報告するが、
救助は4週間以上かかると言われ、
グラントは、女の子たちに囲まれ、
生活する事を余儀なくされる。


品行方正なキャロンからは酒を隠され、
少女たちからは寝る場所を取られ、
散々な思いをするグラント。
しかし、交流を続けるうちに、
彼らの間に、仲間意識が芽生え始め・・・。





「北北西に進路を取れ」や、
「めぐり逢い」、「泥棒成金」など、
二枚目役が専門だと思っていた、
ケイリー・グラントが、
なんだか冴えないおっさんの役を演じている、
ちょっと面白い内容。


けれど、とっても可愛い物語で、
なかなか楽しかった。
戦争中、孤島で敵の監視をする男が、
若い女と、少女たちに振り回されるなんて、
今までに観た事がないようなシチュエーションで(笑)。


戦争ものだからって、
何も真面目くさったものばかり作る必要はないんだって、
こういった映画を観ると思う。


この映画の中では、
日本は敵国として描かれて、
緊迫した場面もある。
でも、特に残忍な風ではなく、
戦争中ならこんなものか、という程度のもので、
日本人として、悲しくなるような事はない。


今まで、レスリー・キャロンを
綺麗だと思った事はなかったけれど、
この映画ではとても可愛い。
お約束のように、
グラントと恋仲になってゆくのだけれど、
その流れも自然。


難をいえば、
キャロンの役は、
女という立場に胡坐をかきすぎかな。


「私たちは女だから、ここで寝泊まりして当然でしょ」みたいな態度で、
島に一つしかない小屋を占領して、
グラントは沈みかかった船で暮らすしかなくなる。
それは逆性差別だと思うなぁ。


しかも、少女たちは、
グラントの毛布や衣類を船から勝手に持ち出して、
自分たちの物にしてしまう。
女だからって、何でも許されるわけじゃない。


まぁ、いっか。
そんなこんなも含めて、
振り回されるグラントが可笑しいのだから。
あまり知られていないのが残念だと感じるくらい、
なかなか良い映画だった。
(と、ここまで書いて調べてみたら、
 この映画、アカデミー賞脚本賞を受賞しているそうだ。
 ああ、やっぱり、と納得)


評価 ★★★★☆