「アーティスト」 [映画]
〔2011年/フランス〕
1920年代のハリウッド。
映画界の大スター・ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)の
生活は順風満帆。
出演する映画は必ずヒットし、
豪邸に住み、
高価な調度品に囲まれ暮らしている。
ある日、年頃の女の子が、
偶然ジョージと一緒に写真に撮られ、新聞の一面を飾った。
彼女の名前はぺピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)。
女優になる事を夢見ている。
楽屋で再会した2人。
ジョージはぺピーに、
「スターになるには何か特徴が必要」と進言し、
彼女の唇の上に、ペンシルでホクロを書いてくれる。
時代は、サイレント映画からトーキー映画への過渡期を迎え、
その波に乗ったぺピーは、
スターへの道を歩み始める。
しかし、観客の心が読めなかったジョージは、
サイレントにこだわり、
人気は凋落してゆく。
落ち目になったジョージは、
妻に去られ、
安アパートに引越し、
持ち物をオークションで売り払うまでになる。
たった一人の味方の運転手・クリフトン(ジェームズ・クロムウェル)の
給料も払えなくなり、
絶望のどん底に喘ぐジョージ。
今や大スターになったぺピーだったが、
彼女はいつも、遠くからジョージを見つめていて・・・。
期待通りの、
オシャレで可愛い映画。
嫌味がなく、ストレート。
どなたでも楽しめると思う。
サイレント映画だが、
100%そうではなく、
ほんの一部、音や声が効果的に使われていて、
それがまた、面白い。
ストーリーはいたって簡単。
落ち目のスターと、新進気鋭の女優との対比であるが、
スターの方に嫉妬心はなく、
ただ、彼自身が感じる悲しみが描かれているだけなので、
不快にはならない。
ベレニス・ベジョがとにかく魅力的。
口が大きく、
一般的にいう、いわゆる“美人”ではないが、
笑顔が素敵で、とても可愛い。
ジャン・デュジャルダンの雰囲気も、
古い時代のスターのイメージにピッタリで、
とても良い。
口ひげのせいもあり、
クラーク・ゲーブルにちょっと似ている・・・
と言ったら、褒めすぎか?(笑)
ワンちゃんがびっくりするくらいお利口。
どう教えたら、あんな演技ができるのか、
ただただ、驚くばかり。
サイレント映画からトーキー映画への過渡期を
描いた作品といえば、
名画、「雨に唄えば」を思い出すが、
やはり、どんなものでも、
その過渡期というのは、様々な混乱があったのだろう。
最近、古い映画へのオマージュを描いた作品を
よく観る気がする。
3DやCGを駆使した作品も、もちろん良いけれど、
ちょっとだけ原点に回帰してみようという、
無意識の心の表れと見た。
(勝手に分析(笑))
評価 ★★★★☆