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「妖僧」 [映画]

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〔1963年/日本〕


山奥で、10年間の苦行に耐えた僧・行道(市川雷蔵)。
その結果、彼は人智を超えた力を身に付ける。
彼に見つめられた鼠や蛇は死に、
殺された人間は生き返る。


そんな彼の驚くべき力を、偶然目の当りにした宮廷の者は、
密かに彼を、御所に招き入れる。
御所では、美しい女帝(藤由紀子)が脚の病に苦しみ、
歩くことも儘ならぬ状態。
それを行道に治してほしいというわけだ。


行道の力で女帝は回復する。
行道は、山から里へ下りてくる間に見た、
圧政で苦しむ農民たちの様子を女帝に話す。
心美しい女帝は驚き、
なんとかせねばと心を砕く。


実は宮廷の財産は、藤原良勝(若山富三郎)一人が管理しており、
彼は密かに財産を自分の懐に入れていたのだ。
それを見破った行道に怒った良勝は、
刺客を差し向けるが、
彼は刃で腹を刺されても、血の一滴も出ない。
良勝は結局、追い詰められ、死ぬ。


しかし、事態は一変する。
女帝を愛し始めた行道は、
会得した力を失ってしまったのだ・・・。





これはまた、なんとも(笑)。
荒唐無稽な映画を観ると、
茶化したくてたまらなく私の気持ちを、
思い切り刺激してくれた、楽しい映画(笑)。


まず、前半と後半とで、話がまるっきり違ってくる。
見始めた時は、
行道が自身の持つ大変なパワーを使って、
圧政に苦しむ農民を助けるべく、
大活躍するのかと思っていたら、
御所に入ってからの彼は、
一歩も外に出る事なく、映画は終わった(笑)。


後半に入るきっかけの場面が一番可笑しい。
あれほどの苦行に耐えて、煩悩を捨てたはずの市川が、
なんとも、驚くほどあっさりと女帝と結ばれてしまう。
「え~!? そ、そうなるの!?」っと独り言言っちゃったよ(笑)。
あの10年間は何だったのか、
全く無意味だったのかと、問い詰めたくなるくらい(笑)。


案の定、その後、彼は苦しむ。
仏を前にしても、心は揺らぎ、
以前のようなパワーは出てこない。


藤原良勝に謀反を起こされた時なんか、
突風を吹かせて、
良勝たちを撃退したくらい凄い、そのパワーをだ。
気象まで味方につけるって、大変な事だよ(笑)。


勿体ないなぁ。
そんな力があったら、
世界征服だって、夢ではないだろうに(笑)。


話は馬鹿馬鹿しいが、
市川雷蔵がめっちゃいい顔していた。
伸びきった長い髪に髭面、
妖気漂うその風貌に見惚れてしまった。
なかなか楽しかった(笑)。


評価 ★★★☆☆

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